感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:199

複雑性尿路感染症に対するメロペネム/vaborbactamの効果(解説:吉田 敦 氏)-826

多剤耐性グラム陰性桿菌、とくにカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の増加と蔓延は、抗菌薬療法の限界を示唆する耐性菌、いわゆる「悪魔の耐性菌」として今や人類の脅威となっている。現在使用できる抗菌薬が限られている中で、セリン型のクラスAおよびクラスC βラクタマーゼを阻害するボロン酸であるvaborbactamとカルバペネム(メロペネム)を配合したメロペネム/vaborbactam(以下MEPM/VBT)が登場し、体内動態に関する第I相試験が行われていたが、今回第III相試験の結果が発表された。

複雑性尿路感染症、メロペネム/vaborbactam配合剤の有効性/JAMA

 複雑性尿路感染症の治療において、メロペネム/vaborbactam配合剤の効果は、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤に対し非劣性であることが、米国・ミシガン大学のKeith S. Kaye氏らが実施したTANGO I試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年2月27日号に掲載された。カルバペネム系抗菌薬メロペネムとβ-ラクタマーゼ阻害薬vaborbactamの配合剤は、薬剤抵抗性グラム陰性菌による重症感染症に有効である可能性が示唆されている。

尿路感染へのトリメトプリムで突然死リスクは増えるのか/BMJ

 尿路感染症(UTI)に対するトリメトプリムの使用は、他の抗菌薬使用と比べて、急性腎障害(AKI)および高カリウム血症のリスクは大きいが、死亡リスクは高くないことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のElizabeth Crellin氏らによるコホート研究の結果で示された。また、相対リスクの上昇は試験対象集団全体においては類似していたが、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬およびカリウム保持性利尿薬を服用していた群ではベースラインのリスクが高いほど、AKIや高カリウム血症の絶対リスク上昇がみられたという。BMJ誌2018年2月9日号掲載の報告。

ジカウイルスワクチン、初期結果は有望/Lancet

 ジカウイルス感染の予防では、安全かつ有効で、急速な感染拡大にも対応できるワクチンが求められている。米国・ウォルター・リード陸軍研究所(WRAIR)のKayvon Modjarrad氏らは、精製ホルマリン不活化ジカウイルスワクチン(ZPIV)候補の開発を進めており、今回、第I相試験の初期結果をLancet誌2018年2月10日号で報告した。

インフルやっと減少に…累積受診者は1,600万人超

 2018年第6週(2018年2月12~18日)の定点当たり報告数は45.38(患者報告数223,928)となり、前週の定点当たり報告数54.33よりも減少した。都道府県別では高知県(67.67)、山口県(62.82)、大分県(60.28)、宮崎県(57.17)、鹿児島県(56.66)、北海道(55.39)、福岡県(53.22)、岩手県(52.09)、埼玉県(51.37)、沖縄県(50.81)、千葉県(50.30)の順となっている。8道県で前週の報告数よりも増加がみられ、39都府県で減少がみられた。全国の保健所地域で警報レベルを超えている保健所地域は521ヵ所(全47都道府県)、注意報レベルを超えている保健所地域は30ヵ所(1都1道2府17県)となった。

イチゴ腫根絶のWHO戦略、長期効果示せず/Lancet

 イチゴ腫(フランベジア)の根絶に向けたWHOの戦略は長期的に有効ではなく、原因菌の長期的排除には、集団薬剤投与(mass drug administration:MDA)は単回では不十分であることが、スペイン・バルセロナ大学病院のOriol Mitja氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年2月7日号で報告された。イチゴ腫はTreponema pallidum subspecies pertenue(T. p. pertenue)によって発症し、熱帯地方の14ヵ国以上において、子供の外観を損なう慢性的な潰瘍の主な原因とされる。WHOが新たに採択したイチゴ腫根絶戦略では、アジスロマイシン単回の集団投与後に、対象患者を絞って治療を行うプログラムを用いており、パイロット試験では短期的に、顕著な低減効果が示されている。

抗CCR4抗体モガムリズマブ、HTLV-1関連脊髄症に光/NEJM

 ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体モガムリズマブは、ステロイド維持療法の効果不十分なヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)(正式な疾患名の表記は、HAM/TSP[HTLV-1-associated myelopathy/Tropical spastic paraparesis、HTLV-1関連脊髄症/熱帯性痙性対麻痺])患者において、末梢血中のHTLV-1感染細胞数と髄液炎症マーカーを減少させることが認められた。主な副作用は皮疹で、忍容性も良好であった。聖マリアンナ医科大学の佐藤 知雄氏らが、身体機能を著しく損なう神経炎症性疾患であるHAMに対する、モガムリズマブの安全性および有効性を検討した医師主導の第I/IIa相試験の結果を報告した。NEJM誌2018年2月8日号掲載の報告。