感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

赤ワインやコーヒーがコロナ重症化リスクを増大

 いくつかの食習慣と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染感受性や入院・重症化リスクとの間には因果関係があり、とくに赤ワイン摂取は入院と重症化のいずれのリスクも有意に増大させることが、中国・Yantai Yuhuangding HospitalのXiaoping Li氏らのメンデルランダム化研究により明らかになった。British Journal of Nutrition誌オンライン版2023年11月6日号掲載の報告。  食習慣とCOVID-19リスクとの関連は数多くの観察研究によって報告されている。しかし、交絡変数や研究の限界のためその関連はまだ不明確であり、より厳密なデザインの研究が求められていた。そこで研究グループは、メンデルランダム化研究を実施し、食習慣とCOVID-19の感受性、入院・重症度の関連を推定した。解析は逆分散加重法を主要な方法として用い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

毎年9%死亡者が増加する人獣共通感染症の行方/ギンコ・バイオワークス

 古くはスペイン風邪、近年では新型コロナウイルス感染症のように、歴史的にみると世界的に流行する人獣共通感染症の人への感染頻度が、今後も増加することが予想されている。そして、これらは現代の感染症のほとんどの原因となっている。人獣共通感染症の人への感染の歴史的傾向を明らかにすることは、将来予想される感染症の頻度や重症度に関する洞察に資するが、過去の疫学データは断片的であり分析が困難である。そこで米国・カルフォルニア州のバイオベンチャー企業ギンコ・バイオワークス社のAmanda Meadows氏らの研究グループは、広範な疫学データベースを活用し、人獣共通感染症による動物から人に感染する重大な事象(波及事象)の特定のサブセットについて、アウトブレイクの年間発生頻度と重症度の傾向を分析した。その結果、波及事象の発生数は毎年約5%、死亡数は毎年約9%増加する可能性を報告した。BMJ Glob Health誌2023年11月8日号に掲載。

急性感染症での安全性、CFPM vs.TAZ/PIPC/JAMA

 先行研究でセフェピム(CFPM)は神経機能障害を、タゾバクタム・ピペラシリン(TAZ/PIPC)は急性腎障害を引き起こす可能性が指摘されている。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのEdward T. Qian氏らは「ACORN試験」において、急性感染症で入院した成人患者を対象に、これら2つの抗菌薬が神経機能障害または急性腎障害のリスクに及ぼす影響を評価し、タゾバクタム・ピペラシリンは急性腎障害および死亡のリスクを増加させなかったが、神経機能障害のリスクはセフェピムのほうが高かったことを報告した。研究の成果は、JAMA誌2023年10月24・31日の合併号に掲載された。

コロナワクチン、オミクロン初期の東京で850万人の感染を回避/京大

 2022年1~5月には、全世界的に新型コロナウイルス(COVID-19)のオミクロン株BA.1/BA.2が流行していた。京都大学大学院医学研究科の茅野 大志氏と西浦 博氏は、この時期のワクチン接種による集団レベルの影響を、全国でも比較的完全な接種歴データを有する東京都のデータを用いて評価した。その結果、ワクチン接種により約64万人の感染が直接回避され、集団接種による間接的な効果も含めると約850万人の感染が回避され、ワクチン接種しなかった場合と比較すると65%の感染を減少したと推定された。BMC Infectious Diseases誌2023年10月31日号に掲載の報告。

ナーシングホーム入所者に対するユニバーサル除菌は感染症による入院を予防できるか?(解説:小金丸博氏)

ナーシングホームに入居する高齢者では、感染症による入院リスクや薬剤耐性菌(MRSA、ESBL産生菌など)の保菌率が高いことが懸念されている。今回、ナーシングホーム入所者に対して除菌を行うことで感染症による入院を減らすことができるかを検討したランダム化比較試験の結果が、NEJM誌オンライン版2023年10月10日号に報告された。除菌を行った群では感染症による入院が減少し(ベースライン期間と介入期間のリスク比:0.83、95%信頼区間:0.79~0.88)、日常ケア群とのリスク比の差は16.6%だった。ランダムに抽出した入所者に対して行った多剤耐性菌の保菌率は除菌を行った群で減少を認め、日常ケア群と比較した相対リスクは0.70(95%信頼区間:0.58~0.84)だった。感染症による入院を1件防ぐのに必要な治療数(NNT)は9.7件であり、ナーシングホーム入所者に対するユニバーサル除菌は有効性の高い予防法である可能性が示唆された。

新型コロナが小児感染症に及ぼした影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが小児感染症に及ぼした影響として、long COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)や医療提供体制の変化、感染症の流行パターンの変化などが挙げられる。これらをまとめたものが、イスラエルのネゲブ・ベン・グリオン大学のMoshe Shmueli氏らによってEuropean Journal of Pediatrics誌オンライン版2023年9月20日号に報告された。   本研究はナラティブレビューとして実施した。  主な結果は以下のとおり。

アミカシン吸入、人工呼吸器関連肺炎発症を抑制/NEJM

 少なくとも3日間侵襲的人工呼吸管理を受けている患者において、アミカシン1日1回3日間吸入投与はプラセボと比較し、28日間の人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発症を有意に減少したことが、フランス・トゥール大学のStephan Ehrmann氏らCRICS-TRIGGERSEP F-CRIN Research Networksが実施した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照優越性試験「AMIKINHAL試験」において示された。予防的な抗菌薬吸入投与がVAPの発症を減少させるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2023年10月25日号掲載の報告。

インフルエンザワクチン接種率、コロナ前後でどう変化した?

 コロナ禍を経て、インフルエンザワクチン接種に対する意識はどう変化しただろうか。米国・ブリガム・ヤング大学のTy J. Skyles氏らによる研究の詳細が、Journal of Community Health誌オンライン版2023年9月11日号に報告された。  本研究では、同大学に通う440人の学生にアンケートを実施し、2007年のデータと比較した。アンケートでは、インフルエンザワクチン接種に対する意識の実態および過去16年間の変化の要因を調査した。また、回答者には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経験やCOVID-19によるワクチン接種への意識の変化についても質問した。

BA.2.86「ピロラ」感染3週間後の抗体応答が大幅に増強/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株であるオミクロン株BA.2.86(通称:ピロラ)は、2023年8月初頭にデンマークで初めて報告され、スウェーデンでは8月7日に初めて検出された。本症例(インデックスケース)は、慢性疾患のない免疫不全の女性であった。本症例の血清および鼻腔粘膜の抗体応答について、2023年2月に得られた検体と、BA.2.86感染から3週間後に得られた検体を用いて比較したところ、BA.2.86感染後ではIgA値およびIgG値の上昇が認められ、感染前より抗体応答が大幅に増強されることが示唆された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のOscar Bladh氏らによる、NEJM誌2023年10月26日号CORRESPONDENCEに掲載の報告。

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月以上で初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2023年10月25日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」の生後6ヵ月以上を対象とした初回免疫に関する承認事項の一部変更承認を取得したと発表した。厚生科学審議会への諮問・答申を経て、予防接種実施規則改正をもってはじめて特例臨時接種での使用が可能となる。  今回の一部変更承認は、生後6ヵ月以上を対象とした「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」および「スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)」における初回免疫である。