感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

学校でのコロナ感染対策、マスクとワクチン完全接種が有用

 学校の生徒と職員を対象に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の学校内での感染リスクについて、2年間の接触追跡データに基づいた調査が、米国・マサチューセッツ総合病院のSandra B. Nelson氏らの研究チームによって行われた。その結果、学校生活において、マスクの使用状況やワクチン接種状況、校内の活動や地域の社会的状況など、感染リスクが高くなる要因が明らかになった。JAMA Health Forum誌2023年8月4日号に掲載の報告。  本調査は、マサチューセッツ州の幼稚園から中等教育までの学校を対象に、2020年秋~21年春学期(F20/S21、従来株の優勢期)および2021年秋学期(F21、デルタ株の優勢期)の2つの期間にわたって行われた。F20/S21は70校3万3,000人以上、F21は34校1万8,000人以上が参加した。学校内でSARS-CoV-2に2次感染した割合をSAR(Secondary Attack Rate)と定義した。SARは検査によって確認された値で算出した。感染と関連する可能性のある要因(学年、マスクの着用、曝露した場所、ワクチン接種歴、および社会的脆弱性指数[SVI]など)について、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。

米国での誤診による深刻な被害の実態が明らかに

 毎年約79万5,000人の米国人が、誤診により死亡したり永続的な障害を被っていることが、米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のDavid Newman-Toker氏らによる研究で示された。この研究結果は、「BMJ Quality & Safety」に7月17日掲載された。  Newman-Toker氏は、「プライマリケア、救急外来などの特定の臨床現場で発生した誤診に焦点を当てた研究はこれまでにも実施されていたが、複数の医療現場にまたがる深刻な被害の総計は調査されておらず、その推定値には年間4万件から400万件の幅があった。われわれの研究では、疾患別の誤診と被害発生率を基に損害の総計を推定した点で注目に値する」と話す。

コロナ2価ワクチンのブースター接種、安全性が示される/BMJ

 50歳以上の成人において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する4回目ブースター接種ワクチンとしてのオミクロン株対応2価mRNAワクチンは、事前規定の27種の有害事象に関するリスク増大との関連は認められなかったことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らによる同国の50歳以上の接種者を対象に行った試験で示された。BMJ誌2023年7月25日号掲載の報告。  研究グループは2021年1月1日~2022年12月10日に、COVID-19ワクチンを3回接種した50歳以上の成人222万5,567人を対象とするコホート試験を行った。

鼻をほじる医療者は、コロナ感染リスク増

 医療従事者はCOVID-19の感染リスクが高く、マスク、ガウン、ゴーグル/フェイスシールド、手袋などの個人防護具(PPE)装着をはじめとした感染対策を取るケースが多い。にもかかわらず医療従事者の感染者が多い理由を探るため、PPE装着や飛沫を受けることに関連する可能性のある特定の行動・身体的特徴を調査する研究が行われた。オランダ・アムステルダム大学のA H Ayesha Lavell氏らによる本研究の結果は、PLOS ONE誌オンライン版2023年8月2日号に掲載された。  研究者らは、オランダの2つの大学医療センターに勤務する医療従事者404例を対象としたコホート研究において、特定の行動・身体的特徴が感染リスクと関連しているかどうかを調査した。感染との関連を調査した具体的な行動は以下のものだった。

C型肝炎にDAA治療成功も死亡率高い、その理由は/BMJ

 インターフェロンを使用せず直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で治療に成功したC型肝炎患者では、一般集団と比較して死亡率が高く、この過剰な死亡の主な要因は薬物や肝臓関連死であることが、英国・グラスゴー・カレドニアン大学のVictoria Hamill氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年8月2日号に掲載された。  本研究は、ブリティッシュコロンビア州(カナダ)、スコットランド(英国)、イングランド(英国)の3つの地域のデータを用いた住民ベースのコホート研究である(研究資金は主に、責任著者のHamish Innes氏[グラスゴー・カレドニアン大学]が英国のMedical Research Foundationから受けたウイルス性肝炎フェローシップの報奨金が充てられた)。

コロナ急性期、葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏の症状消失までの期間は?/東北大

 コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期症状を有する患者に、対症療法に加えて葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を投与した結果、有意差はなかったもののすべての症状の消失までの期間は対照群よりも早い傾向にあり、息切れの消失は補足的評価において有意に早かったことを、東北大学の高山 真氏らが明らかにした。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2023年7月26日号の報告。 コロナ患者に葛根湯2.5g+小柴胡湯加桔梗石膏2.5gを1日3回投与 高山氏らが2021年2月22日~2022年2月16日にかけて実施した多施設共同ランダム化比較試験1)において、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の併用により、軽症~中等症I患者の発熱が早期に緩和され、とくに中等症I患者では呼吸不全への悪化が抑制傾向にあったことが報告されている。コロナウイルス感染症の症状や病状悪化のリスクはワクチン接種の有無によって異なる可能性があるため、今回はこのランダム化比較試験のデータを用いて、ワクチン接種の有無も加味した症状の消失に焦点を当てた事後分析を行った。  研究グループは、20歳以上で軽症~中等症Iのコロナウイルス感染症患者を対象に、通常の対症療法(解熱薬、鎮咳薬、去痰薬投与)を行うグループ(対照群)と、対症療法に加えて葛根湯2.5g+小柴胡湯加桔梗石膏2.5gを1日3回14日間経口投与するグループ(漢方群)の風邪様症状(発熱、咳、痰、倦怠感、息切れ)が消失するまでの日数を解析した。  コロナウイルス感染症患者に対症療法に加えて葛根湯2.5g+小柴胡湯加桔梗石膏2.5gを1日3回14日間経口投与した主な結果は以下のとおり。 ・解析には、漢方群73例(男性64.4%、年齢中央値35.0歳)、対照群75例(65.3%、36.0歳)が含まれた。そのうち、コロナワクチン接種者は、漢方群7例(9.6%)、対照群8例(10.7%)であった。初回診察時のリスク因子や重症度は両群で同等であった。 ・少なくとも1つ以上の症状が消失した割合は、漢方群84.9%、対照群84.0%であった。消失までに要した日数の中央値は漢方群2日(90%信頼区間[CI]:2.0~3.0)、対照群3日(90%CI:3.0~4.0)で、有意差は認められなかったものの漢方群のほうが短い傾向にあった(ハザード比[HR]:1.28、90%CI:0.95~1.72、p=0.0603)。コロナワクチン接種の有無別では、ワクチン未接種の漢方群のHRは1.31(90%CI:0.96~1.79、p=0.0538)でほぼ同等であった。 ・すべての症状が消失した割合は、漢方群47.1%、対照群9.1%であった。消失までに要した日数の中央値は、漢方群9日(6.0~NA)、対照群NAで、同様に漢方群のほうが短い傾向にあった(HR:3.73、95%CI:0.46~29.98、p=0.1763)。コロナワクチン未接種の漢方群のHRは4.17(95%CI:0.52~33.64、p=0.1368)であった。 ・競合リスクを考慮した共変量調整後の補足的評価において、息切れの消失は漢方群のほうが対照群よりも有意に早かった(HR:1.92、95%CI:1.07~3.42、p=0.0278)。コロナワクチン未接種の漢方群では、発熱(HR:1.68、95%CI:1.00~2.83、p=0.0498)および息切れ(HR:2.15、95%CI:1.17~3.96、p=0.0141)の消失が有意に早かった。  これらの結果より、研究グループは「軽症~中等症Iのコロナウイルス感染症患者に対する漢方治療の分析において、すべての症状の評価においても各症状の評価においても、対照群よりも漢方群のほうが早く症状が消失していた。これらの結果は、急性期のコロナウイルス感染症患者に対する漢方治療の利点を示すものである」とまとめた。

出生前母体ステロイド投与、児の重篤な感染症のリスク大/BMJ

 出生前ステロイド投与1コースが行われた母親から生まれた児は、生後12ヵ月間、重篤な感染症のリスクが有意に高いことが、台湾・長庚記念病院のTsung-Chieh Yao氏らによる全国コホート研究の結果で示された。新生児の死亡率および罹患率の減少における出生前ステロイド投与の有益性が多くの研究で報告されているが、小児の重篤な感染症に対する出生前ステロイド曝露の潜在的な有害性に関するデータは乏しく、とくに地域住民を対象とした大規模なコホートに基づく厳密なエビデンスは不足していた。著者は今回の結果について、「治療を開始する前に、出生前ステロイド投与による周産期の有益性と、まれではあるが重篤な感染症の長期的リスクについて慎重に比較検討する必要がある」とまとめている。BMJ誌2023年8月2日号掲載の報告。

新型コロナ、住民への注意喚起のタイミングの目安を発表/厚労省

 厚生労働省は8月9日の事務連絡にて、感染拡大する新型コロナウイルス感染症の早期対応のため、各都道府県に向けて住民等に注意喚起を行う際の検討の参考となるタイミングの目安を発表した。  なお、本目安は、新型コロナ流行時において医療への負荷が主たる課題となることから、感染拡大が継続したとしても医療提供体制を確保するために設定されたものであり、感染症サーベイランスにおける感染症の流行の程度に関する注意報・警報レベルとは考え方が異なる。また、本目安は暫定的に設定されたもので、今後の流行状況等を踏まえ、変更される可能性もあるという。

わが国の平均寿命、コロナの影響などで男女とも低下/厚生労働省

 厚生労働省は、7月28日に令和4年の簡易生命表の概況を発表した。これによると男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳となり、前年と比較し男性は0.42年、女は0.4年下回ったほか、平均寿命の男女差は6.03年で前年より0.07年縮小した。  平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、男性は悪性新生物(腫瘍)などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いていたが、男女とも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、心疾患(高血圧性を除く)、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働いていた。

コロナ異種ワクチンによる追加接種を支持するエビデンス/BMJ

 オミクロン株が優勢な時期における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種では、プライマリ接種スケジュール(2回接種)や同種ブースター接種(3回)と比較して、異種ブースター接種(3回)はCOVID-19による入院や死亡の予防効果が優れていたことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年7月24日号に掲載された。