感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:49

B群髄膜炎菌ワクチン、侵襲性髄膜炎菌感染症で高い予防効果/NEJM

 スペインでは2015年9月、4成分の蛋白ベースのB群髄膜炎菌ワクチン(4CMenB、Bexsero)が自費接種できるようになった。スペイン・Instituto de Investigacion Sanitaria de NavarraのJesus Castilla氏らは、生後60ヵ月未満の小児における4CMenBの有効性の評価を行い、完全接種(2回以上)した集団では、すべての血清群による侵襲性髄膜炎菌感染症に対する有効率が76%に達し、部分接種(1回)でも54%であることを示した。研究の成果は、NEJM誌2023年2月2日号で報告された。  本研究は、小児における4CMenBによる侵襲性髄膜炎菌感染症の予防効果の評価を目的とするスペインの全国的なマッチド症例対照研究であり、2015年10月5日~2019年10月6日に検査で侵襲性髄膜炎菌感染症が確認された生後60ヵ月未満の小児が解析の対象となった。

新型コロナ、米0~19歳の感染症による死因1位

 新型コロナウイルス感染症による死亡は、昨年7月までの1年間において米国の0~19歳の全死因の8位、感染症または呼吸器疾患による死亡では1位だったことがわかった。英国オックスフォード大学のSeth Flaxman氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2023年1月30日号に掲載された。  研究者らは、米国疾病対策予防センター(CDC)のWide-Ranging Online Data for Epidemiologic Research(WONDER)データベースを使い、2020年4月1日~2022年8月31日まで、12ヵ月の期間ごとにCOVID-19の死亡率を算出。

オミクロン株XBB.1.5、感染力・免疫逃避能ともに増強/東大

 米国疾病予防管理センター(CDC)が発表したデータによると、米国では2022年12月より新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5の感染が急激に増加し、2023年2月4日時点で全体の66.4%を占めている。XBB.1から派生したXBB.1.5は、日本でも感染例が確認されており、今後の感染拡大が懸念されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らの研究グループは、オミクロン株XBB.1.5のウイルス学的特徴を、流行動態、感染性、免疫抵抗性などの観点から解析し、XBB.1.5はXBB.1と比べて、実効再生産数(Re)が1.2倍高いことや感染力が高まっていること、さらに血清中の中和抗体に対してBA.2やBA.5よりもきわめて高い免疫逃避能を持つことを明らかにした。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月31日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

抗原検査の感度、オミクロン株感染直後は低いのか/阪大

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株流行下において、感染直後における抗原定性検査の感度が低下する可能性が指摘されていた。大阪大学感染症総合教育研究拠点の村上 道夫氏らの多施設共同研究グループは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のクラブの選手やスタッフを対象に、同一日かつ同一個人に行われたPCR検査と抗原定性検査の結果を比較評価した。本研究の結果、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度は63%(95%信頼区間[CI]:53~73%)、特異度は99.8%(95%CI:99.5~100.0%)であり、症状の有無や感染してからの日数は、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度に影響しないことが明らかになった。BMJ Open誌2023年1月30日号に掲載の報告。

加熱式タバコ、コロナ感染・重症化リスクを上昇/大阪公立大ほか

 燃焼式タバコの使用は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスク因子と考えられ、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第8.1版」でも「喫煙」が「重症化のリスク因子」の項目に記載されている。COVID-19流行下において、各国でタバコ使用行動の変化がみられているが、加熱式タバコの使用は、増加しているともいわれる。しかし、加熱式タバコとCOVID-19の関係については、これまでほとんど検討がなされていなかった。そこで、大阪公立大学の浅井 一久氏(大阪公立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 准教授)らの研究グループは、加熱式タバコの使用とCOVID-19の関係に着目し、調査を実施した。その結果、タバコ非使用者に比べ、加熱式タバコ使用者は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率が高く、全タバコ使用者の中でも加熱式タバコと燃焼式タバコの併用者は、感染時の症状悪化リスクが最も高かった。本研究結果は、Scientific Reports誌2023年2月2日号に掲載された。

インフル家庭内感染率、コロナ流行前の2.31倍に/JAMA

 米国5州のコホート試験で、2021-2022インフルエンザシーズン中のインフルエンザA(H3N2)ウイルス家庭内感染率は50.0%と、2017~20年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前のシーズン(2017-2018、2018-2019)の同感染率20.1%に比べ、家庭内感染リスクは有意に上昇(2.31倍)していたことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMelissa A. Rolfes氏らによる検討で、著者は「さらなる検討を行い、関連性の要因を明らかにする必要がある」と述べている。

COVID-19の2価ワクチン接種でXBB系統の感染リスクが半減

 新型コロナウイルスオミクロン株のBA.4とBA.5に対応した2価ワクチンのブースター接種により、現在流行中のオミクロン株XBB系統への感染リスクが半減する可能性が、新たなデータで示された。米疾病対策センター(CDC)が実施したこの研究結果は、「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」に1月25日掲載された。NBCニュースは、CDCのCOVID-19 Emergency Response Teamの責任者であるBrendan Jackson氏がこの知見について、「非常に心強いものだ」とコメントしたことを報じている。

コロナワクチン接種者と未接種者、情報源の違いは?/筑波大

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチンを接種するかどうかを決定しておらず「様子見」していた人のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報を「職場/学校」「LINE」から得ている人はその後のワクチン接種率が高く、「インターネットニュース」「動画共有サイト(YouTubeなど)」から得ている人は接種率が低かったことを、筑波大学の堀 大介氏らが明らかにした。Environmental health and preventive medicine誌オンライン版2023年2月2日掲載の報告。  過去の研究によって、COVID-19に関する情報をテレビのニュース番組や新聞から得ている人はワクチン接種意向が高いなど、情報源の種類と接種意向との関連が報告されていた。しかし、ワクチンが接種可能になった後に実際にワクチンを接種したかどうかは不明のため、ワクチン接種の意思決定プロセスにおける情報源の種類の影響は明らかではなかった。そこで研究グループは、ワクチンを接種するかどうかまだ決めていない人において、使用しているCOVID-19に関する情報源とその後のワクチン接種の有無との関連を明らかにするため調査を実施した。

乳がん患者のリアルワールドでのコロナワクチン効果/JCO

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの臨床試験には、積極的ながん治療を受けている乳がん患者が含まれていない。今回、イタリア・ジェノバ大学のMarco Tagliamento氏らが、リアルワールドの乳がん患者におけるワクチン接種の効果を調査したところ、乳がん患者においてもワクチン接種がCOVID-19罹患率および死亡率を改善することが示された。また、欧州におけるオミクロン株流行期、乳がん患者におけるCOVID-19重症度は低いままだった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号に掲載。

おたふくかぜワクチンの予防効果、成人期には低下?

 米国では、小児に対するムンプス(流行性耳下腺炎、おたふくかぜ)ワクチンの定期接種が行われているにもかかわらず、依然としておたふくかぜのアウトブレイクが報告されている。この原因を、ワクチン接種により獲得した免疫の減衰に求める説を裏付ける研究結果が報告された。米ジョージア大学Odum School of EcologyのDeven V. Gokhale氏らによる研究で、詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に1月9日掲載された。  おたふくかぜは、片側または両側の頬(耳の下)や顎の下の腫れ、発熱などを主症状とする全身性のウイルス感染症だ。通常は、比較的軽い症状が1〜2週間続いた後に軽快するが、脳の炎症や難聴などの深刻な合併症を引き起こして重症化することもある。そのため、米国では、小児に対する麻疹(はしか)・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン(MMRワクチン)の定期接種が奨励されている。