新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのプライマリシリーズ接種者は非接種者に比べて、またブースター接種ありはブースター接種なしに比べて、さらにSARS-CoV-2感染既往者は非既往者に比べ、いずれもSARS-CoV-2感染(オミクロン株を含む)や入院・死亡リスクが有意に低いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のDan-Yu Lin氏らが行った、1,000万人超を対象に行ったコホート試験で明らかにされた。なお、これらの関連性は、とくに感染に対する保護効果について、時間とともに減弱が認められたことも示されている。COVID-19ワクチンの接種状況およびSARS-CoV-2感染既往と、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症アウトカムリスクとの関連データは、予防戦略を導く可能性があり重視されている。JAMA誌オンライン版2022年9月26日号掲載の報告。
ノースカロライナ州在住の1,060万人を対象に試験
研究グループは2020年3月2日~2022年6月3日に、米国ノースカロライナ州在住の1,060万人を対象にコホート試験を行った。
COVID-19ワクチンプライマリシリーズ接種、ブースター接種、SARS-CoV-2感染既往について調べ、SARS-CoV-2感染との関連を率比(RR)で評価し、またCOVID-19関連の入院・死亡との関連をハザード比(HR)で評価した。
ブースター接種で1ヵ月後感染リスクは6~7割減、3ヵ月後は2~4割減に
被験者1,060万人の年齢中央値は39歳、女性51.3%、白人71.5%、ヒスパニック系9.9%だった。
2022年6月3日時点で、被験者の67%がワクチンを接種していた。被験者全体のSARS-CoV-2感染者数は277万1,364例、入院率は6.3%、死亡率は1.4%だった。
COVID-19ワクチンプライマリシリーズ接種者vs.非接種者の、初回接種10ヵ月後のSARS-CoV-2感染に関する補正後RRは、BNT162b2が0.53(95%信頼区間[CI]:0.52~0.53)、mRNA-1273が0.52(0.51~0.53)、Ad26.COV2.S(単回投与ワクチン)が0.51(0.50~0.53)だった。対COVID-19関連入院の補正後HRは、それぞれ0.29(0.24~0.35)、0.27(0.23~0.32)、0.35(0.29~0.42)だった。対COVID-19関連死亡の補正後HRは、それぞれ0.23(0.17~0.29)、0.15(0.11~0.20)、0.24(0.19~0.31)だった。
BNT162b2によるプライマリシリーズ接種に加え、2021年12月にBNT162b2によるブースター接種を受けた被験者は、非ブースター接種者に比べ、1ヵ月後のSARS-CoV-2感染に関する補正後RRは0.39(0.38~0.40)だった。また、mRNA-1273によるブースター接種を受けた被験者は同補正後RRが0.32(0.30~0.34)だった。3ヵ月後の補正後RRは、それぞれ0.84(0.82~0.86)と0.60(0.57~0.62)だった。
被験者全体で、オミクロン株感染既往者は非既往者に比べ、4ヵ月後のSARS-CoV-2再感染に対する補正後RRは0.23(0.22~0.24)と推定され、COVID-19関連の対入院の補正後HRは0.10(0.07~0.14)、対死亡の補正後HRは0.11(0.08~0.15)だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)