感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:96

モデルナ製ワクチン、追加接種でオミクロン株への中和抗体が37倍に増強

 米国・モデルナ社は12月20日付のプレスリリースで、新型コロナウイルスワクチンのオミクロン株に対する効果について、予備的試験データを公表した。それによると、同社ワクチンの初回接種(1、2回目)ではオミクロン株への中和抗体価が従来の変異株より低下していたが、3回目接種を受けた後では中和抗体価が約37倍まで増強されたという。  今回発表されたのは、疑似ウイルスを用いた中和抗体価測定試験のデータ。モデルナ製ワクチンを2回接種した20例について、3回目接種を受けた後ではオミクロン株に対する中和抗体価が大幅に上昇し、被験者のGMT(幾何平均値)は、50μg(日本の追加接種に承認された用量の0.25mLに相当)接種により、ブースター接種前の約37倍となった。

有害事象を追記、COVID-19ワクチンに関する提言(第4版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、12月16日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言」の第4版を公開した。  今回の提言では、昨今のオミクロン株拡大の懸念を踏まえ「COVID-19ワクチンついて、その有効性と安全性に関する科学的な情報を解説し、接種を判断する際の参考にしていただくために作成いたしました。第3版のあとに明らかになったことや今後の課題について追記し、第4版として公開いたします。COVID-19の終息に向かって、COVID-19ワクチンが正しく理解され、安全性についても慎重に検証しながら、接種がさらに進んでゆくことを願っています」と今後のさらなるCOVID-19の予防に期待を寄せている。

ファイザーブースター接種、年齢層別の効果は/NEJM

 イスラエルで新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の3回目接種(ブースター接種)を受けた16歳以上について調べた結果、全年齢でCOVID-19感染および重症の発生率についてブースター接種者のほうが非接種者よりも大幅に低かったことが、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らにより報告された。イスラエルでは先行して実施された60歳以上へのBNT162b2ブースター接種の結果が有望であったことを受け、2回目接種から5ヵ月以上経つ若い年齢層にもブースターを接種するキャンペーンが拡大されていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン、ブースター接種で死亡リスク9割減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチンのBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)の、2回接種から少なくとも5ヵ月後にブースター接種を受けた人は、ブースター接種を受けていない人と比較して、COVID-19による死亡リスクが90%低下した。イスラエル・Clalit Health ServicesのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。SARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)変異株の出現と、BNT162b2ワクチンの経時的な有効性の低下により、早期にワクチンを接種した集団においてCOVID-19の再流行が発生したことから、イスラエルの保健省は2021年7月30日にBNT162b2ワクチンの3回目接種(ブースター接種)を承認したが、ブースター接種でCOVID-19による死亡率が低下するかどうかのエビデンスが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。

COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチン同時接種における安全性と免疫原性(解説:小金丸博氏)

 COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種における安全性や免疫原性を検討した研究がLancet誌オンライン版(2021年11月11日号)に報告された。英国で行われた多施設共同ランダム化比較第IV相試験であり、2種類のCOVID-19ワクチン(アストラゼネカ社製とファイザー社製)と3種類の季節性インフルエンザワクチンによる6通りの組み合わせで検討された。その結果、同時接種によって接種後7日間以内の全身反応(発熱、悪寒、関節痛、筋肉痛、疲労、頭痛、倦怠感、嘔気など)の有意な増加はなく、両ワクチンに対する抗体反応も維持されることが示された。2通りのワクチンの組み合わせで95%信頼区間の上限があらかじめ規定された非劣性マージンをわずかに超える全身反応を認めたものの、許容できる範囲と考察されている。

モデルナ製ワクチンの追加接種を承認、「スパイクバックス」に名称変更も/厚労省

 厚生労働省は12月16日、モデルナ社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて用法・用量の追加を特例承認した(国内の申請者は武田薬品工業)。先行して承認されたファイザー製ワクチン同様、国内の18歳以上に対し、3回目のブースター接種(追加免疫)への使用が可能になる。ただし、追加接種では0.25mLと従来の半量になる(2回目までの初回免疫では0.5mL)。併せて、販売名が「モデルナ筋注」から「スパイクバックス筋注」に名称変更されることも周知された。

新型コロナを5類相当にすべき?すべきでない?医師が考えるその理由

日本国内での新型コロナの感染状況は小康状態が続く中、ワクチン接種は進み、経口薬の承認も期待される。一方で、オミクロン株についてはいまだ不明な点が多く、国内での感染者数も少しずつ増加している。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を5類相当に格下げすべき」。これまで何度か話題に上ったこの意見について、医師たちはどのように考えているのか? CareNet.comの会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年12月3日実施)。  新型コロナウイルス感染症は現在、感染症法上「新型インフルエンザ等感染症」という特例的な枠組みに位置付けられ1)、入院勧告や外出自粛要請などが可能で、医療費が公費負担となる1~2類感染症に近い対応がとられている2)。その法的位置付けについて、今年初めまでは「指定感染症」に位置付けられていたこと、一部報道などでは“2類相当”との言葉が先行するケースもみられたことなどから、混乱が生じている側面がある。

コロナワクチン3回目、7種のワクチンを比較/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン、ChAdOx1(AstraZeneca製、ChAd)またはBNT162b2(Pfizer-BioNtech製、BNT)の2回接種後の追加接種として、7種のCOVID-19ワクチン接種による免疫原性を調べたところ、ChAd 2回接種群では7種すべてで、BNT 2回接種群では6種で、抗体および中和反応の増加が認められた。英国・サウサンプトン大学病院のAlasdair P. S. Munro氏らが、2,878例を対象に行った第II相多施設共同無作為化試験「COV-BOOST試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版12月2日号掲載の報告。

ファイザーの経口コロナ治療薬、最終結果でも重症化89%減、オミクロン株にも有効か

 米国・ファイザーは12月14日付のプレスリリースで、開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)新規経口治療薬であるnirmatrelvir(PF-07321332)/リトナビル配合剤(商品名:Paxlovid)について、第II/III相臨床試験(EPIC-HR)の最終データを公表した。それによると、Paxlovidを投与した高リスクの成人患者において、入院または死亡のリスクが、プラセボに比べ89%減少したという。これは、先月同社が公表した中間解析のデータとも一致している。  Paxlovidは、ファイザー社が新たに開発した抗ウイルス薬nirmatrelvirと、既存の抗HIV薬リトナビルとの合剤。

広い範囲で有効なアスピリンでもCOVID-19には効かないみたい(解説:後藤信哉氏)

アスピリンには抗炎症効果がある。また、アスピリンは心筋梗塞などの血栓イベント予防効果もある。COVID-19はウイルス感染なので炎症が起こる。COVID-19では血栓症も増える。抗炎症効果、抗血栓効果のあるアスピリンはCOVID-19の予後改善効果があると期待された。話は変わるが筆者はOxford大学と密接に共同研究している数少ない日本の研究者であると思う。Oxford大学は多くのカレッジからなる。臨床研究を主導するのはNuffield Department of Population Health(旧称 Clinical Trial Service Unit:CTSU)である。彼らの臨床医学における実証的ポリシーは揺るがない。