内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート

 緑茶は、カテキンなどの抗酸化作用による抗炎症効果によって、アレルギー症状に効果があると考えられているが、アレルギー症状との関係を検討した大規模な疫学研究は限られている。今回、順天堂大学の青木 のぞみ氏らは、日本人の大規模疫学コホートにおいて、緑茶、番茶、ウーロン茶、紅茶の摂取頻度とスギ花粉症との関係を検討した。その結果、お茶、とくに緑茶を1日1回以上習慣的に摂取すると、スギ花粉特異的IgE陽性の可能性が低下することがわかった。Journal of Nutritional Science誌に2025年1月10日掲載された。

50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ

 2月1日は「フレイルの日」。ツムラはこの日に先立つ1月30日に「50歳からのフレイルアクション」プロジェクトの発足を発表し、フレイル対策の重要性を啓発するメディア発表会を開催した。セミナーでは東京都健康長寿医療センターの秋下 雅弘氏がフレイルの基本概念と対策の重要性について講演し、ツムラのコーポレート・コミュニケーション室長・北村 誠氏がプロジェクト概要を説明、そしてタレントの山口 もえ氏を交えてトークディスカッションを行った。秋下氏の講演「中年世代から大切なフレイル対策-ライフコースアプローチの観点から」の概要を紹介する。

抗菌薬による虫垂炎治療、虫垂切除の回避率は?~メタ解析

 個々の患者データを用いたメタ解析の結果、急性虫垂炎に対する抗菌薬治療によって、最初の1年間で約3分の2の患者が虫垂切除を回避できたものの、虫垂結石を伴う場合は合併症のリスクが高まったことを、オランダ・アムステルダム大学のJochem C. G. Scheijmans氏らが明らかにした。Lancet Gastroenterology & Hepatology誌2025年3月号掲載の報告。  これまでのランダム化比較試験によって、合併症のない急性虫垂炎に対する抗菌薬は、虫垂切除術に代わる効果的で安全な治療とされている。しかし、これらの試験はそれぞれの包含基準が異なり、アウトカムや合併症の定義も異なっている。そこで研究グループは、個々の患者データのメタ解析を実施し、虫垂切除術と比較した抗菌薬治療の安全性と有効性を評価した。

米国ではCOVID-19が依然として健康上の大きな脅威

 新型コロナウイルスは依然として米国人の健康に対する脅威であり、インフルエンザウイルスやRSウイルスよりも多くの感染と死亡を引き起こしていることが、新たな研究で示唆された。米国退役軍人省(VA)ポートランド医療システムのKristina Bajema氏らが「JAMA Internal Medicine」に1月27日報告したこの研究によると、2023/2024年の風邪・インフルエンザシーズン中に米国退役軍人保健局(VHA)で治療を受けた呼吸器感染症患者の5人中3人(60.3%)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患していたという。

便秘が心不全再入院リスクと関連―DPCデータを用いた大規模研究

 心不全による再入院のリスクに便秘が関与している可能性が報告された。東京都立多摩総合医療センター循環器内科/東京大学ヘルスサービスリサーチ講座の磯貝俊明氏らの研究によるもので、詳細は「Circulation Reports」11月号に掲載された。  便秘は血圧変動などを介して心不全リスクを高める可能性が想定されているが、心不全の予後との関連を調べた研究は限られている。磯貝氏らは、便秘が心不全による再入院リスクに関連しているとの仮説の下、診断群分類(DPC)医療費請求データベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。

有給休暇取得率の高い診療科は?/医師1,000人アンケート

 有給休暇は一定の条件を満たしたすべての労働者に付与されるもので、医師も例外ではない。しかし、緊急性の高い患者のケアや医師不足などにより、医師の労働環境は有給休暇が取得しやすい状況ではないケースも多いと考えられる。今回CareNet.comでは会員医師約1,000人を対象に、有給休暇の取得状況や2024年4月の働き方改革の影響などについてアンケートを実施した(2025年1月23~24日実施)。  2024年度の有給休暇の取得日数(予定含む)は、平均で7.6日、最も多かったのは5~9日(40.7%)との回答で、7.5%の医師は0日と回答した。厚生労働省による「令和6年就労条件総合調査」1)では、調査対象の全産業における平均取得日数は11.0日と報告されており、医師の取得日数は全体平均と比較して少ないことがうかがえる。

2型糖尿病患者はビタミン、ミネラルが不足している

 2型糖尿病患者の半数近くが、微量栄養素不足の状態にあるとする論文が、「BMJ Nutrition, Prevention & Health」に1月29日掲載された。国際健康管理研究所(インド)のDaya Krishan Mangal氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、特に、ビタミンD、マグネシウム、鉄、ビタミンB12の不足の有病率が高いという。研究を主導した同氏は、「この結果は2型糖尿病患者における、栄養不良の二重負荷の実態を表している」と述べ、糖尿病治療のための食事療法が栄養不良につながるリスクを指摘している。

喫煙とCVDリスクとの関係は用量依存的

 喫煙と心血管疾患(CVD)リスクの関係は用量依存的であることを示した研究結果が、「JAMA Network Open」に11月1日掲載された。  中央大学光明病院(韓国)のJun Hwan Cho氏らは、韓国の国民健康保険データベースを用いて、禁煙後のCVDリスクと、累積喫煙量(パックイヤー〔PY〕)や禁煙後の経過年数(years since quitting;YSQ)との関連を検討した。対象は、2006年から2008年の間に自己報告による喫煙状況が記録された539万1,231人(男性39.9%、平均年齢45.8〔標準偏差14.7〕歳)で、15.8%は現喫煙者、1.9%は元喫煙者、82.2%は喫煙未経験者であった。元喫煙者と現喫煙者については、喫煙開始年齢、過去または現在の1日当たりの喫煙本数、および禁煙した年齢(元喫煙者のみ)に基づき、ベースライン時点のPYとYSQを計算した。対象者の喫煙状況は、2019年まで2年ごとに更新された。最終的に、PYの中央値は、元喫煙者で10.5(四分位範囲5.3〜20.0)PY、現喫煙者で14.0(同7.5〜20.0)PYであった。元喫煙者のYSQの中央値は4年(同2〜8)であった。主要評価項目は、CVD(心血管疾患による死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全の複合)の発症率およびそのハザード比とし、ポアソン回帰分析でCVD発症率を算出した。また、Cox比例ハザード回帰モデルにより、喫煙状況に基づく調整ハザード比(aHR)を推定した。

食物繊維の摂取は有害な細菌の減少につながる?

 腸の健康を維持する効果的な方法の一つは、食物繊維をたくさん摂取することかもしれない。世界45カ国、1万2,000人以上の人の腸内微生物叢を分析した研究で、腸内微生物叢の構成が肺炎桿菌や大腸菌などの命を脅かす可能性のある感染症に罹患する可能性を予測するのに役立ち、食物繊維を通して有益な腸内細菌を養うことで、感染症に対する体の抵抗力が強化される可能性のあることが明らかになった。英ケンブリッジ大学のAlexandre Almeida氏らによるこの研究結果は、「Nature Microbiology」に1月10日掲載された。  肺炎桿菌や大腸菌などの腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の細菌は、世界的に主要な日和見感染症の原因菌である。これらの細菌は健康な人の腸内微生物叢にも広く存在しているため、腸内細菌間の相互作用が感染抵抗性の調節に関与している可能性がある。この点を明らかにするために、Almeida氏らは、45カ国、1万2,238人の腸内微生物叢に関するメタゲノムデータの解析を行った。

MCI高齢者に対するVR介入の有効性〜メタ解析

 アルツハイマー病は、根治不能な疾患であるが、軽度認知障害(MCI)の段階で仮想現実(VR)を用いた介入を行うことで、認知症の進行を遅らせる可能性がある。中国・上海交通大学のQin Yang氏らは、MCI高齢者におけるVRの有効性を明らかにするため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Medical Internet Research誌2025年1月10日号の報告。  2023年12月30日までに公表された研究をWeb of Science、PubMed、Embase、Ovidよりシステマティックに検索した。対象研究は、55歳以上のMCI高齢者の認知機能、気分、QOL、体力に対するVRベース介入を自己報告で評価したRCT。調査されたアウトカムには、一般的な認知機能、記憶力、注意力/情報処理速度、実行機能、言語機能、視空間能力、うつ病、日常生活能力、筋力パフォーマンス、歩行/バランスなどを含めた。2人の独立した担当者により、特定された論文と関連レビューの検索結果およびリファレンスリストをスクリーニングした。介入の構成要素と使用された実施および行動変化の手法に関するデータを抽出した。適格基準を満たした場合に、メタ解析、バイアスリスク感度分析、サブグループ解析を実施し、潜在的なモデレーターを調査した。エビデンスの質の評価には、GRADEアプローチを用いた。