内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:147

CVDの1次予防、6ヵ月の菜食は薬物治療に引けを取らない

 一般集団において、肉類を摂取しない菜食生活は心血管代謝リスクを改善することが報告されているが、心血管疾患(CVD)リスクが高い人おける効果は結論が出ていない。そこで、オーストラリア・シドニー大学のTian Wang氏らが、CVD高リスク者やCVD患者を対象に菜食生活と主要な心血管代謝リスク因子との関連についてメタ解析を実施した結果、6ヵ月間の菜食生活は、CVD高リスク者では有意なLDL-コレステロール(LDL-C)やHbA1c、体重の改善と関連していたことを発表した。JAMA Network Open誌2023年7月25日号の報告。

迅速抗原検査での新型コロナ感染の除外には2回以上の検査が必要

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、医師は患者に、自宅での迅速抗原検査で陰性の結果が出ても、48時間後に再検査するよう伝えてきたが、どうやらこの助言は正しかったようだ。新たな研究により、症状の有無にかかわらず、迅速抗原検査で新型コロナウイルス感染を除外するには、陰性判定から48時間後の再検査が必要であることが示された。米マサチューセッツ大学(UMass)チャン医科大学のCarly Herbert氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に7月4日掲載された。

暑い季節になりやすい腎臓結石のリスクを下げる方法

 夏の暑い時期には、腎臓結石による耐え難い痛みが発症しやすい。ただし幸いなことに、水分摂取量を増やしたり、食生活を少し変えたりすることで、結石をできにくくすることが可能だ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMegan Bollner氏は同大学発のリリースの中で、それらのヒントを紹介している。同氏は、「一度結石ができてしまうと10年以内に再発する確率が最大50%程度に上る。とはいえ、再発する腎臓結石の危険因子の多くは、自分自身でコントロールできるものだ。特に食習慣を変えることが、大きな違いを生む可能性がある」と話している。

コロナ異種ワクチンによる追加接種を支持するエビデンス/BMJ

 オミクロン株が優勢な時期における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種では、プライマリ接種スケジュール(2回接種)や同種ブースター接種(3回)と比較して、異種ブースター接種(3回)はCOVID-19による入院や死亡の予防効果が優れていたことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年7月24日号に掲載された。

日本におけるアルコール摂取、喫煙と認知症リスク~村上健康コホート研究

 飲酒や喫煙は、生活習慣病リスクに影響するが、認知症への影響については依然としてよくわかっていない。新潟大学のShugo Kawakami氏らは、日本人中高年におけるアルコール摂取や喫煙と認知症リスクとの長期的な関連性を調査するため本研究を実施した。その結果、中程度までのアルコール摂取は認知症リスクが低下し、喫煙は用量依存的に認知症リスク増加との関連が認められた。また、多量のアルコール摂取と喫煙との間に認知症リスクとの相互作用が確認された。Maturitas誌オンライン版2023年6月14日号の報告。

喘息の増悪発生に地域差/AZ

 アストラゼネカ(以下、AZ)は、喘息増悪の発生状況を地域別に検討した「Asthma heatmap研究」を実施し、喘息の増悪発生率に日本国内で地域差があることを初めて明らかにしたと発表した。本研究の結果を基に、地域の実情に即した喘息治療の適正化を目指した活動を実施していくとしている。  日本において、喘息に罹患している患者(小児を含む)は約800万人といわれている。喘息による死亡数は年々減少傾向にあり、2021年では1,038人と報告されている一方で、症状が残存する患者はいまだ残されており、患者の5~10%は従来の治療でコントロールできない重症喘息と推定されている。本研究では、複合アウトカムで定義した喘息増悪が平均で100人年当たり39.87件生じており、その頻度に地域差があることが示された。都道府県別にみると、複合アウトカムに示された喘息増悪発生率は、最多の地域では最少の地域の6.7倍であった。

酷暑の夏に常時日傘や帽子を携帯する人は3割弱/アイスタット

 2023年の夏は、7月から全国で最高気温を更新するなど例年以上の暑さをみせている。そのため熱中症による救急搬送の増加や暑さに起因する疾病、死亡が連日報道されている。酷暑の夏、一般の人々は「暑さ」にどのような対策をしているのだろうか。株式会社アイスタットは7月20日に「夏の暑さ対策」に関するアンケートを行った。アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員20~59歳の300人が対象。 調査期間:2023年7月20日 回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している300人(20~59歳、有職者)

不要な抗菌薬処方、60歳以上の医師に多く特定の医師に集中か

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含むウイルス感染症には、抗菌薬が無効であるにもかかわらず、抗菌薬が処方されている実態が報告されている。ただし、抗菌薬処方に関連する医師や患者の特徴については明らかになっていない。そこで、東京大学大学院医学系研究科の宮脇 敦士氏らは、本邦の一般開業医を対象としたデータベース(Japan Medical Data Survey:JAMDAS)を用いて、COVID-19の外来受診データを分析した。その結果、本邦のCOVID-19のプライマリケアにおいて、抗菌薬の処方は少数の診療所に集中していた。また、60歳以上の医師は抗菌薬の処方が多かった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年7月25日号のリサーチレターで報告された。

アスピリンは健康な高齢者ではむしろ副作用のリスク増

 低用量アスピリンは脳卒中の予防に広く用いられているが、高齢者においては脳卒中の有意な減少は認められず、むしろ頭蓋内出血が有意に増加したという結果が示された。オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学のGeoffrey C. Cloud氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2023年7月26日号に掲載された。  この報告は、高齢者における低用量アスピリンのリスクとベネフィットのバランスを検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験Aspirin in Reducing Events in the Elderly(ASPREE)の2次解析の結果である。参加者は米国とオーストラリア在住の心血管疾患の既往のない70歳以上の高齢者で、募集は2010~14年に行われた。追跡期間中央値は4.7(四分位範囲[IQR]:3.6~5.7)年で、本解析は2021年8月~2023年3月に行われた。

オメガ3脂肪酸、肺機能にも好影響

 肺機能の低下や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症には炎症が関与する。そこで、抗炎症作用を有するオメガ3脂肪酸が肺機能の低下やCOPDの予防に役立つ可能性が考えられており、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高いと肺機能が高いことも報告されている。しかし、オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能の経時変化を調べた報告はなく、因果関係は不明である。そこで、米国・コーネル大学のBonnie K. Patchen氏らは、前向きコホート研究およびメンデルランダム化研究により、オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能、気流閉塞との関連を検討した。その結果、オメガ3脂肪酸(とくにドコサヘキサエン酸[DHA])の血中濃度が高いと肺機能の維持に良い影響があることが示された。本研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2023年7月20日号で報告された。