内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

ヘム鉄摂取が2型糖尿病のリスクを高める

 ヘム鉄の摂取が2型糖尿病のリスク増大と関連しているとする研究結果が、「Nature Metabolism」に8月13日掲載された。米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のFenglei Wang氏らの研究によるもの。未加工の赤肉を好む食事パターンが2型糖尿病のリスクを高めるとされているが、その関連性の多くは、ヘム鉄の過剰摂取で説明可能と考えられるという。  これまでにも、食事からのヘム鉄の摂取が2型糖尿病のリスク増大と関連していることが示唆されてきているが、血液バイオマーカーなどを絡めた検討は十分に行われていない。Wang氏らはこの点について、米国内で実施されている観察期間が最長36年間におよぶ3件の大規模コホート研究のデータを用いた検討を行った。

医師の飲酒状況、ALT30超は何割?年齢が上がるほど量も頻度も増える?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省は2024年2月に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表し、国民に向けて、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を推進している。こうした状況を踏まえ、日頃から患者さんへ適切な飲酒について指導を行うことも多い医師が、自身は飲酒とどのように向き合っているかについて、CareNet.com会員医師1,025人を対象に『医師の飲酒状況に関するアンケート』で聞いた。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。本ガイドラインの認知度や、自身の飲酒量や頻度、飲酒に関する医師ならではのエピソードが寄せられた。

高齢患者の痛みに抗うつ薬は有効か

 医師は、高齢者の身体の痛みを和らげるために抗うつ薬を処方することがあるが、新たなシステマティックレビューとメタアナリシスにより、この治療法を支持する十分なエビデンスはほとんどないことが明らかになった。シドニー大学(オーストラリア)公衆衛生学部および筋骨格健康研究所のChristina Abdel Shaheed氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Clinical Pharmacology」に9月12日掲載された。  多くの国において、高齢者に対する抗うつ薬の最も一般的な適応は痛みである。今回の研究でAbdel Shaheed氏らは、65歳以上の高齢者を対象に、痛みの治療薬としての抗うつ薬の有効性と安全性について他の代替治療と比較したランダム化比較試験のエビデンスの評価を行った。

不安症に対するベンゾジアゼピン使用、気分障害や物質使用障害の長期リスクと関連

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、不安症に広く用いられる薬剤であるが、メンタルヘルスへの長期的な影響、とくに慢性的なBZD使用とその後の気分障害や物質使用障害(SUD)との潜在的な関連性は、あまりよくわかっていない。米国・ワシントン大学のChing-Fang Sun氏らは、不安症に対するベンゾジアゼピン使用と、その後の気分障害やSUDリスクとの関連を明らかにするため、5年間にわたるレトロスペクティブコホート研究を実施した。Drug and Alcohol Dependence Reports誌2024年9月号の報告。

8年ぶりの新薬登場、非専門医も押さえておきたいてんかん診療の今/ユーシービー

 部分発作を適応とする抗てんかん薬として、国内8年ぶりの新薬ブリーバラセタム(商品名:ブリィビアクト錠25mg、同50mg)が2024年8月30日に発売された。ユーシービージャパンは10月2日、「てんかん治療の新たな一歩~8年ぶりの新薬登場~」と題したメディアセミナーを開催。川合 謙介氏(自治医科大学附属病院脳神経外科)、岩崎 真樹氏(国立精神・神経医療研究センター病院脳神経外科)らが登壇し、てんかん診療の現状と課題、ブリーバラセタムの臨床試験結果などを解説した。

コーヒーは動脈硬化に影響するか

 習慣的なコーヒー摂取によって心臓足首血管指数(CAVI)には変化がなく、動脈硬化に影響を及ぼさないことが、イタリア・University Milano-BicoccaのRaffaella Dell’Oro氏らの研究で示唆された。この結果は習慣的にコーヒーを摂取しても血圧に有意な影響がないことを支持するかもしれない。American Journal of Hypertension誌2024年10月号に掲載。  本研究は、PAMELA研究の第3回フォローアップで募集された514人(平均年齢±SD:66.6±9.9歳)を対象に、習慣的なコーヒーの1日摂取量によって3群(0、1~2、3杯/日以上)に分け、CAVI、診療所血圧、自由行動下血圧などを測定した。

体内での金属の蓄積は心血管疾患の悪化をもたらす?

 カドミウムやウラン、コバルトなどの環境中に存在する金属が、人間の体内に蓄積して心血管疾患を悪化させる可能性のあることが、米コロンビア大学のKatlyn McGraw氏らの研究で示唆された。研究参加者から採取された尿検体に含まれるさまざまな金属の濃度上昇に伴い、心血管疾患の重要な要素である硬く石灰化した動脈の指標も上昇することが判明したという。研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology」に9月18日掲載された。  McGraw氏は同大学のニュースリリースの中で、「本研究結果から、金属への曝露をアテローム性動脈硬化症と心血管疾患の重要なリスク因子として考慮することの重要性が明らかになった。これが、金属曝露をターゲットにした新たな予防戦略や治療戦略につながる可能性がある」と述べている。

長期的な運動は脂肪の健康的な蓄積に役立つ

 長い間、定期的に運動しているのに、いまだにぽっこりと出たお腹を見て苛立つことはないだろうか。そんな人にとって心強い研究結果が報告された。たとえ腹筋が割れた状態にならなくても、運動によって脂肪の蓄積としてはより健康的な皮下脂肪の蓄積が促進され、長期的には健康に良い影響を及ぼすことが明らかになった。研究論文の上席著者である、米ミシガン大学運動学部運動科学分野のJeffrey Horowitz氏は、「数カ月から数年にわたる定期的な運動は、カロリー消費の手段となるだけでなく、加齢に伴い体重が増加した場合でも、脂肪をより健康的に蓄えることができるように脂肪組織を変化させるようだ」と述べている。この研究の詳細は、「Nature Metabolism」に9月10日掲載された。

歯の数は日本人の平均余命にどの程度影響するか?

 これまでの研究において、歯の喪失が認知症リスクの増加と関連していることが報告されている。しかし、歯の数と認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。東北大学の木内 桜氏らは、日本人高齢者の歯の数と認知症のない平均余命および認知症の有無によらない平均余命との関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2024年9月11日号の報告。  2010〜20年の10年間フォローアップ調査を行った。対象は、日本の9つの自治体に在住する、機能的に自立した65歳以上の高齢者。歯の数は、20本以上、10〜19本、1〜9本、0本に分類した。アウトカムとして、10年間のフォローアップ期間中における認知症の発症および死亡率を収集した。歯の数に応じ、認知症のない平均生存率および全生存率を推定するため、multistate modelingを用いた。

脳卒中後には睡眠パターンが変わる?

 一晩の正常な睡眠時間は6〜8時間と考えられているが、脳卒中生存者の中でこの健康的な睡眠時間を維持できている人は半数以下に過ぎないことが、新たな研究で明らかにされた。この研究では、脳卒中の既往がある人の多くで、一晩の睡眠時間が長過ぎるか短過ぎるかのいずれかであることが示されたという。米デューク大学医学部のSara Hassani氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に9月11日掲載された。  論文の筆頭著者であるHassani氏は、「適切な睡眠時間は、理想的な脳と心臓の健康に不可欠だと考えられている。長過ぎたり短過ぎたりする睡眠は脳卒中後の回復に影響し、生活の質(QOL)を低下させる可能性がある。この研究結果を受けて、脳卒中の既往がある人が睡眠問題を抱えていないかを検査し、問題がある人の睡眠習慣を改善する方法を検討すべきだ」と主張している。