一晩の正常な睡眠時間は6〜8時間と考えられているが、脳卒中生存者の中でこの健康的な睡眠時間を維持できている人は半数以下に過ぎないことが、新たな研究で明らかにされた。この研究では、脳卒中の既往がある人の多くで、一晩の睡眠時間が長過ぎるか短過ぎるかのいずれかであることが示されたという。米デューク大学医学部のSara Hassani氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に9月11日掲載された。
論文の筆頭著者であるHassani氏は、「適切な睡眠時間は、理想的な脳と心臓の健康に不可欠だと考えられている。長過ぎたり短過ぎたりする睡眠は脳卒中後の回復に影響し、生活の質(QOL)を低下させる可能性がある。この研究結果を受けて、脳卒中の既往がある人が睡眠問題を抱えていないかを検査し、問題がある人の睡眠習慣を改善する方法を検討すべきだ」と主張している。
この研究では、米国国民健康栄養調査(NHANES)の2005年から2018年のデータを用いて、18歳以上の成人3万9,559人を対象に、正常な睡眠時間を維持している人の割合を、自己報告による脳卒中の既往がある人とない人との間で比較した。対象者の中で脳卒中の既往があることを報告したのは1,572人であった。対象者は2年おきに、ウィークデーと週末の夜間の睡眠時間についての報告が求められており、その報告内容を基に、睡眠時間を、「短い」(6時間未満)、「正常」(6〜8時間)、「長い」(8時間超)の3つのカテゴリーに分類した。
その結果、3つの年齢層(18〜44歳、45〜64歳、65歳以上)を問わず、脳卒中の既往がある人ではない人に比べて、「正常」な睡眠時間を維持している人が少ない傾向にあり、その割合は、18〜44歳では32%対54%、45〜64歳では47%対55%、65歳以上では45%対54%であった。年齢や体重、高血圧などの睡眠に影響を与え得る因子を考慮して解析した結果、脳卒中の既往がある人ではない人に比べて、睡眠時間が8時間超であることを報告する可能性が54%(オッズ比1.54、95%信頼区間1.22〜1.94)、6時間未満であることを報告する可能性が50%(同1.50、1.21〜1.85)有意に高いことが示された。
Hassani氏はNeurology誌のニュースリリースの中で、「過去の研究では、脳卒中は睡眠障害、特に睡眠時無呼吸と関連付けられている。脳卒中の既往がある人には、不眠症や過度の眠気などの症状がよく見られるが、そうした症状は、脳卒中自体の直接的または間接的な結果として生じている可能性がある。今後の研究では、脳卒中と睡眠時間の関係をさらに調査し、睡眠時間が脳卒中後の転帰に与える影響を明らかにする必要がある」と述べている。
[2024年9月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら