内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:265

COVID-19の積極的疫学調査の最終報告/感染研

 国立感染症研究所は、9月27日に同研究所のホームページにおいて、「新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(最終報告)」を公開した。  この報告は、感染症法(第15条第1項)に基づいた積極的疫学調査で集約された、各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の退院患者の情報に関する最終報告である。  なお、「本情報は統一的に収集されたものではなく、各医療機関の退院サマリーの様式によるため解釈には注意が必要」と解析の読み方に注意を喚起している。調査は一定の情報が得られたことにより5月25日をもって停止している。

うつ病の1次予防効果

 うつ病に対する1次予防は、疾患の経過を改善する可能性があるものの、その効果についてはよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのGonzalo Salazar de Pablo氏らは、うつ病の1次予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年11月1日号の報告。  2020年6月までに公表された研究を、PubMed、Web of Scienceよりシステマティックに検索した(PRISMA and RIGHT)。抑うつ症状(効果測定:標準化平均差[SMD])またはうつ病性障害(効果測定:相対リスク[RR])の1次予防のための介入について、メタ解析を実施した。結果は、年齢範囲、対象集団(一般および/またはリスクあり)、介入タイプにより層別化した。品質(AMSTAR/AMSTAR-PLUS content)および信頼性(高中低で評価)も評価した。推奨事項の評価には、USPSTF grading systemを用いた。

ハイブリッド・ワクチンは同種ワクチンより優れているか?(解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

1回目のワクチン接種(priming)と異なったワクチンを2回目に接種(booster)する方法は異種ワクチン混在接種(heterologous prime-boost vaccination)と呼称されるが、論評者らはハイブリッド・ワクチン接種と定義し、以前の論評でそれまでの論文を紹介した(山口, 田中. CareNet論評-1429)。しかしながら、その時の論評で取り上げることができなかった重要な論文がその後に出版された(Liu X, et al. Lancet. 2021;398:856-869.)。本論評では、Liu氏らの論文に焦点を絞りハイブリッド・ワクチンの臨床的意義について再考する。

経口コロナ治療薬molnupiravir、第III相中間解析で入院・死亡リスクを半減/米・メルク

 米・メルクは10月1日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬molnupiravir(MK-4482/EIDD-2801)について、日本を含む世界173施設で実施中の第III相試験(MOVe-OUT)の中間解析結果を公表した。2021年8月5日までに登録された軽度~中等度のCOVID-19患者775例について解析したところ、molnupiravir群では投与後29日目までの入院・死亡がプラセボ群と比べ約50%減少したことがわかった。MOVe-OUT試験は最終的に1,550人規模の被験者で実施する予定だったが、中間解析のポジティブな結果を受け、新たな被験者の登録はすでに停止している。メルクは、近くFDAに対し緊急使用許可(EUA)を申請する方針。承認されれば、COVID-19に対する初の経口治療薬となる見通しだ。

片頭痛患者の機能障害に対する抗CGRP抗体の効果~メタ解析

 成人片頭痛患者に関連する障害への抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(抗CGRP)モノクローナル抗体の効果を調査するため、インド・IQVIAのPrashant Soni氏らは、ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2021年8月23日号の報告。  2020年5月までに報告された文献をMEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索し、臨床試験レジストリの追加レビューを行った。頭痛関連の障害を評価するための片頭痛障害評価(MIDAS)スコアのベースラインからの変化を評価した。ネットワークメタ解析は、OpenBUGSとRを用いてベイズフレームワークで実施し、治療効果比較の研究間の不均一性を考慮し、変量効果モデルを用いた。

mRNAワクチン有効率、基礎疾患の有無で差なし/NEJM

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクがある集団や、COVID-19の世界的大流行の影響を過度に受けている人種/民族集団を含む米国の医療従事者において、実臨床下でのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]、mRNA-1273[Moderna製])の接種は、症候性COVID-19の予防に関して高い有効性を発揮し、年齢や基礎疾患、感染者との接触の程度が異なる集団でも有効率に差はないことが、米国疾病予防管理センターのTamara Pilishvili氏らVaccine Effectiveness among Healthcare Personnel Study Teamの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年9月22日号に掲載された。

IgG monoclonal抗体製剤はワクチンの代替薬になりえるか?(解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

本論評では、遺伝子組み換えIgG monoclonal抗体治療の基礎をなす回復期血漿治療の変遷を考慮しながらmonoclonal抗体治療の臨床的意義について考察する。長年、インフルエンザ肺炎に対して古典的回復期血漿治療が施行されてきた。また、2002~03年のSARSに対しても回復期血漿治療が試みられたが満足いく結果が得られず、抗体依存感染増強(ADE:antibody-dependent enhancement of infection)を呈した症例が少なからず存在した。新型コロナに対しても回復期血漿治療が試行錯誤されたが、今年になって発表された2つの論文は新型コロナに対する回復期血漿治療が無効、あるいは、逆に、病態を悪化させる可能性があることを指摘した。

モデルナ製ワクチン第III相最終解析、重症化予防効果は/NEJM

 mRNA-1273ワクチン(Moderna製)は、2回接種後5ヵ月以上にわたり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症および重症化の予防に有効で、無症候性感染も減少した。米国・Baylor College of MedicineのHana M. El Sahly氏らが、mRNA-1273ワクチンの安全性および有効性を検証した無作為化観察者盲検プラセボ対照第III相試験における盲検期の最終解析結果を報告した。mRNA-1273ワクチンは、この試験の中間解析で有効率94.1%を示し、緊急使用が許可された後、プロトコールが修正され非盲検期が追加されていた。NEJM誌オンライン版2021年9月22日号掲載の報告。

12~17歳でのmRNA-1273ワクチンの安全性と有効性を考える(解説:田中希宇人氏、山口佳寿博氏)

COVID-19の小児例は成人例に比べ症例数も少なく、ほとんどが無症状や軽症例であることがわかっている。COVID-19の臨床像を小児も含めた年齢層別に検討したイタリアからの報告では入院率、重症例の割合は年齢を重ねるごとに増加し、無症状例や軽症例は年齢とともに減少していた。3,836例の小児例の解析では約40%が無症状であり、ごく軽症や軽症を含めると95%以上という結果であった。ここで報告されている4例の小児死亡例は全例が6歳以下で、心血管系や悪性腫瘍の基礎疾患を併存している症例のみであり、新型コロナウイルスが原因とは考えられていなかった(Bellino S, et al. Pediatrics. 2020;146:e2020009399. )。本邦でも国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの共同研究『COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)』を利用したCOVID-19の小児例が報告されている(Shoji K, et al. J Pediatric Infect Dis Soc. 2021 Sep 6. [Epub ahead of print])。1,038例の18歳未満のCOVID-19例では約30%が無症状であり、症状を認めた730例のうち酸素投与まで必要となってしまう小児は15例(2.1%)であったとの報告である。

エンレストが「高血圧症」の効能追加の承認取得/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは9月27日のプレスリリースで、同社の慢性心不全治療薬であるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)の「エンレスト」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)について、「高血圧症」の効能追加の承認を取得したと発表した。本剤は2021年2月にロシアで、同年6月に中国で高血圧症での承認を取得しているが、日本国内におけるANRIの高血圧症に対する承認取得は初めて。  ARNIのエンレストは、ネプリライシン(NEP)とレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を同時に阻害する新規作用機序を有する薬剤。日本人の軽症または中等症の本態性高血圧症患者を対象とした国内第III相試験(A1306試験)において、エンレストを1日1回200 mg投与した時、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のオルメサルタンに対して有意な降圧効果を示した上、オルメサルタンを上回る24時間持続的な降圧効果を示した。安全性および忍容性については、臨床試験で既存のARBと同等であることが示されている。