内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:322

急性虫垂炎、経口抗菌薬単独での効果は?/JAMA

 合併症のない急性虫垂炎の成人患者において、7日間の経口モキシフロキサシンによる治療(経口抗菌薬単独治療)と、2日間のertapenem静脈内投与を行い、続いて5日間のレボフロキサシンおよびメトロニダゾールを投与する治療(抗菌薬静脈内投与-経口治療)を比較した結果、両群の治療成功率はともに65%を超え、治療成功に関する経口抗菌薬単独治療の抗菌薬静脈内投与-経口治療に対する非劣性は示されなかった。フィンランド・トゥルク大学のSuvi Sippola氏らが、同国内9病院を対象に行った多施設共同非盲検無作為化非劣性試験「APPAC II試験」の結果を報告した。抗菌薬は、合併症のない急性虫垂炎の治療において手術に代わる効果的で安全な治療となっている。しかし、至適な抗菌薬レジメンは不明であった。JAMA誌オンライン版2021年1月11日号掲載の報告。

J&Jの新型コロナワクチン、 安全性と免疫原性を確認/NEJM

 開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規ワクチン候補Ad26.COV2.Sは、18~55歳および65歳以上のいずれの集団においても、良好な安全性と免疫原性プロファイルを示すことが、オランダ・Janssen Vaccines and PreventionのJerald Sadoff氏らが行ったCOV1001試験の中間解析で明らかとなった。これらの知見は、このワクチンのさらなる開発の継続を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年1月13日号に掲載された。Ad26.COV2.Sは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の完全長・安定化スパイク(S)蛋白質をコードする遺伝子組み換え非増殖型アデノウイルス血清型26(Ad26)ベクターで、武漢株の最初の臨床分離株に由来する。Ad26ベクターは、欧州医薬品庁(EMA)の承認を受けたエボラワクチンや、RSウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ジカウイルスのワクチン候補として使用されており、Ad26ベクターをベースとするワクチンは一般に安全で、免疫原性が高いとされる。

治療フローが様変わり、「肝硬変診療ガイドライン2020」の変更点とは

 肝硬変の非代償期と聞けば誰しもが諦めていたものだが、時代遅れと言われぬよう、この感覚をアップデートさせねばならないようだー。2020年11月、『肝硬変診療ガイドライン2020(改定第3版)』が発刊された。第2版が発刊された2015年から5年もの間に肝硬変治療に関する知見が数多く報告され、治療法は目まぐるしく変化している。そのため、海外の最新治療ガイドライン(GL)と齟齬がないように、かつ日本の実地診療に即したフローとなるよう留意し、日本肝臓学会と日本消化器病学会が対等の立場で初めて合同作成した。今回、その作成委員長を務めた吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器・代謝内科 教授)に非専門医もおさえておくべき変更点やGLの活用方法についてインタビューした。

新型コロナ、トイレでの感染リスクは?

 中国・江蘇省疾病予防管理センターの研究者らが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者専用病院内のトイレとトイレ以外での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出状況を調査するため、環境サンプリングを収集し、環境要因を分析した。その結果、SARS-CoV-2陽性を示した4点のサンプルはすべて患者トイレに関連するもので、病棟のドアハンドル、便座カバー、バスルームのドアハンドルから検出された。Science of The Total Environment誌2021年1月20日号掲載の報告。  研究者らはCOVID-19データとして空気流及びCO2濃度の測定を実施。表面サンプルを107点、空気サンプルを46点、隔離室(1部屋3ベッド)内外の呼気凝縮液サンプルと呼気サンプルを2点ずつ収集し、分析した。

COVID-19、半年後も6割強に倦怠感・筋力低下/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で急性症状を呈した入院患者は、退院後6ヵ月時点で、主に倦怠感・筋力低下、睡眠困難、不安・うつに悩まされていることが明らかにされた。中国・Jin Yin-tan病院(武漢市)のChaolin Huang氏らが、1,733例の入院患者についてフォローアップ試験を行い明らかにした。COVID-19の長期的な健康への影響はほとんど明らかになっていないが、今回の検討では、入院中の症状が重症だった患者について、肺の拡散障害および画像所見の異常がより深刻であることも示され、著者は「これらの集団が、長期的な回復介入を必要とする主なターゲット集団である」と述べている。Lancet誌2021年1月8日号掲載の報告。

高齢者ニーズに合わせたイグザレルトOD錠発売/バイエル薬品

 バイエル薬品株式会社は、選択的直接作用型第Xa因子阻害剤(経口抗凝固剤)リバーロキサバン(一般名)の新剤形として、「(商品名)イグザレルトOD錠 10mg」・「同 15mg」を1月18日に発売した。  リバーロキサバンは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中・全身性塞栓症の発症抑制や、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の治療・再発抑制の成人への適応として承認され、2012 年よりわが国で販売、広く処方されている。  今回新たに発売されたリバーロキサバンの新剤形は、嚥下力の低下、複数の薬剤の服用といった高齢者が抱える服薬上のニーズに応えるため、日本向けの製剤としてわが国で独自に開発したもので、唾液で速やかに崩壊するため、水なしでも服用ができる。

咽喉頭症状にPPI治療は有益か?/BMJ

 持続性咽喉頭症状を呈する患者に対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)治療にはベネフィットがないことが、英国・Freeman HospitalのJames O'Hara氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。評価に用いたreflux symptom index(RSI)のPPI群とプラセボ群のスコアは、治療16週後およびフォローアップ12ヵ月時点で同等であった。一般集団の半数近くが咽喉頭のしこり感を気に掛けており、咽喉頭症状は1次医療から2次医療への紹介の一般的な理由になっている。英国の1次医療および2次医療では、咽喉頭症状には経験的治療としてPPIが広く処方されているが、これまで公表されている咽喉頭症状に対するPPI治療のメタ解析は、包含されている試験の規模が小さく、結果は限定的であったという。BMJ誌2021年1月7日号掲載の報告。

片頭痛患者の神経障害性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、末梢神経障害の一般的な特徴である神経因性疼痛の発症に関連することを示すエビデンスが増加している。臨床研究では、抗CGRPモノクローナル抗体が、片頭痛の予防に効果的であることが示唆されているが、ヒトの神経因性疼痛を含む非頭痛の慢性疼痛に対する効果は明らかになっていない。米国・ミズーリ大学のSeung Ah Kang氏らは、慢性片頭痛を合併している患者の神経因性疼痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性について、評価を行った。Muscle & Nerve誌オンライン版2020年12月21日号の報告。

うつ症状が心血管疾患発症と関連/JAMA

 22コホート・参加者56万3,255例のデータを包含したプール解析において、ベースラインのうつ症状は心血管疾患(CVD)と関連していることを、英国・ケンブリッジ大学のEric L. Harshfield氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)研究グループが明らかにした。ただし、症状レベルは大うつ病性障害を示す閾値よりも低く、関連の程度はわずかであった。これまで、うつ症状が独立してCVD発症と関連するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年12月15日号掲載の報告。

コロナ病床は簡単には増やせない、医療壊滅を防ぐために/日医

 感染者数の増加が続き、各地で医療体制のひっ迫が叫ばれる中、日本の医療体制の在り方についても様々な意見が報道・発信されている。1月13日の日本医師会定例記者会見において、中川 俊男会長は改めて国民に対し協力を要請するとともに、日本の医療提供体制の現状を説明し、日医として引き続き行っていく働きかけ、施策について説明した。  公立・公的等病院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)受け入れ割合が約70~80%である一方、民間病院が約20%というデータに対し、より多くの民間病院が新型コロナ患者を受け入れるべきという意見がある。