内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:322

メニューへのカロリー表示が健康や経済にメリット、AHAニュース

 飲食店のメニューにカロリー表示を求める現行の連邦法は、健康的な食事の選択を促し、心血管疾患や糖尿病の患者数の減少に寄与する可能性があるとする研究結果が報告された。このモデリング研究では、人々が飲食店の栄養表示を考慮して注文することによって、2018年から2023年までに心血管疾患を1万4,698件(このうち心血管疾患による死亡は1,575件)、2型糖尿病を2万1,522件回避できると推定された。結果の詳細は米国心臓協会(AHA)が発行する「Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes」6月4日オンライン版に発表された。

次亜塩素酸水は物品消毒に有効、空間噴霧は勧められない

 6月26日、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)が実施した新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を踏まえ、経済産業省、厚生労働省、消費者庁が合同で、消毒・除菌方法に関する情報を取りまとめた。次亜塩素酸水は、物品における新型コロナウイルスの消毒に対して、一定条件下での有効性を報告した一方、手指消毒や空間噴霧の有効性・安全性は評価されておらず、まわりに人がいる中での空間噴霧はお勧めできないと注意喚起している。

軽度認知障害や初期アルツハイマー病の短時間スクリーニング法

 岩手医科大学の赤坂 博氏らは、軽度認知障害(MCI)や初期アルツハイマー病(AD)などの早期認知障害患者のスクリーニングツールとして、老研式活動能力指標(Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology index of competence:TMIG-IC)を用いて評価した日常生活の機能活動の臨床的有用性について検証を行った。日本老年医学会雑誌2020年号の報告。  対象は、クリニックから連続登録を行ったMCI(39例)とAD患者(FAST分類4:50例、FAST分類5以上:19例)およびコミュニティベースコホートより抽出した健康対照者(NC群:187例)。すべての対象者およびその家族に対し、TMIG-ICを用いた調査を行った。合計スコアおよびサブスケールスコアについて、群間比較を行った。また、MCIとADの診断精度の検討も行った。

COVID-19入院患者にバリシチニブ治験へ/リリー

 米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、成人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者を対象に、インサイト(Incyte)社からライセンス供与されている経口JAK1/JAK2阻害剤バリシチニブの有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験に、最初の患者が組み入れられたことを6月15日に発表した。 ■試験の概要  本試験には400人の患者が組み入れられ、米国、欧州およびラテンアメリカで実施される予定。なお、患者はSARS-CoV-2感染により入院し、試験組み入れ時に、少なくとも1種類の炎症マーカーの上昇があるが侵襲的機械換気(気管挿管による人工呼吸)を必要としない患者が対象となる。

サクビトリルバルサルタンが製造販売承認を取得/ノバルティス ファーマ

 ノバルティスファーマは、6月29日にアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(商品名:エンレスト)について、「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果として製造販売承認を取得した。  今回承認されたサクビトリルバルサルタンは、心不全の病態を悪化させる神経体液性因子の1つであるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰な活性化を抑制するとともに、RAASと代償的に作用する内因性のナトリウム利尿ペプチド系を増強し、神経体液性因子のバランス破綻を是正することを一剤で可能にした、新しいアプローチの薬剤。

新型コロナウイルスの感染伝播防止に有効な対策(解説:小金丸博氏)-1252

COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は人と人との密な接触で広がっていく。本稿執筆時点では、有効性が示された治療薬や予防ワクチンはなく、感染拡大をいかにして防止するかは重要なテーマである。今回、COVID-19、SARS、MERSの原因ウイルスの伝播防止に、身体的距離、マスクの着用、眼の防護が有効な対策となりうることを示したシステマティックレビューとメタ解析がLancet誌オンライン版より報告された。これまでのメタ解析は、季節性インフルエンザなどの呼吸器系ウイルスに関するランダム化試験や不正確なデータを基にし、医療施設内での予防効果に焦点を合わせたものであったが、本論文ではSARS-CoV-2を含むコロナウイルスのデータに絞り、医療施設内のみでなく市中での感染予防効果に関するデータを含んでいることが特徴である。

COVID-19重症化リスクのガイドラインを更新/CDC

 6月25日、米国疾病予防管理センター(CDC)はCOVID-19感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新し、サイトで公開した。  CDCは、重症化リスクの高い属性として「高齢者」「基礎疾患を持つ人」の2つを挙げ、それぞれのリスクに関する詳細や感染予防対策を提示している。また、今回からリスクを高める可能性がある要因として、妊娠が追加された。  米国で報告されたCOVID-19に関連する死亡者の8割は65歳以上となっている。 ・他人との接触を避け、やむを得ない場合は手洗い、消毒、マスク着用などの感染予防策をとる。 ・疑い症状が出た場合は、2週間自宅に待機する。 ・イベントは屋外開催を推奨、参加者同士で物品を共有しない。 ・他疾患が進行することを防ぎ、COVID-19を理由に緊急を要する受診を遅らせない。 ・インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンを接種する。 ・健康状態、服薬状況、終末期ケアの希望などをまとめた「ケアプラン」を作成する。

フレイルの健診に有用なテキスト公開/国立長寿医療研究センター

 2020年6月、健康長寿教室テキスト第2版が国立長寿医療研究センターの老年学・社会科学研究センターのホームページ上に公開された。これは同施設のフレイル予防医学研究室(室長:佐竹 昭介氏)が手がけたもので、2014年に初版が発刊、6年ぶりの改訂となる。  健康長寿教室テキストは介護予防に役立てるためのパンフレットで、フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)に関する基本的概念に加え、実践編として「お口の体操」「運動」「フレイルや低栄養を予防するための食事の工夫やレシピ」などが掲載されている。このほかにも、最新の話題として、新型コロナなどによる外出制限時の対策にも応用できる内容が紹介されている。なお、健康長寿教室テキストは無料でダウンロードして使えるため、後期高齢者健康診査(いわゆるフレイルの健診)、スタッフ研修、敬老会の資料としても有用である。

週1回のインスリンの有効性・安全性/ノボ ノルディスク ファーマ

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のinsulin icodec*の第II相試験で1日1回投与のインスリン グラルギンU100と同程度の有効性および安全性を示したことを6月19日にリリースするとともに、第80回米国糖尿病学会で発表した。  本試験は、DPP-4阻害薬の併用または非併用下でメトホルミンによって十分にコントロールされていないインスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者247名を対象とした、26週間、無作為割り付け、二重盲検、ダブルダミー、treat-to-target、第II相臨床試験。

リンチ症候群の大腸がん予防にアスピリンが有効/Lancet

 リンチ症候群は、大腸がんのリスクを増大させ、他の広範ながん、とくに子宮内膜がんと関連する。英国・ニューカッスル大学のJohn Burn氏ら「CAPP2試験」の研究グループは、リンチ症候群における大腸がんの予防において、アスピリンの2年投与はプラセボに比べ、その発症を有意に抑制することを確認した。研究の成果は、Lancet誌2020年6月13日号に掲載された。本試験では、2011年(平均フォローアップ期間55.7ヵ月[SD 31.4])の時点におけるアスピリンによる遺伝性大腸がんの予防効果を報告している。今回、予定されていた10年間のフォローアップを終了したことから、この高リスク集団における定期的なアスピリン服用の長期的な有効性のデータが報告された。