内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:485

心血管疾患既往のない糖尿病患者の適切な降圧目標は?/BMJ

 2型糖尿病患者において、現行の推奨値よりも低値の収縮期血圧値は、心血管イベントの有意なリスク低下と関連することが、スウェーデン・イエーテボリ大学のSamuel Adamsson Eryd氏らによる国民ベースのコホート試験の結果、示された。この所見は、心血管疾患既往のない2型糖尿病患者についてみられたもので、著者は「先行研究で示された血圧低値と死亡増大の関連は、降圧治療というよりも合併症によるものと思われる」と述べている。最近の高血圧ガイドラインにおいて、2型糖尿病患者の降圧目標は、130mmHg以下から140mmHg以下へと緩和された。背景には、低値目標を支持する決定的な無作為化試験がないこと、および観察研究で血圧値と合併症にJカーブの関連を認めることが示唆されたためであった。BMJ誌オンライン版2016年8月4日号掲載の報告より。

多面的な心血管リスク対策で認知症を防げるか?/Lancet

 無作為に抽出した高齢者において、看護師主導による心血管リスク因子に焦点を絞った多面的な介入は、認知症発症率の減少には至らなかった。オランダ・Academic Medical CenterのEric P Moll van Charante氏らが、The Prevention of Dementia by Intensive Vascular care trial(preDIVA試験)の結果、報告した。先行研究では、心血管リスク因子の改善が認知症を予防する可能性が示唆されていた。今回の研究で介入の効果を確認できなかった理由について著者は、「ベースライン時、すでに軽度の心血管リスクを有し、プライマリケアで高い水準のリスク管理が行われていたことによる」と考察したうえで、未治療の高血圧患者においては介入により臨床的に意味のある効果が得られていることから、「今後は選択された集団で介入の有効性を評価すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月26日号掲載の報告。

日々の適度な身体活動が長時間座位による死亡リスクを抑制/Lancet

 毎日の適度な身体活動(1日約60~75分)は、長時間座位と関連する死亡リスクを排除すると思われることが、英国・ケンブリッジ大学のUlf Ekelund氏らによる男女100万人超のデータをメタ解析した結果、明らかにされた。一方で、同活動はTV視聴時間と関連する死亡リスクについては、低減はするが排除するまでには至らなかった。長時間座位は多くの慢性症状や死亡との関連が示唆されている一方、身体活動が長時間座位による有害作用を減少もしくは排除にまで至るのかは不明であった。著者は、「検討の結果は、とくに長時間座位労働者が増えており、今後パブリックヘルスの推奨が行われていく社会において、身体活動のベネフィットについてさらなるエビデンスを提供するものだった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月27日号掲載の報告。

糖尿病治療薬の選択と心血管アウトカム(解説:田中 敦史氏/野出 孝一 氏)-574

近年、報告が相次ぐ新規糖尿病治療薬の心血管アウトカム試験は、そのたびに大きな注目を集め、われわれ臨床家・研究者に新たな研究テーマをもたらしている。しかしその一方で、それら欧米での試験結果が、本邦での糖尿病日常診療にどれほどのインパクトを与えているのか、いまだ不透明な部分もある。事実、それらの心血管アウトカム試験では非常に限定的な対象者に対して、ごく短期間で従来治療群との間に非劣性を証明するための試験デザインが組まれており、当該薬剤のポテンシャルを十分に引き出せているのかどうかについては、熟考の余地があるように思われる。とくに過去の一部の試験では、心不全入院のリスクや心血管死、さらには総死亡のリスク増加を証明された薬剤もあり、一度植えつけられたそれらのリスクを払拭するのは容易なことではない。

不眠症になりやすい食事の傾向

 不眠症は、いくつかの健康上有害なアウトカムと関連している。これは、小規模な臨床研究により、不十分な栄養状態が関連していることが示唆されているが、住民ベースコホート研究による大規模な検討は行われていない。米国・ペンシルベニア州立大学のFeon W Cheng氏らは、不眠症の疑い例や不眠症状例のエネルギー摂取量と2年後の食事指数(AHEI)を用いて評価した食事の質について調査した。その結果、不眠症疑い例では、総エネルギー、トランス脂肪酸、ナトリウムの高摂取および野菜の低摂取との関連が認められたことを報告した。The American journal of clinical nutrition誌2016年8月号の報告。

気道感染症に対する抗菌薬処方の減少と感染症合併リスクの関係(解説:小金丸 博 氏)-573

プライマリケアでみられる気道感染症の多くは自然寛解が期待できる疾患であるが、実際は多くの気道感染症例に対して抗菌薬の投与が行われている。臨床医は、気道感染症に対して抗菌薬を投与しないと細菌合併症が増加する懸念を抱いているが、抗菌薬処方の減少と細菌感染症合併リスクの関係を示すデータは不足していた。

脳卒中の原因の9割を占める、10のリスク因子とは/Lancet

 世界の地域や人種、性別にかかわらず、全脳卒中発症の原因の約90%に関与する、10項目のリスク因子が明らかになった。たとえば、高血圧症または収縮期血圧/拡張期血圧が140/90mmHg以上だと、脳卒中発症リスクは約3倍、人口寄与危険度割合(PAR)は約48%に上るなどである。カナダ・マックマスター大学のMartin J. O’Donnell氏らが、32ヵ国142ヵ所の医療機関を通じて行った、標準化国際ケースコントロール試験「INTERSTROKE」の結果で、Lancet誌オンライン版2016年7月15日号で発表した。