内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:486

過体重・肥満は死亡リスクを増大:世界4地域のメタ解析/Lancet

 過体重および肥満により、世界の4つの地域で一貫して全死因死亡のリスクが増大していることが、Global BMI Mortality Collaborationの調査で明らかとなった。研究の成果はLancet誌オンライン版2016年7月13日号に掲載された。過体重(BMI 25.0~<30.0)およびGrade1の肥満(30.0~<35.0)では、標準体重(18.5~<25.0)に比べ全死因死亡のリスクは増大しないことが報告されている。一方、BMIと死亡との因果関係を高い信頼性の下で推定するには、逆因果関係の影響をできるだけ回避する必要があり、慢性疾患や喫煙はBMIに影響を及ぼす可能性があるという。

わが国のLDL-C目標値達成とスタチン処方の実態は?

 わが国のリアルワールドでの心血管高リスク患者の集団における調査から、日本動脈硬化学会(JAS)ガイドラインが推奨しているLDLコレステロール(LDL-C)目標値の達成率は低く、スタチンや他の脂質修飾薬の処方率も低いことが、帝京大学臨床研究センターの寺本 民生氏らの研究で明らかになった。Atherosclerosis誌オンライン版2016年7月4日号に掲載。

糖尿病治療薬、死亡・心血管リスクを下げる組み合わせは?/BMJ

 糖尿病治療薬の単独療法あるいは併用療法は、使用する薬剤によって心血管疾患(CVD)・心不全・死亡リスクに臨床的に重大な差があり、概してグリプチン系もしくはグリタゾン系(チアゾリジン系)を用いた場合はこれらを使用しない場合と比べて、CVD・心不全・死亡のリスクが低いことが明らかになった。英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らが、英国プライマリケアのデータベースを用いた2型糖尿病患者のコホート研究の結果、報告した。これまでいくつかの糖尿病治療薬は、臨床試験や市販後調査において心不全のリスク増加との関連が示唆され、総合的なリスクとベネフィットに関する懸念が高まったことから、大規模な2型糖尿病患者集団での糖尿病治療薬長期使用による臨床的アウトカムのリスク定量化が望まれていた。著者は、「今回の結果は、服薬アドヒアランスの程度や服薬量に関する情報はなく、適応による交絡を受けているが、糖尿病治療薬の処方に影響するかもしれない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年7月13日号掲載の報告。

BMI遺伝子リスクの影響、後年生まれほど強く関連/JAMA

 BMIと関連する変異遺伝子が複数あることは知られるが、その関連は20世紀の肥満の蔓延とともに変化したとされている。また、関連については人種差があるともされてきたが、それらを裏付ける報告が、米国・カリフォルニア大学のStefan Walter氏らにより示された。研究グループは、全米健康と退職に関する調査(Health and Retirement Study:HRS)の登録被験者で1900~58年生まれの50歳以上について調査。その結果、後年生まれの人ほどBMIとBMI遺伝子リスクスコアとの関連が強いことなどを明らかにした。著者は、「検討の結果は、既知のBMIに関連する遺伝子変異が、肥満を引き起こしやすい環境(obesogenic environments)によって修飾された可能性があることを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌2016年7月5日号掲載の報告。

その症状、夏風邪ではなく肺炎かもしれない

 「夏風邪は長引く」と慣用句的に言われるが、診察室に来た高齢の患者が長引く発熱や咳の症状を訴えた時、急性上気道炎と決めてかかるのは危険かもしれない。6月30日、都内でファイザー株式会社がプレスセミナー「夏風邪かと思っていたら肺炎に!? 高齢者が注意すべき夏の呼吸器疾患の最新対策」を開催した。講演に登壇した杉山 温人氏(国立国際医療研究センター病院 呼吸器内科診療科長)は、「肺炎はワクチンで予防できる呼吸器疾患だが、当事者である高齢患者たちはワクチン接種の必要性を感じておらず、接種を勧めたい医療者の認識との間に大きな乖離がある」と述べた。

気道感染症への抗菌薬処方を減らした影響は?/BMJ

 気道感染症に対する抗菌薬処方が減っても、肺炎と扁桃周囲膿瘍の発症リスクがわずかに増大するものの、乳様突起炎や蓄膿症、細菌性髄膜炎、頭蓋内膿瘍、レミエール症候群の合併症リスクは増加しなかった。英国キングス・カレッジ・ロンドンのMartin C. Gulliford氏らが、英国内610ヵ所のプライマリケア診療所を対象に行ったコホート試験の結果、示されたもので、BMJ誌オンライン版2016年7月4日号で発表した。