脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:29

44歳で脳卒中発症後にヨガインストラクターとして復帰した女性

 米国に住む韓国人女性、LeeAnn Waltonさんは当時、オフィスワークのほかに、ヨガのインストラクターをしていた。彼女のヨガクラスは大変な人気で、オフィスでの仕事が終わり次第、マンハッタンやその周辺のフィットネスクラブに駆けつけて指導するという毎日だった。  その日もウォームアップに続いて、いつものように指導を始めた。部屋の中を歩きながら生徒のフォームを手直ししている時、突然、頭の中で輪ゴムを鳴らしたような音がした。「変だな」とは思ったが、特に異常は感じなかった。しかし数分後、右手が不自然にねじれて発語も不明瞭になり始め、ついにはバランスを崩して生徒の上に倒れこみ、嘔吐した。

CTAで側副血行を確認の急性脳梗塞、6~24h後でも血管内治療は有効か/Lancet

 発症または最終健常確認から6~24時間(late window)の前方循環系主幹動脈閉塞による脳梗塞で、CT血管造影(CTA)により側副血行が確認された患者において、血管内治療は有効かつ安全であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのSusanne G. H. Olthuis氏らが実施した第III相試験「MR CLEAN-LATE試験」の結果、示された。前方循環系脳梗塞に対する血管内治療は、発症後6時間以内での有効性および安全性が確認されていた。著者は、「今回の結果は、主に側副血行路の有無に基づいてlate windowにおける血管内治療の対象患者を選択できることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。

高齢男性の転倒時の頭蓋骨骨折リスクは女性より高い傾向

 高齢者の転倒リスクは男性より女性の方が高いものの、転倒時に頭蓋骨骨折が発生するリスクは男性の方が高い傾向のあることを示すデータが報告された。この傾向は人種/民族にかかわらず認められ、白人では性別によるリスク差が有意だという。米フロリダ・アトランティック大学のScott Alter氏らの研究によるもので、詳細は「The American Journal of Emergency Medicine」3月号に掲載された。  米国では、転倒により救急医療を受ける高齢者が毎年300万人以上に上る。論文の筆頭著者であるAlter氏は、「人口の高齢化とともに、活動的なライフスタイルを続けている高齢者が増えており、それに伴い高齢者の転倒による頭部外傷や頭蓋骨骨折も増加していることが懸念される」と語っている。

アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。

日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。  日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。

AD治療薬lecanemab、ARIAやQOL解析結果をAD/PD学会で発表/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとバイオジェン・インクは3月31日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabについて、第III相試験「Clarity AD試験」における最新の解析結果を、スウェーデンのイェーテボリで3月28日~4月1日に開催の第17回アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2023)にて発表したことを報告した。lecanemab投与群では、プラセボ群よりアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現率が増加したが、抗血小板薬や抗凝固薬の使用によるARIAの発現頻度は上昇せず、ARIA-H単独の発現パターンはプラセボ群と同様だったことが明らかとなり、QOLの結果からは、lecanemab治療が被験者と介護者に有意義なベネフィットをもたらすことが示された。

日本の食事パターンと認知症リスク~NILS-LSAプロジェクト

 日本食の順守が健康に有益である可能性が示唆されている。しかし、認知症発症との関連は、あまりよくわかっていない。国立長寿医療研究センターのShu Zhang氏らは、地域在住の日本人高齢者における食事パターンと認知症発症との関連を、アポリポ蛋白E遺伝子型を考慮して検討した。その結果、日本食の順守は、地域在住の日本人高齢者における認知症発症リスクの低下と関連しており、認知症予防に対する日本食の有益性が示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2023年2月17日号の報告。  本研究データはNILS-LSA(国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究)プロジェクトの一環として収集され、愛知県在住の認知症でない高齢者1,504人(65~82歳)を対象とした20年間のフォローアップコホート調査が実施された。

日本人の認知症タイプ別死亡リスクと死因

 近年の認知症に対する医療および長期ケアの環境変化は、疾患の予後を改善している可能性がある。そのため、認知症の予後に関する情報は、更新する必要があると考えられる。そこで、医薬基盤・健康・栄養研究所の小野 玲氏らは、日本における認知症のサブタイプ別の死亡率、死因、予後関連因子を調査するため、クリニックベースのコホート研究を実施した。その結果、日本における認知症サブタイプ別の死亡リスクや死因の重要な違いが明らかとなった。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年2月6日号の報告。

「神経保護薬」で脳卒中後の転帰が改善する可能性

 脳卒中を発症した患者に対し、機械的血栓回収療法と呼ばれる標準的な治療に加え、「神経保護薬」を使用することで、その後の死亡リスクや後遺症のリスクが低下する可能性を示した臨床試験の結果が報告された。この神経保護薬はApTOLLと呼ばれるもので、炎症を抑えることで脳の組織を保護する作用があるという。バルデブロン病院(スペイン)のMarc Ribo氏らが実施したこの試験の結果は、国際脳卒中学会(ISC 2023、2月8~10日、米ダラス)で発表された。  脳卒中には、血栓によって脳の血管が詰まり、脳の一部の血流が途絶えて起こる虚血性脳卒中と、脳の血管が破れて血液が漏れ出ることで起こる脳出血がある。発生頻度は、虚血性脳卒中の方が脳出血よりも大幅に高い。

日本人の認知症リスクに対する喫煙、肥満、高血圧、糖尿病の影響

 心血管リスク因子が認知症発症に及ぼす年齢や性別の影響は、十分に評価されていない。大阪大学の田中 麻理氏らは、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病が認知症リスクに及ぼす影響を調査した。その結果、認知症を予防するためには、男性では喫煙、高血圧、女性では喫煙、高血圧、糖尿病の心血管リスク因子のマネジメントが必要となる可能性が示唆された。Environmental Health and Preventive Medicine誌2023年号の報告。対象は、ベースライン時(2008~13年)に認知症を発症していない40~74歳の日本人2万5,029人(男性:1万134人、女性:1万4,895人)。