脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:87

発症後4.5時間超の脳梗塞への血栓溶解療法は有益か?/Lancet

 発症後4.5時間超の虚血性脳卒中またはwake-up脳卒中で救済可能な脳組織を有する患者に対し、アルテプラーゼの投与はプラセボよりも、良好な機能的アウトカムを達成することが示された。症候性脳内出血の発生頻度はアルテプラーゼが有意に高率だったが、著者は「血栓溶解治療のネットベネフィットを打ち消すものではなかった」と述べている。オーストラリア・メルボルン大学のBruce C. V. Campbell氏らが、システマティック・レビューとメタ解析を行い明らかにし、Lancet誌オンライン版2019年5月22日号で発表した。現行ではアルテプラーゼによる脳卒中の血栓溶解療法は、発症後0~4.5時間と推奨されている。

頭蓋内出血後に抗血小板薬を開始するか?(解説:後藤信哉氏)-1057

抗血栓療法は広く普及した。抗凝固薬、抗血小板薬の長期服用により、少なく見積もっても年間0.2%(たぶん、日本ではもっと)が頭蓋内出血する。多くの症例が抗血栓療法を受けているとのことは、長期通院中の症例に頭蓋内出血の既往歴のある症例が増える、とのことである。出血リスクと血栓リスクには重複が多い。頭蓋内出血した症例は血栓イベントリスクの高い症例でもある。血栓イベント予防のために抗血小板薬を開始するか否かを迷うケースは多い。日本の実臨床では個々の医師と患者の話し合いにて開始の是非を決めていると思う。

日本人高齢者における身体活動と認知症発症との関連

 岡山大学のYangyang Liu氏らは、高齢者における定期的な身体活動と認知症発症リスクとの関連について評価を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年5月2日号の報告。  本検討は、岡山市で実施したレトロスペクティブコホート研究である。日本人高齢者5万1,477人を2008~14年にかけてフォローアップを行った。定期的な身体活動は、健康診断質問票を用いて評価を行った。認知症発症は、介護保険の認知症尺度を用いて評価した。身体活動のカテゴリ別の認知症発症率は、Cox比例ハザードモデル、95%信頼区間(CI)を用いて算出した。

脳内出血生存例への抗血小板療法は安全か/Lancet

 脳内出血の生存例は、出血性および閉塞性の血管疾患イベントのリスクが高いが、これらの患者で抗血小板薬が安全に使用可能かは明らかでないという。英国・エジンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らRESTART試験の研究グループは、抗血栓療法中に脳内出血を発症した患者への抗血小板療法は、これを行わない場合と比較して脳内出血再発率が低い傾向にあり、安全性は保持されることを示した。研究の詳細はLancet誌オンライン版2019年5月22日号に掲載された。

英国で脳卒中死亡率が半減、その要因は?/BMJ

 英国では、2001~10年の10年間で年齢調整脳卒中死亡率が半減したことが、英国・オックスフォード大学のOlena O. Seminog氏らによる英国内のデータベースを用いた解析の結果、明らかにされた。著者は「低下要因として、脳卒中の治療の進歩により死亡に至る患者が減少したことに起因していると思われる」と推測している。全体で致死率は40%低下し、致死率の低下は全年齢集団で確認された。また、脳卒中発生率も20%低下していたが、35~54歳では脳卒中発生率が増加しており、著者は「55歳より若い年齢層での脳卒中予防強化が大きな課題である」とも指摘している。英国で脳卒中死亡率が低下していることは知られていたが、この低下に影響している要因については明らかになっていなかった。BMJ誌2019年5月22日号掲載の報告。

グルコサミン、心血管イベントを抑制/BMJ

 変形性関節症の痛みを軽減するためのグルコサミンの習慣的な補充療法が、心血管疾患イベントのリスクを低減しており、とくに喫煙者でその効果が高い可能性があることが、米国・テュレーン大学のHao Ma氏らによる前向きコホート研究で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2019年5月14日号に掲載された。グルコサミン補助剤を用いる補充療法は、変形性関節症の治療で一般的に使用されているが、疾患や関節痛の軽減への効果は議論が続いている。その一方で、最近の動物実験やヒトの横断研究により、心血管疾患の予防や死亡率の抑制において役割を担う可能性が示唆され、前向き研究のエビデンスが求められている。

軽度認知障害や認知症を診断するためのACE-III日本語版のスクリーニング精度

 軽度認知障害(MCI)や認知症の早期発見は、適切な治療の迅速な開始と、疾患の悪化を防ぐために、非常に重要である。岡山大学の竹之下 慎太郎氏らは、MCIおよび認知症を診断するためのAddenbrooke's Cognitive Examination III(ACE-III)日本語版のスクリーニング精度について調査を行った。BMC Geriatrics誌2019年4月29日号の報告。  オリジナルのACE-IIIを翻訳して作成したACE-III日本語版を、日本人の集団に使用した。認知機能を評価するため、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)およびミニメンタルステート検査(MMSE)を用いた。総対象者は389例(認知症:178例、MCI:137例、対照群:73例)であった。

重症OSAは非心臓手術後30日の心血管リスクと関連/JAMA

 非心臓大手術を受ける成人において、未診断の重症閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、術後30日の心血管合併症リスクの有意な増大と関連することが示された。中国・香港中文大学のMatthew T.V. Chan氏らが、1,218例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2019年5月14日号で発表した。一般集団の検討で、未診断のOSAは心血管リスクを増大することが示されていたが、OSAが周術期において同程度のリスクとなるかは不明であった。今回の結果について著者は、「さらなる研究を行い、介入によって同リスクが軽減可能かを評価する必要がある」とまとめている。

ESUSの再発予防、ダビガトランvs.アスピリン/NEJM

 塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)を発症した患者に対し、ダビガトラン投与群はアスピリン投与群との比較において、再発予防効果について優越性は示されなかった。一方で、大出血ではないものの臨床的に重要な出血の発生リスクは、ダビガトラン群が高かった。ドイツ・Duisburg-Essen大学のH.-C. Diener氏らによる、42ヵ国5,390例の患者を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2019年5月16日号で発表した。脳梗塞の20~30%は原因不明で、その大半がESUSに分類されるという。これらESUS後の再発予防において、先行無作為化試験で、リバーロキサバンの有効性はアスピリンと同程度であることが示されていた。ダビガトランがESUS再発予防に有効であるかは不明であった。

認知症患者におけるカフェインと精神症状~システマティックレビュー

 カフェイン摂取は、健康成人の行動や睡眠に影響を及ぼすことが知られている。行動症状や睡眠障害に対しカフェイン摂取が影響している可能性のある認知症患者は、多く見受けられる。オランダ・ライデン大学のM. A. Kromhout氏らは、認知症患者におけるカフェイン摂取と精神症状との関連について調査するため、システマティックレビューを行った。Experimental Gerontology誌オンライン版2019年4月30日号の報告。