脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:85

レビー小体型認知症の認知機能低下~アルツハイマー病との比較

 レビー小体型認知症(DLB)患者は、アルツハイマー病(AD)患者と比較し、認知機能低下がより速いといわれている。しかし、この認知機能低下の変動の違いについては、あまり注目されていなかった。ノルウェー・Haraldsplass Deaconess HospitalのLasse Melvaer Giil氏らは、DLB患者とAD患者の認知機能低下の違いについて検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年1月2日号の報告。  このDemVest研究では、軽度認知症患者222例(AD患者137例、DLB患者85例)を対象に、ベースラインから5年間のミニメンタルステート検査(MMSE)を実施し、評価を行った。学習年数、年齢、性別、診断を独立変数として、ベースラインでのMMSEの変動およびMMSE低下の変動性を評価するため、線形混合モデルを用いた。

心房細動後1年間の出血リスク、AIによる新予測モデルが有望(GARFIELD-AF)

 脳卒中リスクを有する心房細動患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)治療開始後1ヵ月のPT-INR連続測定値を使用したAIによる新予後予測モデルが、至適範囲内時間(TTR)による予測と比較して高い精度を有する可能性が示唆された。東海大学の後藤 信哉氏らが、GARFIELD-AFレジストリのデータにより検討した。Eur Heart J Cardiovasc Pharmacother誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。

認知症の有病率に関するメタ解析

 認知症は、重度の神経変性疾患であり、異なる病原性によりいくつかのサブタイプに分類することができる。中国・南京医科大学のQing Cao氏らは、地理的、年齢的、性別的観点から認知症の有病率を包括的に分析した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2019年12月26日号の報告。  1985年1月~2019年8月の期間の認知症に関する文献について、PubMedおよびEMBASEより検索を行った。地理、年齢、性別で層別化を行い、分析を行った。群間の有意差検定には、メタ回帰を用いた。

short DAPT vs.standard DAPTの新展開:黄昏るのはアスピリン?クロピドグレル?(解説:中野明彦氏)-1170

本邦でBMSが使えるようになったのは平成6年、ステント血栓症予防には抗凝固療法(ワルファリン)より抗血小板剤:DAPT(アスピリン+チクロピジン)が優れるとわかったのはさらに数年後だった。その後アスピリンの相方が第2世代のADP受容体P2Y12拮抗薬:クロピドグレルに代わり、最近ではDAPT期間短縮の議論が尽くされているが、DAPT後の単剤抗血小板薬(SAPT)の主役はずっとアスピリンだった。そして時代は令和、そのアスピリンの牙城が崩れようとしている。

高濃度PM2.5への長期曝露、脳卒中リスクを増大/BMJ

 大気中の相対的に高濃度の微小粒子状物質(PM2.5)への長期の曝露により、低濃度PM2.5への長期曝露に比べ、初発脳卒中とそのサブタイプの発生率が増加することが、中国・北京協和医学院のKeyong Huang氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2019年12月30日号に掲載された。北米や欧州では、大気中のPM2.5への長期曝露は、相対的に低濃度(典型的には、≦25μg/m3)であっても、脳卒中の発生と関連することが示されている。一方、大気中の高濃度PM2.5への長期曝露(通常、低~中所得国でみられる)と脳卒中の発生との関連を示すエビデンスはないという。

日本人高齢者の認知症発症率に対する感覚障害の影響

 認知症および認知症の周辺症状(BPSD)は、高齢者の介護の必要レベルに影響を及ぼす。高齢者では、加齢に伴い感覚障害の発生率が上昇し、認知症の発症を加速させる。大勝病院の丸田 道雄氏らは、視覚障害(VI)、聴覚障害(HI)などの感覚障害とBPSDおよび認知症の発症率との関連について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。  日本のある都市における2010~17年の介護保険データを用いて、レトロスペクティブ研究を実施した。2010年時点で認知症でなかった高齢者2,190人を、感覚障害の4つのカテゴリー、VI群、HI群、VIとHI両方の感覚障害(DSI)群、感覚障害なし(NO)群に分類した。認知症の発症率は、カプランマイヤー生存分析およびlog-rank検定を用いて調査した。NO群と比較した、感覚障害に関連する認知症発症リスクは、Cox比例ハザード分析を用いて調査した。4群間のBPSD有病率は、ピアソンのχ2検定を用いて比較した。

頸動脈狭窄症への経頸動脈血行再建、経大腿動脈と比較/JAMA

 頸動脈狭窄症の治療において、経頸動脈血行再建術(transcarotid artery revascularization:TCAR)は経大腿動脈アプローチによるステント留置術と比較し、脳卒中または死亡のリスクが有意に低いことが示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らが、TCARと経大腿動脈ステント術の転帰を傾向スコアマッチング法により比較した解析結果を報告した。従来の経大腿動脈アプローチによる頸動脈ステント術は、頸動脈内膜剥離術と比較して周術期脳卒中の発生率が高いことがいくつかの試験で観察されていた。一方、TCARは2015年に開発されたリバースフローシステムによる新しい頸動脈ステント術で、経大腿動脈アプローチとは対照的に、頸動脈に直接アクセスすることによって大動脈弓でのカテーテル操作を回避し、標的病変操作前の頸動脈から大腿静脈への体外動静脈シャントによって脳を保護する。TCARは経大腿動脈アプローチによる脳卒中リスクを減少させるために開発されたが、経大腿動脈ステント術と比較した場合のアウトカムはよくわかっていなかった。JAMA誌2019年12月17日号掲載の報告。

地域密着型認知症治療の現状調査~相模原市認知症疾患医療センターでの調査

 日本では認知症対策として地域密着型統合ケアシステムを促進するため、2013年に認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定し、2015年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)として改訂を行った。これらのプログラム導入後、地域の認知症ケアにどのような影響を及ぼすかについては、十分な研究が行われていない。北里大学の姜 善貴氏らは、相模原市認知症疾患医療センターにおける認知症診断を含む医療相談経路の調査を通じて、地域密着型認知症治療の現状について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。

わが国における脳血管疾患発症率の動向

 日本人の主な死因である脳血管疾患の近年の発症率は不明である。今回、岩手医科大学の大間々 真一氏らが、高齢者の多い岩手県において過去10年間のデータを調査した結果、脳血管疾患の発症率と発症数が減少していることがわかった。今後も減少することが予測されるが、85歳以上では増加することが示唆された。Journal of stroke and cerebrovascular diseases誌オンライン版2019年12月23日号に掲載。  著者らは、2008~17年のIwate Stroke Registry(岩手県全体のデータ)を用いた後ろ向き調査を実施し、発症率の変化率と日本の地域別将来推計人口から今後の発症率を予測した。

脳梗塞、一過性脳虚血発作発症後の脂質管理はどの程度まで(解説:吉岡成人氏)-1164

脳梗塞は適切な内科治療が行われなければ、最初の1年で10人に1人が再発する。一方、TIAも発症後90日以内の脳卒中発生率は15~20%である。脳梗塞、TIAの再発予防においては、抗血栓療法と内科的リスク(血圧、脂質、血糖)の管理が重要である。日本における『脳卒中治療ガイドライン2015』においても、脳梗塞患者の慢性期治療における脂質異常のコントロールが推奨されており、高用量のスタチン系薬剤は脳梗塞の再発予防に有用であると記されている(グレードB:行うように勧められる)。また、低用量のスタチン系薬剤で治療中の患者においてはEPA製剤の併用が脳卒中の再発予防に有効であることも併記されている(グレードB)。