前兆症状の有無にかかわらず、片頭痛に対してubrogepant投与はプラセボ投与と比べて、2時間後に痛みが消失した人の割合は有意に高率であり、最もつらい片頭痛関連の症状がなかった人の割合は有意に低率だった。米国・メイヨー・クリニックのDavid W. Dodick氏らが、1,672例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照パラレル群間比較試験の結果で、NEJM誌2019年12月5日号で発表した。ubrogepantは、経口小分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬で、急性期の片頭痛治療に有効であることが示されていた。
ubrogepant 50mg、100mg vs.プラセボの有効性を評価
研究グループは、前兆症状の有無にかかわらず片頭痛を有する成人1,672例を対象に、ubrogepantの有効性、安全性、副作用プロファイルを評価する試験を行った。
被験者を無作為に1対1対1の3群に分け、プラセボ(559例)、ubrogepant 50mg(556例)、ubrogepant 100mg(557例)をそれぞれ単回投与した。
有効性の主要エンドポイントは2つで、初回投与後2時間時点での痛みの消失と、最もつらい片頭痛関連症状がないこととした。副次エンドポイントは、痛みの緩和(投与後2時間時点)、痛みが緩和した状態の持続(2~24時間)、痛みのない状態の持続(2~24時間)、2時間時点で片頭痛関連の症状(羞明、音過敏、悪心)がないこととした。
2時間後の痛み消失、プラセボ群12%に対し、ubrogepant群19.2~21.2%
投与後2時間時点で痛みが消失したのは、プラセボ群11.8%に対し、ubrogepant 50mg群19.2%(多様性補正後のp=0.002、)、ubrogepant 100mg群21.2%(同p<0.001)と、いずれのubrogepant群とも有意に高率だった。
投与後2時間時点で、最もつらい片頭痛関連の症状がなかった人の割合も、プラセボ群27.8%に対し、ubrogepant 50mg群38.6%、ubrogepant 100mg群37.7%と有意に高率だった(いずれも、p=0.002)。
初回投与後、または任意による2回目投与後48時間以内の有害事象発生率は、プラセボ群12.8%、ubrogepant 50mg群9.4%、ubrogepant 100mg群16.3%だった。なかでも発現が高頻度だったのは、悪心、傾眠、口内乾燥で(0.4~4.1%)、これらはとくにubrogepant 100mg群での発現頻度が高かった(2.1~4.1%)。
両ubrogepant群で投与後30日以内に発生した重篤な有害事象としては、虫垂炎、自然流産、心嚢液貯留、痙攣発作が報告されたが、いずれも投与後48時間以内の発生報告例はなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)