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2024-12-16 ~ 2024-12-22

2024/12/18

切除不能肝細胞がん1次治療、STRIDE vs.ソラフェニブの5年生存率と肝機能の影響(HIMALAYA)/ESMO Asia2024

医療一般

 切除不能肝細胞がん(HCC)に対する1次治療として、抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブを併用するSTRIDEレジメンは、ソラフェニブ単剤療法と比較して全生存期間(OS)を有意に改善したことが、国際共同無作為化非盲検第III相HIMALAYA試験で示されている。今回、5年時OSおよびベースラインの肝機能による影響を評価した同試験の探索的解析結果を、近畿大学の工藤 正俊氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2024)で報告した。 ・対象:局所療法の適応とならず、全身療法歴のない切除不能HCC患者(Child-Pugh分類A、Barcelona Clinic Liver Cancer[BCLC]病期分類B/C、ECOG PS 0/1) ・試験群1:トレメリムマブ300mg 単回+デュルバルマブ1,500mg 4週ごと(STRIDE群、393例) ・試験群2:デュルバルマブ1,500mg 4週ごと(デュルバルマブ群、389例) ・対照群:ソラフェニブ400mg×2/日(ソラフェニブ群、389例) ・評価項目: [主要評価項目]OS(STRIDE群vs.ソラフェニブ群) [副次評価項目]OS(デュルバルマブ群vs.ソラフェニブ群、非劣性)、36ヵ月OS率、無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性 ・5年時アップデート解析のデータカットオフ:2024年3月1日

うつ病、不安症、ADHD患者における双極症への移行率の比較

医療一般

 一般的にみられる双極症の診断遅延は、アウトカム不良につながる可能性がある。ほとんどの研究では、主な前駆症状としてうつ病に焦点を当てているが、不安症や注意欠如多動症(ADHD)も、診断初期に高頻度で認められる。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のKevin Li氏らは、これらの前駆症状から双極症への移行率を調査し、相関関係を定量化するため、大規模な電子健康記録(EHR)を用いて、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年11月13日号の報告。

日本人の便失禁の現状が明らかに~約1万例のインターネット調査結果

医療一般

 便失禁(FI)は、Rome IV基準では「4歳以上で繰り返す自制のきかない便の漏れ」と定義され、患者の健康関連の生活の質(HRQOL)に大きな影響を与える。ところが、日本の一般集団におけるFIの有病率に関する研究はほとんど行われていない。そこで、大阪公立大学の久木 優季氏らが日本人のFIの疫学についてRome IV基準を用いた調査を行ったところ、FI有病率は1.2%であることが明らかになった。Journal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年12月2日号掲載の報告。

皮膚パッチで血圧測定

医療一般

 近い将来、切手サイズのウェアラブルパッチを皮膚に貼ることで、連続的に血圧を測定できるようになるかもしれない。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)ジェイコブス工学部のSai Zhou氏らの研究の成果であり、100人以上の患者を対象にした検討で良好な結果を得られたという。詳細は「Nature Biomedical Engineering」に11月20日掲載された。  正常血圧(120/80mmHg未満)を維持することは、心臓病や脳卒中、腎臓障害、認知症、視力低下など、さまざまな病気や障害の予防に役立つ。そのため高血圧患者の多くが、腕などにカフを巻いて血圧の測定を行っている。しかしZhou氏は、「従来のカフによる血圧測定は、測定した時点の血圧しか知り得ないため、重要な血圧変動パターンを見逃してしまうこともある」と話し、「われわれが開発中のウェアラブルパッチなら、血圧変動の連続的なデータを得ることができ、治療法の詳細な検討を可能にしてくれる」としている。

Long COVIDの神経症状は高齢者よりも若・中年層に現れやすい

医療一般

 新たな研究によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(long COVID)のうち、重篤な神経症状は、高齢者よりも若年層や中年層の人に現れやすいことが明らかになった。米ノースウェスタン・メディスン総合COVID-19センターの共同所長を務めるIgor Koralnik氏らによるこの研究結果は、「Annals of Neurology」に11月22日掲載された。  Long COVIDの神経症状は、頭痛、しびれやうずき、嗅覚障害や味覚障害、目のかすみ、抑うつ、不安、不眠、倦怠感、認知機能の低下などである。論文の上席著者であるKoralnik氏は、「COVID-19による死亡者数は減少し続けているが、人々は依然としてウイルスに繰り返し感染し、その過程でlong COVIDを発症する可能性がある」と指摘する。同氏は、「long COVIDは、患者の生活の質(QOL)に変化を引き起こしている。ワクチン接種や追加接種を受けている人でも、COVID-19患者の約30%にlong COVIDの何らかの症状が現れる」と話す。

2024/12/17

MSI-H/dMMRの進行大腸がん、ニボルマブ+イピリムマブが有効/NEJM

ジャーナル四天王

 全身療法による前治療歴のない、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を示す転移を有する大腸がん患者の治療において、化学療法と比較してニボルマブ+イピリムマブ療法は、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、Grade3以上の治療関連有害事象が少ないことが、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らCheckMate 8HW Investigatorsが実施した「CheckMate 8HW試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年11月28日号に掲載された。  CheckMate 8HW試験は、日本を含む23ヵ国121施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2019年8月~2023年4月に患者の無作為化を行った(Bristol Myers SquibbとOno Pharmaceuticalの助成を受けた)。

セマグルチドは心血管系疾患の既往と心不全を有する肥満患者の心不全イベントリスクを低下する:SELECT試験の2次解析(解説:原田和昌氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

肥満の人では心血管疾患のリスクが高まるが、これまでMACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)のリスクを低減しつつ効果的な体重管理ができることが証明された治療薬はなかった。SELECT試験は、HFrEFの糖尿病の既往がない過体重または肥満で、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の既往を有する成人を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチド2.4mg週1回皮下投与のMACE予防に対する有効性をプラセボ投与と比較した無作為化二重盲検試験であり、41ヵ国にて45歳以上の過体重または肥満の成人1万7,604例が登録された。なお、BMIが30以上を「肥満」とし、BMIが25以上30未満を「過体重」とした。

再発・難治濾胞性リンパ腫、レナリドミド+リツキシマブへのtafasitamab上乗せ(inMIND)/ASH2024

医療一般

 再発/難治(R/R)濾胞性リンパ腫(FL)では、抗CD-20抗体併用療法であるレナリドミド(len)とリツキシマブ(R)が用いられる。  そのような中、R/R FLにおける抗CD-19抗体tafasitamabのlen+Rへの上乗せ効果を評価する第III相inMIND試験が行われている。同試験の初回解析結果を、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLaurie H. Sehn氏が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表した。

アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール長期延長試験

医療一般

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有用性が、12週間のランダム化比較試験において実証された。しかし、長期的な有用性については、これまで十分に検証されていなかった。米国・大塚製薬のSaloni Behl氏らは、ブレクスピプラゾールの長期的な安全性および忍容性を評価するため、長期延長試験の結果を報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌2024年11月号の報告。

高リスク早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、バイオマーカー解析結果(KEYNOTE-522)/SABCS2024

医療一般

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前および術後補助療法としてペムブロリズマブの追加を検討したKEYNOTE-522試験では、ペムブロリズマブ追加により病理学的完全奏効率(pCR)、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)が有意に改善したことが報告されている。今回、本試験の探索的バイオマーカー解析で、T細胞浸潤18遺伝子発現プロファイル(TcellinfGEP)、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、TcellinfGEP以外のコンセンサスシグネチャーなどのバイオマーカーとpCRおよびEFSとの関連を調べた結果について、米国・Baylor-Sammons Cancer CenterのJoyce O’Shaughnessy氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で報告した。

乳製品と死亡リスク減少、牛乳vs.ヨーグルト/慶應大

医療一般

 日本人における乳製品摂取と死亡リスクとの関連を12年間追跡調査した結果、男女ともにヨーグルトの摂取量が多いほど全死因死亡リスクが低く、女性ではさらに乳製品全般および牛乳摂取と全死因死亡リスク、牛乳摂取とがん死亡リスク、ヨーグルト摂取と心血管疾患死亡リスクの低下が関連していたことを、慶應義塾大学の宮川 尚子氏らが明らかにした。Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌オンライン版2024年11月13日号掲載の報告。  これまでの研究において、日本人集団における乳製品摂取と死亡リスクとの関連は、研究間で、とくに男女間で一貫していない。そこで研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)の追跡データを用いて、乳製品摂取と全死因死亡やがん死亡、心血管疾患死亡との関連を調べた。

ビタミンB3はCOPD患者の肺の炎症を軽減する?

医療一般

 ビタミンB3を毎日摂取することで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺の炎症が軽減する可能性のあることが、小規模な臨床試験で明らかになった。コペンハーゲン大学(デンマーク)のMorten Scheibye-Knudsen氏らによるこの研究結果は、「Nature Aging」に11月15日掲載された。Scheibye-Knudsen氏は、「炎症は、COPD患者の肺機能を低下させる可能性があるため、この結果が意味するところは大きい」と述べている。  COPD患者は、肺炎やインフルエンザ、その他の重篤な呼吸器感染症に罹患しやすく、罹患した場合には致命的となることもある。Scheibye-Knudsen氏らは、安定期COPD患者40人(平均年齢71.9歳)と、年齢や性別、BMIが類似した健康な対照20人(平均年齢70.9歳)を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施し、COPDに対するニコチンアミドリボシド(NR)の効果を評価した。NRはビタミンB3の一種である。COPD患者と対照は、それぞれの群内で、6週間にわたりNR(2g)またはプラセボを摂取する群に1対1の割合でランダムに割り付けられた。対象者は12週間後に追跡調査を受けた。主要評価項目は、炎症マーカーであるインターロイキン8(IL8)のベースラインから6週間目までの変化量とした。

シスプラチン不耐の頭頸部がん患者に最善の治療選択肢は?

医療一般

 シスプラチンは頭頸部がん患者にとって頼りになる化学療法であるが、ほぼ3分の1の患者はその副作用に耐えられず、治療を中止してしまう。こうした患者に対する最善のセカンドライン治療薬に関して、新たな臨床試験で驚くべき結果が示された。それは、頭頸部がんの治療において、モノクローナル抗体のセツキシマブ(商品名アービタックス)が、より新しい薬である免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブ(商品名イミフィンジ)よりも有効性が高いというものだ。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)クリニカル・トランスレーショナルリサーチ分野のLoren Mell氏らが実施したこの臨床試験の結果は、「The Lancet Oncology」に11月14日掲載された。

2024/12/16

活動期クローン病の導入・維持療法、ミリキズマブが有効/Lancet

ジャーナル四天王

 中等症~重症の活動期クローン病患者の導入療法および維持療法において、プラセボまたはウステキヌマブと比較してヒト化抗ヒトIL-23p19抗体ミリキズマブは、安全性は既知の良好なプロファイルと一致し、かつ有効性に関する2つの複合エンドポイントがいずれも有意に良好であることが、ベルギー・ルーベン大学病院のMarc Ferrante氏らが実施した「VIVID-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年11月21日号に掲載された。  VIVID-1試験は、中等症~重症の活動期クローン病におけるミリキズマブの有効性と安全性の評価を目的とするtreat-throughデザインを用いた第III相二重盲検ダブルダミー無作為化プラセボ/実薬対照比較試験であり、2019年7月~2023年8月に日本を含む33ヵ国の324施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

再発・難治性B細胞性ALLにobe-celが有効/NEJM

ジャーナル四天王

 obecabtagene autoleuce(l以下obe-cel)は、自家41BB-ζ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であり、毒性作用を軽減してCAR-T細胞の生着と持続性を改善するために、CD19に対する親和性が中等度のCARを使用している。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのClaire Roddie氏らは「FELIX試験」において、再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の成人患者の治療として、obe-celは高い割合で持続的奏効をもたらし、Grade3以上の免疫関連毒性作用の発現率が低いことを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年12月12日号で報告された。

急性呼吸器感染症が2025年4月から5類感染症に/厚労省

医療一般

 厚生労働省は、2025(令和7)年4月7日から感染症法施行規則改正により急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)を感染症法上の5類感染症に位置付け、定点サーベイランスの対象とすることを発表した。  ARIは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)または下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群の総称で、インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれる。

向精神薬誘発性尿閉リスクの高い薬剤は〜国内医薬品副作用データベース

医療一般

 向精神薬は、抗ムスカリン作動性およびその他のメカニズムにより尿閉を引き起こすことが報告されている。しかし、尿閉は致死的な問題ではないため、あまり気にされていなかった。東邦大学の植草 秀介氏らは、国内医薬品副作用(JADER)データベースを用いて、向精神薬に関連する尿閉の発生率を調査した。Drugs-Real World Outcomes誌2024年12月号の報告。  JADERデータベースを用いて、74種類の向精神薬における尿閉のレポートオッズ比を算出した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、尿閉に対する性別、基礎疾患、年齢の影響を調整した。変数選択には、性別、年齢、前立腺肥大症、うつ病、各薬剤の段階的選択を含めた。

ベースアップ評価料のさらなる算定を政府に要望/日医

医療一般

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、「令和6年度補正予算案におけるベースアップ評価料のさらなる算定と各地方公共団体への積極的な働きかけについて」をテーマに松本氏が医師会から政府などへの要望提出について説明を行った。  「ベースアップ評価料」とは、2024年6月の診療報酬改定で新設された医療関係職種(医師・歯科医師、事務職員除く)の賃上げを目的にした点数で、各地域の厚生局への届け出により算定が可能になる。

手術可能な高齢乳がん患者の予後、即時手術vs.局所再発まで延期/SABCS2024

医療一般

 70歳以上の手術可能な乳がん患者における、即時手術または局所再発まで手術を延期した場合の長期的リスクを調査したメタ解析によって、即時手術は5年以内の局所再発率を大幅に低下させ、長期的な遠隔再発率と乳がん死亡率も低下させたことを、英国・オックスフォード大学のRobert K. Hills氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で発表した。  これまでの研究により、年齢が上がるほど、とくに80歳以上になると手術の実施率が下がることが報告されている。そのため、手術可能な早期乳がんであっても、高齢患者に対しては内分泌療法のみを実施して手術は局所再発時まで行わないことがあるが、手術を延期することの長期的リスクは不明である。そこで研究グループは、即時手術と手術延期の転帰を比較するために、1980年代に開始された3つの無作為化試験を用いて個々の患者データのメタ解析を実施した。対象は、70歳以上の手術可能な乳がんの女性1,082例(全例がタモキシフェンを少なくとも5年間投与)であった。これらの試験では、放射線療法や化学療法は予定されていなかった。

国内高齢者の4人に1人、75歳以上では3人に1人がCKD

医療一般

 日本人高齢者の4人に1人は慢性腎臓病(CKD)であり、75歳以上では3人に1人に上ることが明らかになった。広島大学医系科学研究科疫学・疾病制御学分野の福間真悟氏、東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科学の小林亜理沙氏らが、全国約60万人の健診データを用いて推計した結果であり、詳細は「Clinical and Experimental Nephrology」に10月5日掲載された。  国内のCKD患者数は、2009年に行われた調査を基に「成人の約13%、約1330万人が該当する」とされている。しかしこの調査から15年たち、平均寿命の延伸、CKDリスクに関連のある糖尿病などの生活習慣病の有病率の変化により、CKD患者数も変化していると考えられる。特に腎機能は加齢とともに低下することから、高齢者の最新のCKD有病率を把握することが重要と考えられる。これらを背景として福間氏らは、全国規模の医療費請求データおよび健診データの商用データベース(DeSCヘルスケア株式会社)を用いた新たな解析を行った。

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