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2024-09-02 ~ 2024-09-08

2024/09/06

鉤虫症の治療、emodepside vs.アルベンダゾール/Lancet

ジャーナル四天王

 タンザニアで実施された第IIb相無作為化二重盲検実薬対照優越性試験において、カルシウム依存性カリウム(SLO-1)チャネルに作用し寄生虫の麻痺と咽頭ポンピング運動の阻害を引き起こすemodepsideは、アルベンダゾールと比較し高い有効性が認められた。スイス熱帯公衆衛生研究所のLyndsay Taylor氏らが報告した。ただし、emodepsideの安全性について、観察された有害事象はおおむね軽度であったものの、アルベンダゾールと比較して発現頻度が高かった。結果を踏まえて著者は、「emodepsideが有望な駆虫薬の候補であることが確固たるものとなったが、安全性と有効性のバランスを考慮する必要がある」とまとめている。

ホットフラッシュに新規NK-1,3受容体拮抗薬が有効/JAMA

ジャーナル四天王

 選択的ニューロキニン(NK)-1,3受容体拮抗薬elinzanetantは、中等度~重度の更年期血管運動神経症状(vasomotor symptoms:VMS)に対し有効で、忍容性も良好であった。米国・バージニア大学のJoAnn V. Pinkerton氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「OASIS 1試験」および「OASIS 2試験」の結果を報告した。更年期VMSに対する安全で効果的な非ホルモン治療が必要とされていた。JAMA誌オンライン版2024年8月22日号掲載の報告。  OASIS 1試験およびOASIS 2試験は、同一の試験方法により米国および欧州の異なる施設で並行して実施された(OASIS 1試験は2021年8月27日~2023年11月27日に米国、欧州、イスラエルの77施設、OASIS 2試験は2021年10月29日~2023年10月10日に米国、カナダ、欧州の77施設)。

STEMIの最終的な梗塞サイズの縮小、ステロイドパルスは有効か?/ESC2024

医療一般

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者の臨床転帰を左右する決定因子として、最終的な梗塞サイズが挙げられる。今回、最終的な梗塞サイズを縮小させる可能性がある方法として、梗塞早期でのグルココルチコイドのパルス療法による効果を検証するため、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJasmine Melissa Madsen氏らが医師主導二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験を実施した。その結果、STEMI患者に対し、入院前治療としてグルココルチコイドのパルス療法を行っても、3ヵ月後の最終的な梗塞サイズは縮小しなかったことが示された。この研究は8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のセッションで報告され、JAMA Cardiology誌オンライン版2024年8月30日号オンライン版に同時掲載された。

ICI関連心筋炎の発見・治療・管理に腫瘍循環器医の協力を/腫瘍循環器学会

医療一般

 頻度は低いが、発現すれば重篤な状態になりえる免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連有害事象としての心筋炎(irAE心筋炎)。大阪大学の吉波 哲大氏が第7回日本腫瘍循環器学会学術集会でirAE心筋炎における問題点を挙げ、腫瘍循環器医の協力を呼びかけた。  ICIは今や固形がんの治療に必須の薬剤となった。一方、ICIの適用拡大と共に免疫関連有害事象(irAE)の発症リスクも増加する。心臓に関連するirAEは心筋炎、非炎症性左室機能不全、心外膜炎、伝導障害など多岐にわたる。その中でもirAE心筋炎は、発現すると一両日中に、心不全、コントロール困難な不整脈を併発し、致死的な状況に追い込まれることもある。

多剤併用中の統合失調症患者に対するアリピプラゾール月1回製剤の臨床ベネフィット

医療一般

 抗精神病薬の多剤併用は、臨床現場で頻繁に行われているが、多剤併用による副作用軽減のために長時間作用型注射剤の使用頻度が高まる傾向にある。これまでの研究では、長時間作用型アリピプラゾール月1回注射剤(AOM)の使用により、治療アドヒアランスの向上、機能回復、症状改善が実証されている。しかし、多剤併用療法を行っている患者におけるAOMの治療効果に関するエビデンスは、十分とはいえなかった。韓国・成均館大学校のJiwan Moon氏らは、実臨床におけるAOMの臨床ベネフィットおよび有効性を調査するため、薬剤投与量、薬剤数、臨床機能、精神症状、薬剤の有効期間の変化を評価した観察研究を行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2024年8月6日号の報告。

がん罹患の40%・死亡の44%が予防できる可能性

医療一般

 米国におけるがん罹患の約40%とがん死亡の44%が、修正可能なリスク因子に起因していることが新たな研究で明らかになった。とくに喫煙、過体重、飲酒が主要なリスク因子であり、肺がんをはじめとする多くのがんに大きな影響を与えているという。A Cancer Journal for Clinicians誌オンライン版2024年7月11日号の報告。  米国がん協会(ジョージア州・アトランタ)のFarhad Islami氏らは、2019年(COVID-19流行の影響を避けるため、この年に設定)に米国でがんと診断された30歳以上の成人を対象に、30のがん種について全体および潜在的に修正可能なリスク因子に起因する割合と死亡数を推定した。評価されたリスク因子には、喫煙(現在および過去)、受動喫煙、過体重、飲酒、赤肉および加工肉の摂取、果物や野菜の摂取不足、食物繊維およびカルシウムの摂取不足、運動不足、紫外線、そして7つの発がん性感染症が含まれた。がん罹患数と死亡数は全国をカバーするデータソース、全国調査によるリスク因子の有病率推定値、および公表された大規模なプールまたはメタアナリシスによるがんの関連相対リスクから得た。

慢性的なカフェイン摂取で心血管疾患リスクが増加

医療一般

 コーヒーや紅茶などのカフェイン入りの飲み物は、世界中で朝食の定番になっているが、飲み過ぎは良くないようだ。1日に400mg超のカフェイン摂取は健康な人の心血管疾患のリスクを高める可能性のあることが、新たな研究で示唆された。Zydus Medical College and Hospital(インド)のNency Kagathara氏らによるこの研究結果は、米国心臓病学会アジア学術集会(ACC Asia 2024、8月16〜18日、インド・デリー)で発表された。  この研究では、18〜45歳の正常血圧で健康な成人92人(男性62%、30歳超60%、都市居住者79.3%)を対象に、慢性的なカフェイン摂取が心臓にもたらす影響が検討された。慢性的なカフェイン摂取とは、週に5日以上、1年以上にわたってカフェイン含有飲料を摂取している場合と定義された。全ての対象者は、3分間の踏み台昇降運動を行い、運動終了の1分後と3分後に血圧と心拍数の測定を受けた。

2024/09/05

がん関連適応の肝切除、トラネキサム酸で周術期合併症が増加/JAMA

ジャーナル四天王

 がん関連適応の肝切除を受ける患者において、トラネキサム酸は出血または輸血を減少させず周術期合併症を増加させることが示された。カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのPaul J. Karanicolas氏らHPB CONCEPT Teamが、多施設共同無作為化プラセボ対照試験「HeLiX試験」の結果を報告した。トラネキサム酸は多くの種類の手術で出血および輸血を減少させることが知られているが、がん関連適応の肝切除を受ける患者における有効性は明らかにされていなかった。JAMA誌オンライン版2024年8月19日号掲載の報告。

高用量タンパク質投与、人工呼吸器装着患者には無益/Lancet

ジャーナル四天王

 人工呼吸器を要する重症患者への高用量タンパク質投与は標準量タンパク質投与と比較して、健康関連QOLを悪化させ、集中治療室(ICU)入室後180日間の機能的アウトカムを改善しなかった。オランダ・マーストリヒト大学のJulia L. M. Bels氏らPRECISe study teamが、同国とベルギーで実施した「PRECISe試験」の結果を報告した。先行研究で、重症患者へのタンパク質投与量の増加が、筋萎縮を緩和し長期的アウトカムを改善する可能性が示されていた。Lancet誌オンライン版2024年8月17日号掲載の報告。  PRECISe試験は、オランダの5病院とベルギーの5病院で行われた研究者主導の多施設共同並行群間二重盲検無作為化比較試験である。機械的人工呼吸器を装着した重症患者への経腸栄養によるタンパク質投与について、高用量(すわなち1日当たり2.0g/kg)が標準量(同1.3g/kg)と比較して、健康関連QOLと機能的アウトカムを改善するかどうかを評価した。試験組み入れ基準は、ICU入室後24時間以内に侵襲的人工呼吸器による管理を開始し、同装着期間が3日以上と予想されることとした。除外基準は、経腸栄養禁忌、瀕死状態、BMI値18未満、透析不要コードの腎不全、または肝性脳症であった。

日本人不眠症患者に対するdaridorexantの第III相ランダム化二重盲検プラセボ対症試験

医療一般

 久留米大学の内村 直尚氏らは、日本人不眠症患者を対象にdaridorexantの有効性および安全性を評価した国内第III相二重盲検プラセボ対症試験の結果を報告した。Sleep Medicine誌オンライン版2024年8月2日号の報告。  対象は、国内95施設より登録された不眠症患者490例。対象患者はdaridorexant 50mg群(163例)、daridorexant 25mg群(163例)、プラセボ群(164例)にランダムに割り付けられた。4週間の治療後、7日間プラセボを投与し、30日間の安全性フォローアップ調査を実施した。主要有効性エンドポイントは、プラセボ群と比較したdaridorexant 50mg群における4週目の主観的総睡眠時間(sTST)および主観的睡眠潜時(subjective latency to sleep onset:sLSO)のベースラインからの変化とした。副次的エンドポイントとして、プラセボ群と比較したdaridorexant 25mg群における4週目のsTSTおよびsLSOも評価した。安全性エンドポイントは、有害事象およびVAS(Visual Analog Scale)による翌朝の眠気を含めた。

Guardant360CDx、EGFR exon20挿入変異肺がんに対するamivantamab+化学療法のコンパニオン診断として承認/ガーダントヘルス

医療一般

 ガーダントヘルスジャパンは2024年8月26日、リキッドバイオプシー検査Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(Guardant360 CDx)について、Johnson&Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)が申請中の「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)」に対するamivantamabと化学療法の併用療法に関するコンパニオン診断として承認を取得したと発表。  肺がんは世界において罹患率や死亡率が高いがんの1つであり、NSCLCは全肺がんの約80〜85%を占めている。

飲酒による死亡率上昇、ワイン好きや食事中に飲む人は低減か

医療一般

 高齢者において、アルコール摂取パターンと健康関連や社会経済リスクが、死亡率にどのような影響を与えるかについて、英国の60歳以上を対象とした大規模コホート研究が実施された。その結果、少量のアルコール摂取であっても死亡率が高くなることが示された。また、ワインを好み、食事中のみ飲酒する習慣がある場合、死亡率の増加が低減される可能性があることも示唆された。スペイン・マドリード自治大学のRosario Ortola氏らによる報告。JAMA Network Open誌2024年8月12日号に掲載。

非喫煙者の42%に肺がんと関連する肺結節所見

医療一般

 45歳以上の非喫煙者(喫煙未経験者と元喫煙者)1万人以上を対象にした研究で、42.0%もの人に肺がんと関連する可能性のある肺結節が1つ以上認められたことが報告された。非喫煙者の肺がんリスクは、通常は低いと考えられている。この論文の上席著者を務めたフローニンゲン大学医療センター(オランダ)心胸部画像診断科教授のRozemarijn Vliegenthart氏は、「この数字は予想以上に高く、喫煙者のハイリスク集団で報告されている肺結節の発生率に近いものだった」と述べている。この研究の詳細は、「Radiology」に8月13日掲載された。  研究グループの説明によると、胸部CT検査で肺結節が見つかるのは珍しいことではなく、肺がんの高リスク集団においては初期肺がんの兆候である可能性が高い。また、肺結節の発生率とサイズに関する過去の研究の大半は、ヘビースモーカーの肺がん検診データに基づくものであり、現在の肺結節の管理に関する推奨のほとんどもこの集団をベースにしている。そのため、低リスク集団において肺結節が見つかった場合に現在のガイドラインに準拠すると、不必要な追加検査の実施につながる恐れもあるという。

緑内障患者では皮膚カロテノイドレベルが認知機能と関連している

医療一般

 強力な抗酸化作用を持つカロテノイドの体内レベルが低いことが、緑内障患者の認知機能低下と関連がある可能性を示すデータが報告された。島根大学医学部眼科学講座の谷戸正樹氏らが、皮膚で非侵襲的に測定したカロテノイドレベルと認知機能テストの結果との関連を解析した結果であり、詳細は「Current Issues in Molecular Biology」に7月3日掲載された。  緑内障は視神経の障害によって視野の不可逆的な異常が進行する疾患で、高齢化を背景に患者数が増加しており、国内の失明原因のトップを占めている。認知症も高齢化を背景に患者数が増加しており、両者ともに神経変性疾患であるという共通点があって、発症や進行に活性酸素の関与が想定されている。一方、野菜や果物に豊富に含まれているカロテノイドは強い抗酸化作用があり、これらの神経変性疾患に対して保護的に働く可能性が示唆されている。とはいえ、体内のカロテノイドの測定には採血が必要なこともあり、眼科領域での研究はあまり進んでいない。しかし近年、反射分光法を用いて体内のカロテノイドを皮膚レベルで測定する技術が確立され、新たな展開を迎えている。

2024/09/04

幻覚成分シロシビンの抑うつ作用を抗うつ薬と比較/BMJ

ジャーナル四天王

 抑うつ症状に対するサイケデリックス薬による介入のうち、高用量のシロシビンの投与を受けた患者は、抗うつ薬(エスシタロプラム)の試験においてプラセボを投与された患者と比較して、抑うつ症状の改善において良好な反応を示すものの効果量は小さいことが、台湾・義守大学のTien-Wei Hsu氏らの調査で示された。研究の詳細はBMJ誌2024年8月21日号に掲載された。  研究グループは、抑うつ症状を有する患者において、4つのサイケデリックス薬またはエスシタロプラム(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を用いた経口単剤療法の有効性と受容性を、盲検化の失敗による効果の過大評価の可能性を考慮して比較することを目的に、文献の系統的レビューとベイズ流ネットワークメタ解析を行った(台湾国家科学技術委員会[NSTC]の助成を受けた)。

日本の実臨床における統合失調症に対するアセナピンの治療継続予測因子

医療一般

 統合失調症における薬物療法の継続率は、薬剤の種類や年齢、罹病期間などの患者関連因子により影響を受け、変動する。関西医科大学の嶽北 佳輝氏らは、特殊な製剤特性を有するアセナピン舌下錠における治療継続率の予測因子を明らかにするため、リアルワールドデータを用いた分析を行った。Annals of General Psychiatry誌2024年8月2日号の報告。  日本におけるアセナピンの市販後調査で収集した3,236件のリアルワールドデータを用いて、分析を行った。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、主要アウトカムである薬物治療継続率に関連する患者関連因子を特定した後、さらに生存分析を用いて評価した。副次的アウトカムは、有害事象の発生とした。

ペムブロリズマブ、非小細胞肺がん術前・術後補助療法に承認/MSD

医療一般

 MSDは2024年8月28日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブについて、非小細胞肺がん(NSCLC)における術前・術後補助療法の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。  今回の承認は、臨床病期II、IIIAまたはIIIB(T3-4N2、UICC/AJCC 第8版)の周術期NSCLC患者797例(日本人82例を含む)を対象とした、国際共同第III相試験であるKEYNOTE-671試験の結果に基づいている。

アトピー性皮膚炎へのデュピルマブ、5年有効性・安全性は?

医療一般

 デュピルマブで治療を受けたアトピー性皮膚炎患者を最長5年追跡調査したコホート研究において、デュピルマブの臨床的有効性は維持された。一方で3分の2の患者は3週ごとまたは4週ごとの投与量に漸減し、23.8%の患者が治療を中止した。治療中止の主な理由は有害事象、無効であった。これまで日常診療でのアドピー性皮膚炎に対するデュピルマブの、長期の有効性と安全性に関するデータは限られていた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのCeleste M. Boesjes氏らが、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年8月7日号で報告した。

高齢のCKD患者、タンパク質制限は本当に必要?

医療一般

 軽度または中等度の慢性腎臓病(CKD)を有する高齢者におけるタンパク質摂取量と全死亡率を調査した結果、タンパク質摂取量が多いほど死亡リスクが低く、タンパク質摂取の利点が欠点を上回る可能性があることを、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAdrian Carballo-Casla氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年8月1日号掲載の報告。  健康な高齢者では健康を維持するために一定のタンパク質を摂取することが推奨されているが、CKD患者ではCKDのステージ進行を抑制することを目的として、タンパク質摂取量を制限することが推奨されている。しかし、軽度または中等度のCKDを有する高齢者のタンパク質摂取を制限した場合の全般的な健康への影響については十分なエビデンスが得られていない。

肺炎の診断の半数以上は後に変更される

医療一般

 肺炎の診断を誤る医師は少なくないようだ。肺炎の診断について、初期診断と退院時の診断が一致していないケースは半数以上に上ることが、200万件以上の入院データの解析から明らかになった。これは、肺炎症例の半数以上で、肺炎の初期診断が誤診であり最終的に別の病気の診断が下されたか、あるいは初期診断時に肺炎が見逃されていたかのどちらかであることを意味する。米ユタ・ヘルス大学のBarbara Jones氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に8月6日掲載された。Jones氏は、「肺炎は、明確に診断できる疾患のように見えるかもしれないが、実際には、肺炎に似た他の病気と混同されて診断されているケースがかなりの割合を占める」と述べている。

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