慢性期統合失調症患者に新たな一手!「高酸素吸入療法」 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/08/16 神経障害に対する高酸素療法については、いくつかの研究で肯定的な結果が示されている。また、統合失調症患者では脳への酸素供給を増加させることにより、ミトコンドリア機能障害によるエネルギー代謝障害や前頭葉機能低下が改善される可能性がある。Bloch氏らは統合失調症の有用な治療法として高酸素吸入療法が選択肢となりうると考え、検討を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。 対象はベースラインで精神医学的評価と認知機能評価を受けた慢性期統合失調症の外来患者およびホステルなど地域の精神科施設に入所している患者。4週間の高酸素吸入療法群(酸素濃度40%)または定期的な空気の吸入(酸素濃度21%)を行ったコントロール群に無作為に割り付けた。1夜につき少なくとも7時間、経鼻呼吸チューブより吸入を受けた。試験終了後はほかの治療方法にクロスオーバーされた。 主な結果は以下のとおり。 ・15例の患者は調査完了した(フェーズA完了は5例)。 ・高酸素吸入療法群ではコントロール群と比較し、PANSSスコアの有意な改善が認められた。 ・神経心理学的検査によると、高酸素吸入療法は記憶と注意に関して有効であった。 ・統計学的な有意性が示されたにも関わらず効果量は小さかった。その理由として、対象患者が慢性かつ重症例であったことが考えられる。 関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・抗精神病薬の長期投与、その課題とは ・「グルタミン酸仮説」を検証 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bloch Y, et al. J Clin Psychopharmacol. 2012 Aug; 32(4): 525-530. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症における呼吸器系疾患の有病率~メタ解析 医療一般(2021/11/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経(2021/04/20) 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) 脳血管内治療STANDARD(2020/12/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) 今、注目のエビデンス(2018/07/02) 第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】(2018/07/25) 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2(2018/04/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07)