人工膝関節全置換術後の患膝の痛みは、対側膝の痛みと関連するか?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/03/22

 

 人工膝関節全置換術(TKA)後の患膝の持続的な痛みは、反対側の膝の痛みにつながる可能性が示唆されている。しかし、英国・ブリストル大学のH.K. Smith氏らがKinemax Outcomes Studyのコホートで調査した結果、TKA術後3ヵ月における患膝の疼痛は術後2年までの対側膝の症状増悪と関連していなかった。著者は、対側膝に関しては、症状について問診する以外に追加の観察は必要なかったとまとめている。The Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年2月20日号掲載の報告。

 Kinemax型人工膝関節を用いて初回片側TKAを施行した変形性関節症患者772例(Kinemax Outcomes Studyのコホート)を対象に、患膝の術後疼痛が対側膝の痛みの自然経過と関連するかを検討した。

 術前および術後3、12、24ヵ月に患膝と対側膝それぞれの痛みをWOMAC(Western Ontario McMaster University arthritis index)(100点満点、100点が最もよい状態)で評価した。

 対側膝のWOMAC疼痛スコアの変化が、術後3ヵ月における患膝のWOMAC疼痛スコアと関連があるかどうかを、性別、年齢、国籍、BMIなどで調整し解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・患膝および対側膝のいずれも、術前に比べ術後3ヵ月に疼痛が改善した。
・対側膝のWOMAC疼痛スコアは3.5/年(標準偏差9.8/年)悪化した(p<0.001)。
・しかし、術後3ヵ月における患膝のWOMAC疼痛スコアとの関連性は認められなかった(p>0.6)。
・著者は、「対側膝に関しては、症状について問診する以外に追加の観察は必要なかった」と結論している。

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(ケアネット)