脊椎大手術における硬膜外麻酔および持続硬膜外鎮痛の有用性

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/04/09

 

 硬膜外麻酔は、術後硬膜外鎮痛の有無にかかわらず手術侵襲反応を軽減する可能性があることが示唆されているが、脊椎大手術を受ける患者については十分な研究がされていなかった。今回、ロシア・Nizhny Novgorod Research Institute of Traumatology and OrthopedicsのAnna A.Ezhevskaya氏らによる前向き無作為化試験の結果、硬膜外麻酔/全身麻酔+術後硬膜外鎮痛の併用は、全身麻酔+麻薬性鎮痛薬の全身投与と比較して、疼痛をより良好にコントロールでき、出血量ならびに手術侵襲反応も少ないことが示された。Spine誌オンライン版2013年3月19日の掲載報告。

 本研究の目的は、脊椎再建手術における臨床転帰と手術侵襲反応に対する麻酔ならびに鎮痛法の有効性を比較検討することであった。

 85例が次の2群に無作為に割り付けられた。

 ・E群(45例):セボフルラン(商品名:セボフレンほか)による硬膜外麻酔と気管内麻酔+術後ロピバカイン(同:アナペイン)、フェンタニル(同:フェンタニルほか)およびエピネフリン(同:ボスミンほか)による持続硬膜外鎮痛
 ・G群(40例):セボフルランによる全身麻酔+術後フェンタニルおよびオピオイド全身投与
 術中および術後にコルチゾール、グルコース、IL-1β、IL-6およびIL-10濃度を測定するとともに、術後の疼痛、悪心、運動性および満足度を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・E群ではG群と比較して、疼痛、悪心が有意に少なく、より早期に運動を開始することができ、満足度も有意に高かった。
・E群は、術中および術後の出血量が有意に少なく、術後のグルコース、コルチゾール、IL-1β、IL-6およびIL-10濃度も低値であった。

~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!
「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる
「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる
「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート

(ケアネット)