放射線照射後における白髪化誘導の最初のターゲットとなるものは?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/09

 

 電離放射線照射後の白髪化誘導の最初のターゲットは、色素幹細胞ではなくケラチノサイト幹細胞であると報告された。岐阜大学の青木仁美氏らによる報告。
放射線に誘発される白髪は、毛包のバルジ領域のニッシェ(微小環境)における色素幹細胞の異所性分化によって引き起こされる。バルジ領域のケラチノサイト幹細胞はニッシェを形成する重要な要素であるが、放射線誘発白髪に関して、色素幹細胞の分化とケラチノサイト幹細胞のニッシェとの関連についてはこれまで十分に解明されていなかった。The Journal of investigative dermatology誌オンライン版2013年4月2日掲載報告。

 主な結果は以下のとおり。

・毛包色素幹細胞、ケラチノサイト幹細胞は放射線照射により影響を受けた。なお、免疫組織化学的検出には遺伝毒性マーカーとしてγH2AXが用いられた。
・放射線照射したマウスから調整したケラチノサイト幹細胞において、放射線照射により培養下でコロニー形成率の減少、生体で毛周期の遅れがみられた。
・ケラチノサイト幹細胞での放射線照射の影響は一時的であったが、メラノサイトに増殖・分化した色素幹細胞の母集団では照射後も影響が持続した。
・コロニー形成率の減少に加え、照射を受けたケラチノサイト幹細胞を含むケラチノサイトは、色素幹細胞のコロニー形成を抑制した(in vitro)。
・放射線照射したケラチノサイト幹細胞、ケラチノサイトの存在下では着色した毛髪は再生成されなかった(in vivo)。

(ケアネット 森 幸子)

原著論文はこちら

Aoki H,et al. J Invest Dermatol . 2013 Apr 2. [Epub ahead of print]

http://pmc.carenet.com/?pmid= 23549419