国内の献血から初めてシャーガス病抗体陽性例が報告される

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/08/19

 

平成25年8月14日 第2回薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会より

  献血者は中南米出身の40代男性で、「シャーガス病の疫学研究」*の対象であったため、平成25年6月の献血時に抗体検査を受け、抗体陽性が判明した。日本赤十字社は、安全対策として、この血液に対し出荷を差し止める等の対応を行った。

  一方、今回の献血者はシャーガス病の安全対策が実施される(平成24年10月)以前にも献血を複数回行っており、その血液を原料として製造された赤血球製剤及び新鮮凍結血漿製剤が併せて11製剤、医療機関に納入されていたことも判明。日赤の調査によると、これらの製剤の保管検体はいずれもシャーガス病の抗体が陽性であり、納入された血液製剤の使用状況及び投与された患者の転帰等につき、遡及調査を実施しているとのこと。厚生労働省では、今回の献血者に関連する遡及調査の結果等を踏まえ、近く、血液の安全性対策について薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会で検討する予定。

シャーガス病

 トリパノゾーマ・クルージ(原虫)による感染症。中南米に多く、サシガメの一種が媒介する他、母子感染、輸血による感染が知られている。発熱などの非特異的な急性期症状の後、10~30年間の潜伏し(無症状であることが多い)、感染者の10~30%ほどに心筋肥大、心室瘤、不整脈などの心症状や、巨大結腸等の消化器症状をきたす。

献血におけるシャーガス病の安全対策

 平成24年10月から中南米出身者等に対し、問診によって対象を特定した上で、その献血は血漿分画製剤のための原料血漿としてのみ使用する等の安全対策をとっている。

*シャーガス病の疫学調査:国内におけるシャーガス病の感染状況を把握するため、日本赤十字社の事業として、シャーガス病の安全対策(上記)対象者のうち、同意を得られた方の血液を用い、シャーガス病抗体を測定する調査。平成25年1月より東海4県(静岡、愛知、岐阜、三重)で先行実施、平成25年4月より全国で実施している。

《関連リンク》
平成25年度第2回血液事業部会運営委員会
日本赤十字社ホームページ シャーガス病に係る安全対策について

(ケアネット)