筋骨格系の疼痛は、労働能力の損失による障害年金支給に影響を及ぼしていることが知られている。フィンランド・東フィンランド大学のAnnina Ropponen氏らは、23年間にわたる前向きコホート研究から、労働能力を障害している筋骨格系の疼痛は、変形性関節症や腰痛に起因した障害年金支給の早期かつ直接的な予測因子であることを明らかにした。Pain誌2013年10月号(オンライン版2013年5月24日号)の掲載報告。
研究グループは、筋骨格系疾患に関連した疼痛が障害年金支給の予測因子となりうるか、また、どのような因子が疼痛と障害年金支給との関連に影響を及ぼすかについて調査した。
対象は1958年以前に生まれた双生児1万1,224人(うち完全なペアは4,399組)で、1975年および1981年に実施された労働能力と筋骨格系(腰部、頸部、肩)疼痛に関するアンケート調査のデータ、ならびに2004年までの年金記録のデータを解析した。
主な結果は以下のとおり。
・23年の追跡期間中、筋骨格障害で508件、変形性関節症で166件、腰痛の診断で162件の障害年金支給が行われた。
・6年の間を空けた2回の調査とも、労働能力が障害されるような1ヵ所もしくは複数ヵ所の疼痛があると、筋骨格障害、変形性関節症または腰痛による障害年金支給のリスクが増大することが認められた。
・疼痛と障害年金支給との関連は、家族性の交絡因子(遺伝的特徴あるいは家族の背景因子など)や、その他の影響があると思われる背景因子(頭痛、片頭痛、鎮痛薬・睡眠薬または精神安定薬の使用、生活満足度、教育と結婚の状態)とは独立していた。
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(ケアネット)