セックスが苦痛に…分娩による肛門括約筋損傷

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/29

 

 分娩時の肛門括約筋損傷(OASI)により持続的な便失禁を認める女性は、大半が性機能障害を抱えていることがオランダ・VU 大学医療センターのA.P.Visscher氏らによる研究で明らかになった。また、内部・外部両方の肛門括約筋裂傷をもつ症例は、外部のみの例よりも便失禁の重症度が高く、肛門の圧力値も低かった。女性たちの今後の人生を考えると、これらの症状の緩和を念頭に置いて治療を行う必要がある。
International Urogynecology Journal誌2013年11月7日号の報告。

 本研究の目的は、分娩による重症度3のOASI患者における肛門括約筋形成術後の肛門機能の変化を評価することであった。

 重症度3a、3b、3cのOASIのために持続的な便失禁(FI)を抱える女性を対象に、1998年から2008年まで記述式の後ろ向き横断的研究を実施した。肛門括約筋形成術から3ヵ月後に肛門内圧測定と超音波内視鏡検査を実施し、直腸肛門機能評価(AFE)を行った。2011年に、便失禁(Vaizey/Wexner)、尿失禁(尿失禁症状・QOL評価質問票:ICIQ-SF)、性機能(女性性機能指数:FSFI)、QOL(36項目健康調査:Rand-36)についてアンケートを行い、再度AFEを受けるか尋ねた。

 主な結果は以下のとおり。

・フォローアップは平均5.0年であった。
・66例がAFEを受け、そのうち40例(61%)が便失禁と尿失禁に関するアンケートに回答した。
・便失禁の有病率は、放屁63%、液状便50%、固形便20%であった。
・40例中32例がQOLと性機能のアンケートにも回答した。性機能不全は回答した女性の大半が抱えており、OASIの重症度が高いほど顕著であった(カットオフ値26.55)。
・40例中16例は、再度AFEを受けた。
・内部・外部両方の肛門括約筋裂傷を抱える6例は、外部のみの10例より便失禁の重症度が高く(p<0.050)、肛門の圧力値も低かった(p=0.040)。

(ケアネット 武田 真貴子)