上部早期胃がんに対する最適な術式を検討:日本での多施設後ろ向き研究

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/13

 

 上部早期胃がん治療における手術にはさまざまな術式がある。大阪大学消化器外科の益澤 徹氏(現大阪警察病院)らは、上部早期胃がん203例における記録から、胃全摘術後Roux-en-Y型食道空腸吻合術(TG-RY)、噴門側胃切除術後食道胃吻合術(PG-EG)、噴門側胃切除術後空腸間置術(PG-JI)の3つの術式を比較し、最適な術式を検討した。World Journal of Surgery誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。

 著者らは、13医療機関から上部早期胃がん203例の医療記録を収集し、臨床的特徴や周術期および長期アウトカムについて、TG-RY、PG-EG、PG-JIの3群間で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・TG-RYは122例、PG-EGは49例、PG-JIは32例で施行された。
・腫瘍は、PG-EG群とPG-JI群よりもTG-RY群で大きかった。
・未分化型腺がんは、PG-EG群よりもTG-RY群で多い傾向がみられた。
・手術時間は、PG-JI群とTG-RY群よりPG-EG群で短かった。
・入院期間や術後早期の合併症は3群間で差がなかった。
・胃切除に関連する症状は、つかえ感と胸やけはPG-EG群で多い傾向があり、一方、ダンピング症候群と下痢はTG-RY群で多かった。
・術後の体重減少は3群間で差はなかったが、血清アルブミンおよびヘモグロビンは、TG-RY群で低い傾向があった。

 これらの結果から、著者らは「長期生存が期待される上部早期胃がんでは、TG-RYよりもPG-EGやPG-JIを施行すべき」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)