頚部や腰部の疼痛と精神的苦痛との相互作用に関する理解は、公衆衛生の観点から重要である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のKari Paanalahti氏らは、大規模な地域住民を対象とした前向きコホート研究を行い、脊椎痛および精神的苦痛の併存は、女性に多く、男女いずれにおいても回復が不良で、脊椎痛と精神的苦痛は双方向の関連性があることを確認した。Spine Journal誌オンライン版2013年11月18日号の掲載報告。
本検討は、無作為に抽出したストックホルム在住の一般住民1万9,774人(18~84歳)を対象とし、調査開始時(2002年)および追跡調査時(2007年)に、郵送にてアンケート調査を行った。
脊椎痛は、modified Nordic Pain Questionnaireを、精神的苦痛は、精神健康調査票(GHQ-12)を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・調査開始時における脊椎痛と精神的苦痛の併存率は、女性11%、男性4%であった(リスク比[RR]:2.4、95%信頼区間[CI]:2.1~2.7)。
・脊椎痛のみの有病率は女性20%、男性14%、精神的苦痛のみの有病率はそれぞれ15%、12%で、いずれも女性で高率であった。
・追跡調査時における回復率は、脊椎痛と精神的苦痛が併存していた場合が(女性26%、男性27%)、脊椎痛のみ(女性41%、男性44%)や、精神的苦痛のみ(女性49%、男性52%)と比較して低かった。
・調査開始時に脊椎痛のみを有していた人のうち、追跡調査時に精神的苦痛も有していたのは女性24%、男性17%であった。
・調査開始時に精神的苦痛のみを有していた人のうち、追跡調査時に脊椎痛も有していたのは女性24%、男性20%であった。
・脊椎痛は精神的苦痛の決定因子(オッズ比[OR]:2.6、95%CI:2.3~2.9)、精神的苦痛は脊椎痛の決定因子(OR:2.0、95%CI:1.8~2.2)であることが認められた。
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(ケアネット)