筋肉痛の熱感受性に神経成長因子生成が関与?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/20

 

 遅発性筋肉痛(いわゆる筋肉痛)は、伸張性収縮負荷によって筋侵害受容器の機械感受性が増大することで生じることが知られている。今回、中部大学生命健康科学部のFernando Queme氏、同教授の水村和枝氏らは、ヒトにおいて遅発性筋肉痛時に熱感受性の増大はみられないことを示すとともに、遅発性筋肉痛ラットモデルによる検討で、伸張性収縮による神経成長因子(NGF)の生成量が不十分な場合は熱感受性が増大しない可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「今回の知見は、新たな薬理学的ターゲットと治療アプローチの探索に役立つ可能性がある」と報告をまとめている。Journal of Pain誌2013年11月号(オンライン版2013年9月21日号)の掲載報告

 研究グループは、(1)ヒトにおける遅発性筋肉痛時の熱感受性、(2)in vitroで筋C線維の熱刺激に対する反応、について調べた。
 (1)ヒトで、遅発性筋肉痛誘発後、48℃の等張食塩水およびカプサイシンを筋肉注射し、圧痛閾値および疼痛強度スコアを記録した。
 (2)ラットに伸張性収縮を負荷後、筋-神経標本(受容野)を取り出し、機械刺激および熱刺激に対する反応を記録した。

 主な結果は以下のとおり。

・ヒトでは、遅発性筋肉痛時に圧痛閾値は減少したが、熱およびカプサイシンに対する疼痛反応は増加しなかった。
・伸張性収縮を負荷したラット筋C線維は、機械感受性が増大していた。また、受容野へのNGF投与により熱感受性が増大した。
・結果を踏まえて著者は、「本論は、遅発性筋肉痛時の基本的な痛覚過敏のメカニズムの新たな知見を示すものである」と述べるとともに、「筋膜疼痛症候群の研究モデルとして、また筋肉の痛みに関するNGFの役割を研究するうえで有用なモデルである」と展望している。

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