複合性局所疼痛症候群(CRPS)は手首骨折後にみられることがあるが、その発生頻度等は報告によって大きく異なっている。南オーストラリア大学のG. Lorimer Moseley氏らは大規模な前向きコホート研究を行い、手首を骨折し非手術療法で管理された患者の26例に1例がCRPSを発症し、骨折後早期の疼痛が強いとCRPSの発症リスクが増大することを明らかにした。同氏は、骨折後2日間の疼痛が平均してどのくらいかを患者に質問し、0~10の数値化スケールで5以上の場合はCRPSの警告ととらえるべき、とまとめている。Journal of Pain誌2014年1月号(オンライン版2013年11月21日号)の掲載報告。
研究グループは、骨折クリニック3施設を受診した手首骨折受傷患者計1,549例を1施設にて非手術療法により管理し、骨折後1週間以内と、4ヵ月後に評価した。
疼痛強度には0~10の数値的評価スケール(NRS)を、CRPSの診断には既存の基準を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・手首骨折4ヵ月後におけるCRPSの発生率は3.8%(95%信頼区間:2.9~4.8%)であった。
・4つの臨床評価(pain、reaction time、dysynchiria、swelling)に基づいた予測モデルは、骨折後にCRPSを発症するであろう患者(C index:0.99)と、発症しないであろう患者を明確に識別した。
・疼痛強度のみの評価でも、ほぼ同程度に識別可能であった(C index:0.98)。
・非手術療法で管理された手首骨折患者26例に1例が、CRPSを呈した。
・骨折後2日間の疼痛スケールが5/10以上の場合は、CRPSのレッドフラッグと考えるべきである。
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(ケアネット)