アルツハイマー病とがん死亡リスクの関連~前向き研究(NEDICES)より

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/29

 

 これまでの研究で、アルツハイマー病とがんリスク低下との関連が示されているが、ほとんどの研究は診断未確定の認知症例を除外している。スペイン・12 de Octubre大学病院のJuan Pablo Romero氏らは、高齢者5,278人を含む集団ベースの前向き研究(NEDICES)で、まず検証がなされている方法で認知症の症状がある人々を選別したうえで、認知症が疑われる患者を臨床検査で確認するという2段階の調査方法を用いて、がんによる死亡とアルツハイマー病およびそれ以外の認知症との関連を検討した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2014年1月21日号に掲載。

 著者らは、地域在住の認知症患者および認知症ではない被験者を同定、12.5年間(中央値)追跡し、その後、死亡した被験者の死亡診断書を調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・合計1,976人(47.1%)が死亡し、そのうち、アルツハイマー病と推定される患者(possible/ probable AD)は277人、アルツハイマー病以外の認知症患者は126人であった。
・アルツハイマー病と推定される患者(5.8%)やアルツハイマー病以外の認知症患者(6.3%)では、認知症ではない人(26.5%)より、がん死亡が有意に少なかった。
・未調整のCoxモデルにおいて、非認知症者と比べたがん死亡の相対リスク(RR)は、アルツハイマー病患者で0.45(p=0.002)、アルツハイマー病以外の認知症患者で0.62(p=0.179)であった。
・さまざまな人口統計学的要因と併存疾患を調整したCoxモデルにおいて、がん死亡の相対リスクは、アルツハイマー病患者で0.50(p=0.028)、アルツハイマー病以外の認知症患者で0.97(p=0.942)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)