中高齢者の疼痛感受性に対する年齢と人種の影響について、米国・フロリダ大学のJoseph L. Riley氏らはさまざまな刺激方法を用いて検討を行った。その結果、中年者と高齢者では温熱刺激に対する反応に違いがみられ、加齢に伴い疼痛感受性の低下はとくに下肢で顕著であることを明らかにした。また、温冷刺激に対する疼痛感受性には人種差が認められ、白人よりも黒人のほうが温冷刺激ともに著しく感受性が低下することが明らかになったという。Journal of Pain誌2014年3月号(オンライン版2013年11月14日号)の掲載報告。
研究グループは、侵害刺激への反応に対する年齢および人種の影響を検討するため、45~76歳の非ヒスパニック系黒人53例、非ヒスパニック系白人138例を対象に、温熱、機械および寒冷刺激に対する反応を評価する感覚検査(3時間単回)を行った。
主な結果は以下のとおり。
・高齢者は中年者に比べ、温熱刺激に対して鈍く、とくに膝で著しいことが示唆された。
・疼痛感受性には人種差がみられ、その差は高齢者においてより顕著であった。
・全体的に、本試験の人種差に関するデータは、先行研究において報告されたデータと同様の結果を示した。
・その中で新たな所見として、非ヒスパニック系黒人では、時間的加重ならびに温冷両刺激に対する感受性低下が、年齢とともに増大することが示唆された。
・本研究により、加齢とともに疼痛感度は下肢で最も大きく低下することが明らかになった。また、より若い年代で観察されていた人種による違いは、本試験における中高年層でもみられることが明らかになった。
(ケアネット)