統合失調症患者の睡眠状態を検証 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/05/20 カナダ・Riviere-des-Prairies病院のFabian Guenole氏らは、睡眠期(dissociated stages of sleep:DSS)を定量化することで、統合失調症における睡眠の機能的不安定性を特徴づけること、およびそれら特徴と精神病理との相関性を調べる検討を行った。その結果、統合失調症とレム睡眠期にみられるニューロンコントロールメカニズムとに有意な相関が認められることを明らかにした。Schizophrenia Research誌2014年5月号(オンライン版2014年4月13日号)の掲載報告。 検討は、統合失調症の若年成人で投薬未治療の初発患者10例と、健常対照10例であった。睡眠紡錘波、急速眼球運動およびアトニーなどを測定した結果、基本的な4つのDSSが記録された。 1)睡眠移行期であるEEG混合中間期(EMIS) 2)急速眼球運動のみられないレム睡眠期(RSWR) 3)アトニーのないレム睡眠期(RSWA) 4)急速眼球運動がみられるノンレム睡眠期 EMISとRSWRスコアを合計した中間睡眠期(IS)スコアを算出し、レム睡眠期間のIS(IRSPIS)と、レム睡眠中にスコアしたIS(ISERS)の長さを測定した。患者は、記録時に簡易精神症状評価尺度(BPRS)で評価を受けた。総睡眠時間における各DSSの比率と、レム睡眠におけるIRSPISとISERSの割合を患者群と対照群で比較。また、DSSの変化とBPRSの総スコアとの関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・総DSSの割合は、患者群と対照群で変わらなかった。 ・DSSサブタイプ群において、アトニーのないレム睡眠期(RSWA)は患者群で比較群と比べて有意な増大が認められた。有意差は示されなかった。 ・睡眠全体およびレム睡眠期において、BPRSスコアとDSS、IS、RSWR、IRSPIS、ISERSの比率とには、有意な正の相関がみられた。 ・これらの結果は、統合失調症を有する若年成人の未治療初発患者では、レム睡眠の機能的不安定性を示すものであった。 ・それらは、レム睡眠行動障害を想起させるパターンを明らかにするものであった。 ・本検討により、統合失調症とレム睡眠期にみられるニューロンコントロールメカニズムには有意な相関があることが示された。 関連医療ニュース 検証!統合失調症患者の睡眠状態とは 境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 自殺と不眠は関連があるのか (ケアネット) 原著論文はこちら Guenole F, et al. Schizophr Res. 2014; 155: 31-38. Epub 2014 Apr 13. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)