統合失調症患者の感情は損なわれていない 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/09/11 これまで、統合失調症では感情プロセスが障害されていることが示されていた。しかし、それら障害が認知障害によるものかについては不明であった。米国・Nathan Kline InstituteのFabien Tremeau氏らは、統合失調症患者では損なわれているとされる感情の刺激について健常対照との比較を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月23日号の掲載報告。 活動(activity)への意思決定に関与する、さまざまな認知および感情評価において、とくに次の3つの評価、(1)活動そのものへの関心、(2)活動から予想される満足(3)活動を心待ちにしている間の刺激、が重要とされる。これらの活動前評価に加えて、活動後の感情評価が、同じ活動を繰り返すモチベーションに影響を与えるが、これまでの研究において、統合失調症ではこれらの感情プロセスが障害されていることが示されていた。しかし、それら障害が認知障害によるものかについては不明であり、研究グループは、健常対照との比較による検討を行った。 具体的には、統合失調症または統合失調感情障害を有する患者と健常対照について、それぞれ別々にごく簡単な認知試験を行い、検査前後の満足、関心、刺激を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・予想した満足と、認知試験後の満足および関心の評価は、健常対照群よりも患者群が有意に高かった。 ・刺激については、群間差はみられなかった。 ・患者群では、予想した満足、試験前の刺激と、うつスコアとの間に負の相関がみられた。また試験前の関心と陰性症状についても負の相関がみられた。 ・著者は、「統合失調症または統合失調感情障害の被験者が報告した感情評価は、健常対照と比べて同程度かそれ以上であった」とまとめている。 ・また、「今回得られた所見は、最近の感情研究で示された、統合失調症では満足の経験は損なわれないとの見解と一致するものであった」と述べ、「統合失調症スペクトラム障害における複雑な機能障害をよりよく理解するために、感情と認知プロセスを分けて考える必要があることを強調する結果であった」と指摘している。 関連医療ニュース 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Tremeau F, et al. Schizophr Res. 2014 Aug 23. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 貧血を伴う動脈瘤性くも膜下出血の輸血、非制限戦略vs.制限戦略/NEJM(2024/12/24) 日本人双極症外来患者におけるアルコール依存症合併率とその要因〜MUSUBI研究(2024/12/24) 乳がん再発予測、ctDNA検査はいつ実施すべき?示唆を与える結果(ZEST)/SABCS2024(2024/12/24) DOACとスタチンの併用による出血リスク(2024/12/24) 不規則な睡眠習慣は主要心血管イベントリスクを高める(2024/12/24) 超加工食品の大量摂取は活動性乾癬と関連(2024/12/24) GLP-1RAによる肥満治療が食品ロスを増やしている(2024/12/24) 口の中でグミを細かくできないと要介護や死亡のリスクが高い―島根でのコホート研究(2024/12/24) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01)