認知症の精神症状、さらなる評価が必要

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/10/20

 

 認知症をめぐる精神神経症状は、介護者のストレス、および施設入所を決定付ける主要因子である。しかし、その有病率、また薬物療法や介護者ストレス、さらにプライマリケア資源利用との関連については、ほぼ不明である。ドイツ・ロストック大学のStefan J. Teipel氏らは、プライマリケア介入試験から抽出したサンプルで、それらを明らかにする検討を行った。結果、プライマリケアの介入デザインにおいて、さらなる精神神経症状への介入を強調する所見が得られたことを報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年9月23日号の掲載報告。

 研究グループは、プライマリケア介入試験から抽出したサンプルで、精神神経症状の頻度を評価した。患者は、それぞれのプライマリケア医によって認知症スクリーニングを受けていた。試験担当看護師が、往診時にNeuropsychiatric Inventory(NPI)を用いた代行面談調査を行い、患者176例の精神神経症状を評価。さらに、全般的な症状(MMSE評価による)、生活の質(QoL-AD)、認知症サービスの利用(RUD)、介護者のストレス(BIS)、向精神薬療法に関するデータを入手して分析した。分析は、線形混合効果モデルにて、担当医が一般診療所の医師であった患者集団を取り込んで行われた。

主な結果は以下のとおり。

・臨床的に重要な精神神経症状(NPIスコア4以上)を有していた患者は、約53%であった。
・NPIスコア高値と認知障害がより重度であること、介護者ストレスがより高いこと、患者の介護サービス利用がより多いこととの間に、有意な関連が認められた。
・一方で、NPIスコア高値と、プライマリケア医の正式な認知症診断との関連はみられなかった。
・抗精神病薬の使用は、NPIスコア高値(とくに非精神病領域)と関連していた。
・以上、スクリーニングで認知症陽性であったプライマリケア集団において、精神神経症状は、サービス利用や介護者ストレスとの関連が認められた。
・ガイドラインの推奨とは対照的に、抗精神病薬の使用は、非精神病性の行動症状の領域と関連していた。

関連医療ニュース
日本では認知症への抗精神病薬使用が増加
認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット
認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較


  担当者へのご意見箱はこちら

(ケアネット)