うつ病や不安症の発症にライフスタイル要因が関与していることを支持するエビデンスが発表され、これら疾患の治療では非薬理学的アプローチの重要性が増している。観察研究によると、習慣的な食生活の質とうつ病との関連が示唆されている。とはいえ、食生活がメンタルヘルスのアウトカムに影響を及ぼす原因についてはあまり知られていない。オーストラリア、ラ・トローブ大学のRachelle S Opie氏らは、うつ病や不安症に対する食事介入療法の成功プログラムの特性を明らかにするため、ランダム化比較試験の系統的レビューを実施した。Public health nutrition誌オンライン版2014年12月3日号の報告。
Cochrane、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PubMed、PyscInfoのデータベースから、1971年4月~2014年3月に掲載された論文を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・特定された1,274報のうち、17報が適格基準を満たしていた。
・うつ病に対する成果は17報すべてで報告され、不安症や総合感情障害指標(total mood disturbance)については10報で報告されていた。
・食事介入療法群はコントロール群と比較して、ほぼ半分(47%)の研究でうつ病スコアに対する有意な効果が認められたが、残りの半分は無効であった。
・効果的な食事介入療法は、1品ずつの配膳(single delivery mode)、栄養士の起用を基盤としており、赤肉(red meat)の摂取を控えるような推奨や、低脂肪肉製品の選択、低コレステロール食を順守するような介入である傾向は低かった。
結果を踏まえ著者らは、「異質性は高かったが、食事介入療法によるうつ病のアウトカム改善に関するいくつかのエビデンスを発見することができた。しかしながら、臨床的うつ病患者での食事介入療法の影響を調べた研究は1つだけであり、今後メンタルヘルスアウトカムに対する栄養改善の効果に関する臨床的なトライアルが必要である」とまとめている。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)