国立病院機構南京都病院の重松 一生氏らは、京都府医師会脳卒中登録に登録された約1万4千例のデータから、虚血性脳卒中と出血性脳卒中の発症比率の季節変動を検討した。その結果、脳卒中の種類により季節変動性が異なり、脳出血/脳梗塞、くも膜下出血/脳梗塞におけるオッズ比は、年齢・性別・危険因子に関係なく、夏で低くそれ以外の季節で高いことが認められた。Acta Neurologica Scandinavica誌2015年12月号に掲載。
著者らは、1999年1月~2009年12月に登録された1万3,788例の脳卒中患者を、発症した季節で4群に分類。脳卒中全体・脳梗塞・脳出血・くも膜下出血について、夏の発症率を基準とし春・秋・冬の発症のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、年齢・性別・危険因子の調整後、脳出血/脳梗塞とくも膜下出血/脳梗塞におけるORの季節変動について、ロジスティック回帰を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・脳梗塞の発症率は、秋のほうが夏より低かった(OR:0.93、0.87~0.98、p=0.013)。
・脳出血の発症率は、春(OR:1.36、1.23~1.49、p<0.001)、秋(OR:1.16、1.05~1.28、p=0.004)、冬(OR:1.37、1.25~1.51、p<0.001)において、夏より高かった。
・くも膜下出血の発症率は、春(OR:1.51、1.28~1.79、p<0.001)と冬(OR:1.44、1.22~1.70、p<0.001)において、夏より高かった。
・脳出血/脳梗塞のORは、春が1.28(1.13~1.45、p<0.001)、秋が1.26(1.11~1.43、p<0.001)、冬が1.35(1.19~1.53、p<0.001)であった。
・くも膜下出血/脳梗塞のORは、春が1.46(1.19~1.79、p<0.001)、秋が1.34(1.09~1.66、p=0.007)、冬が1.50(1.22~1.84、p<0.001)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)