食道および胃噴門部腺がんは糖尿病と関連しており、この関連性は肥満とは独立している可能性があることを、米国セントラル・テキサス退役軍人ヘルスケアシステムのJ.L.Dixon氏らが明らかにした。Diseases of the Esophagus誌オンライン版2015年10月12日号の掲載報告。
過去30年間、米国では食道腺がん(EAC)の発症率が、ほかのどのがんよりも急速に増加しており、同様に、肥満や糖尿病の有病率も急激に増加している。そこで著者らは、肥満や糖尿病とEACの潜在的な関連性について検討を行った。
2005~09年度の管理データベースをレトロスペクティブに照合することによって、2つのコホートを同定した。遠位食道および胃噴門部腺がんの患者をがんコホートと定義し、胃食道逆流症(GERD)患者(噴門形成術の処置コードを伴う診断)を対照コホートとした。人口統計学的データや、肥満、糖尿病、脂質異常症、アルコール乱用、ニコチン依存の診断を含む患者データを分析し、ロジスティック回帰モデルにより、EAC発症の危険因子を同定した。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、噴門形成術を受けたGERD患者1,132例、もしくはEAC患者1,704例のいずれかであった(計2,836例)。
・肥満者の割合は対照コホートでわずかに高かった。一方、糖尿病の割合は、がんコホートのほうが高かった(30.8% vs.14.8%、カイ二乗:94.5、p<0.0001)。
・併存疾患やライフスタイル因子を調節したロジスティック回帰分析の結果、糖尿病の診断は、GERDではなく、食道がんと有意に関連していた(OR:2.2、95%信頼区間[CI]:1.7~2.8)。
・ニコチン依存もまたEACの危険因子として同定された(OR:1.7、95%CI:1.4~2.0)。
(ケアネット 佐藤 駿介)