せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/02/01 せん妄に対する薬物治療に関して、どの薬剤を第1選択とすべきかについて専門家のコンセンサスはほとんど得られていない。医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、レイティングベースのコンジョイント分析を用いて、臨床的特徴が多岐にわたるせん妄の第1選択薬(経口薬および注射薬)に関して、専門家の意見を評価するため検討を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月18日号の報告。 著者らは、横断的研究を実施した。日本総合病院精神医学会が認定するすべての一般病院連携精神医学専門医/指導医にアンケートを郵送した。 主な結果は以下のとおり。 ・136名(回答率:27.5%)の専門家の回答によると、68%以上の専門家が、過活動型(hyperactive)せん妄に対しリスペリドンまたはクエチアピンの経口投与を推奨すると回答した(ただし、糖尿病と腎機能障害の合併例を除く)。 ・静脈ラインが確保されている場合には、67%以上の専門家が、過活動型せん妄に対しハロペリドールの静脈内投与を推奨した。 ・活動低下型(hypoactive)せん妄治療においては、半分以上の専門家が推奨する薬剤がなかった。 著者らは、「決定的な治療トライアルが存在しない中で、第1選択薬に関して合意できる部分とコンセンサスが欠如している部分の両方が存在する。ルーチンに情報収集する努力が必要であり、これにより実臨床における種々薬剤の有効性や安全性の比較が可能になると考えられる」とまとめている。 関連医療ニュース せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Okumura Y, et al. Int Psychogeriatr. 2016 Jan 18:1-10. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 「がん患者におけるせん妄ガイドライン」が発刊! 医療一般(2019/04/09) せん妄に対するリスペリドン vs. ハロペリドール vs.プラセボ 医療一般(2017/01/11) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] 診療所の承継時、やってはいけない3つのNG行動【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第33回(2022/01/10) 譲れない条件は? 案件探しは「婚活」だ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第32回(2021/12/24) 1日の集患数がわかる?「診療圏調査」を信じて開業すると…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第31回(2021/12/13) Dr.増井の心電図ハンティング2 失神・不整脈編(2021/12/10) 見分けづらい・見逃しやすい疾患特集(2021/12/06) 「後輩に譲りたい」、その先輩心で売価7割減!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第30回(2021/11/19) 「サードキャリア」という医師の新しい働き方【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第29回(2021/11/08) 不動産ごと引き継いで欲しい!で難易度アップ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第28回(2021/10/25) 忙しい医師向け、スキマ時間に学べる英語学習アプリ5選【医療者のための英語学習法】(2021/10/22) 税理士の先生の紹介だから安心…、それホント?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第27回(2021/10/12)