若者に対する第2世代抗精神病薬(SGAs)の賦活や鎮静の効果について、米国・ニューヨーク大学ランゴン医療センターのZainab Al-Dhaher氏らが検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年4月19日号の報告。
若者に対する第2世代抗精神病薬治療の適応症、有効性、忍容性(SATIETY)を評価する自然主義的コホート研究の一環として、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者における賦活や鎮静症状の主観的評価を、Treatment Emergent Symptoms尺度(TESS)を使用し、3ヵ月間毎月収集した。中止率、TESSからの報告症状率、重症度は、臨床や治療パラメータに関連していた。TESSの測定は、任意の日中の賦活(ACTIVATION+)と鎮静症状(SEDATION+)の2つが定義された。
主な結果は以下のとおり。
・4件の研究から得られた、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者327例における鎮静による中断率は、クエチアピンが最も高く(13.0%)、次いでオランザピン(7.3%)、リスペリドン(4.2%)、アリピプラゾール(2.0%)であった(p=0.056)。
・抗精神病薬未治療の若者257例(13.8±3.6歳、男性率:57.8%)の使用開始薬剤は、アリピプラゾール40例、オランザピン45例、クエチアピン36例、リスペリドン135例であり、ベースライン後1回以上のフォローアップを実施した。
・ベースラインの有病率は、ACTIVATION+(39.9%)、SEDATION+(54.1%)で、SGAs間に差は認められなかった。
・ACTIVATION+とSEDATION+は、時間とともに有意に変化した(ACTIVATION+ 減少:p=0.0002、SEDATION+ 増加:p<0.0001)。それぞれのSGAs間でわずかな違いが認められ、オランザピンのACTIVATION+は低く(p=0.002)、フォローアップ中のアリピプラゾールのACTIVATION+ はやや高く(p=0.018)、アリピプラゾールのSEDATION+ は低かった(p=0.018)。
・4つのSGAsにおいて、不眠症は減少し(p=0.001)、過眠症が増加した(p<0.001)。
・ベースライン後の傾眠の有病率は、最も頻繁にみられたが、TESSの訴えは85%が軽度であり、SGAs間の違いはなかった。
・年齢の低さが、賦活症状と関連し、年齢の高さが鎮静症状と関連していた。そして、ベースライン時の機能の低さは、両方の増加と関連していた。
・精神運動遅滞率は、統合失調スペクトラム障害において高かった。一方で、診断にかかわらず、ADHD治療と精神運動興奮との関連が認められた。
結果を踏まえ、著者らは「単独TESSによるレイティングの独立予測因子は、SGA間の特異的な差よりも、むしろ臨床パラメータを含んでいる。このことから、特定のSGAsに注意を払うよりも、慎重な個別化治療戦略の必要性が示唆された」とまとめている。
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