統合失調症の自殺企図、小児期のトラウマが影響 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/07/01 統合失調症スペクトラム障害患者における生涯自殺企図に対する小児期のトラウマの影響について、カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのAhmed N Hassan氏らが検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年5月25日号の報告。 統合失調症患者361例を対象に調査を行った。小児期のトラウマは、Childhood Trauma Questionnaire(CTQ)を用い収集した。自殺企図は、主観的評価スケールおよび客観的評価スケールを用いて確認した。観察研究デザインを適用し、傾向スコアを用いて小児期のトラウマ歴の有無により患者をマッチした。人口統計的および既知の自殺リスク因子について調整した、自殺企図に対する小児期虐待の各タイプの影響を推定するために、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・本検討の被験者の39.1%に、生涯自殺企図があった。 ・2群でマッチし、人口統計的および臨床的交絡因子で調整した後、合計トラウマスコアと小児期虐待サブタイプの大部分は、自殺企図を予測した(OR:1.74~2.49、p値:0.001~0.02)。 ・本集団において、身体的ネグレクトは、自殺企図との有意な関連が認められなかった(p=0.94)。 著者らは「小児期虐待は、統合失調症患者における自殺企図の強力な独立リスク因子である。リスクは、成人期の抑うつ症状や絶望感により悪化すると考えられる。トラウマ歴のある精神疾患患者に対しては、早期スクリーニングと心理社会的治療の変更が推奨される」としている。 関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hassan AN, et al. Schizophr Res. 2016 May 25. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 疫学(危険因子) 日本発エビデンス(2012/12/11) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)