今年発表されたFIRE AND ICE試験によって、クライオバルーンアブレーションが高周波(RF)アブレーションと比べて安全性と有効性の面で劣らないことが示された。今回、報告者らは同試験の2次解析によって、日々の患者管理の重要な指標となるアブレーションの再施行、再入院および生活の質(QOL)を評価した。European Heart Journal誌オンライン版2016年7月5日号に掲載の報告。
アブレーション再施行、電気的除細動の施行、再入院を評価
FIRE AND ICE試験は、薬剤抵抗性かつ症候性の発作性心房細動に対するクライオバルーンアブレーションとRFアブレーションを比較した無作為化試験である。2次解析では、アブレーション後の再入院(心房性頻拍に伴うアブレーション再施行のための入院を含む)、心疾患および非心疾患による再入院、電気的除細動の施行などの2次評価項目と臨床的に重要な項目に焦点を当てた。このほか、30ヵ月の追跡期間中の精神的および肉体的なQOLを評価した。
クライオバルーン法、評価項目に有意差あり
374例のクライオバルーンアブレーション群と376例のRFアブレーション群を修正intention-to-treatを用いて解析した。アブレーションからの平均追跡期間は1.54±0.8年であった。アブレーション実施後1,000日時点のLog-rankを用いた生存曲線解析の結果、アブレーションの再施行率(クライオバルーン:11.8% vs. RF:17.6%、p=0.03)、電気的除細動の施行(クライオバルーン:3.2% vs. RF:6.4%、p=0.04)、原因を問わない再入院(クライオバルーン:32.6% vs. RF:41.5%、p=0.01)および心疾患に伴う再入院(クライオバルーン:23.8% vs. RF:35.9%、p<0.01)の観点で、クライオバルーンアブレーションがRFよりも優れていたことが明らかになった。
両群のQOLが改善
QOLの調査では、両群に有意差はみられなかった。アブレーションから6ヵ月後、両群の精神的および肉体的なQOLに改善がみられ、30ヵ月まで持続した。報告者らは、この解析に用いた評価項目は、患者の視点からみたアブレーションの成功および医療システム上の疾患の負荷という点で非常に重要なものである、と報告を締めくくっている。
関連コンテンツ
循環器内科 米国臨床留学記
(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)