運動での消費カロリーを実際より高く伝えられると、その後の食事の摂取カロリーが高くなる可能性があることを、英国・ブリストル大学Duncan C McCaig氏らが報告した。モバイルアプリなどによる消費カロリーの情報提供は、健康的な体重管理に逆効果となるかもしれないと考察している。Appetite誌オンライン版2016年8月20日号に掲載。
一過性の運動は、運動をしない場合と比べて、運動後のエネルギー摂取量(EI)への影響はほとんどなく、短期的にエネルギーバランスが負になると考えられるが、実際はどうなのだろうか。また、食品ラベルに表示されたカロリーがEIに影響することは証明されているが、一過性の運動をフレーミングすることでEIがどう影響されるかを検討した研究はほとんどない。
著者らは、健康でやせている男女70人の参加者に、推定エネルギー消費量(EE)が120kcalの運動を実施させ、その後のEIを評価するために、10分間の休憩後にオレンジジュース、トルティーヤチップス、チョコチップクッキーなどの試験食を自由に摂取させた。参加者には、運動前・運動直後・試験食後のいずれかに、運動による消費カロリーを50kcalまたは265kcalと伝えた。また、空腹度と食事制限状況についても調査した。
主な結果は以下のとおり。
・EIは、EEを265kcalと伝えた群でより多かった(p=0.015、主にチョコチップクッキーの摂取による)。
・空腹度については、試験食後にEEを50kcalと伝えた群に比べ、265kcalと伝えた群で有意に空腹感が強かった(p=0.035)が、運動直後ではそうではなかった。
これらの結果は、おいしい食べ物が入手可能な状況では、より高いEE情報(265kcal)がより大きな“食べる自由”を参加者に与える、という解釈を支持すると著者らは記している。他にも、食事制限の緩和について、食事制限が弱い人ではEE情報による影響が大きいことが示唆された。
(ケアネット 金沢 浩子)