認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/10/03 ベンゾジアゼピン(BDZ)による有害作用と同時に、BDZやz薬(BDZR)使用による認知・記憶への影響も知られており、高齢者に対するBDZRと認知症リスクとの関連は大きな議論を呼んでいる。コホートや保険請求データによるこれまでの研究の多くでは、BDZやBDZR使用による認知症リスク増加が示されている。これまでドイツでは、大規模な人口ベースデータセットによる分析が不足していた。ドイツ神経変性疾患センターのWilly Gomm氏らは、大規模なドイツ保険請求データセットを用いて、定期的なBDZR使用と認知症事象との関連を評価した。Journal of Alzheimer's disease誌2016年9月6日号の報告。 2004~11年の長期的なドイツ公的医療保険データを用いて、ケースコントロールデザインによるBDZR使用(非BDZR使用に対する)と認知症事象との関連を分析した。ベースライン時に認知症でなかった60歳以上の患者を調査した。潜在的な原発性バイアスに対応するため、BDZR処方と認知症診断との間に遅延時間を設けた。オッズ比は、条件付きロジスティック回帰分析により算出し、併存疾患や多剤併用などの潜在的な交絡因子を調整した。 主な結果は以下のとおり。 ・BDZRの定期的な使用は、60歳以上の患者において認知症事象の有意な増加と関連が認められた(調整OR:1.21、95%CI:1.13~1.29)。 ・その関連は、短時間作用型よりも長時間作用型で少し強かった。 ・高曝露と認知症リスク増加の傾向が認められた。 著者らは「高齢者の認知症予防に対し、BDZRの使用制限が寄与すると考えられる」としている。 関連医療ニュース 長期ベンゾジアゼピン使用は認知症発症に影響するか 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gomm W, et al. J Alzheimers Dis. 2016;54:801-808. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 認知症予防、緑茶 vs.紅茶 vs.ルイボス茶 医療一般(2017/11/01) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17) 診療所の売れ行きに直結する「概要書」の大切さ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第39回(2022/05/09) 医療マンガ大賞2021「たった一時間されど一時間」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)(2022/04/18) 「急ぎ」のお宝承継をゲットできる医師は…?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第38回(2022/04/11) Dr.田中和豊の血液検査指南 電解質編(2022/04/10)