統合失調症治療において、他の抗精神病薬にアリピプラゾールを追加した際の有効性、安全性を評価するため、中国・広州医科大学のWei Zheng氏らは、無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2016年12月号の報告。
システマティックサーチより、55件、4,457例が抽出された(アリピプラゾール(14.7±7.0mg/日)vs.プラセボ18件、vs.抗精神病薬37件)。
主な結果は以下のとおり。
・アリピプラゾールは、精神スケールに基づいた比較介入を有意に上回った。
(1)43件(3,351例)のRCTにおける総スコアのSMD;-0.48(95%CI:-0.68~-0.28、p<0.00001、I=88%)
(2)30件(2,294例)のRCTにおける陰性症状スコアのSMD:-0.61(95%CI:-0.91~-0.31、p<0.00001、I=91%)
(3)13件(1,138例)のRCTにおける総合精神病理スコアの加重平均差(WMD):-4.02(95%CI:-7.23~-0.81、p=0.01、I=99%)。
ただし、29件(2,223例)のRCTにおける陽性症状スコアのSMDは、-0.01(95%CI:0.26~0.25、p=0.95、I=88%)であった。
・精神スケールに基づく総スコアの差は、非盲検デザインRCT31件におけるプラセボ使用よりも、抗精神病薬の使用によるものと説明できる。
・アリピプラゾールは、9件のRCTにおける体重のWMDが-5.08(95%CI:-7.14~-3.02、p<0.00001、I=35%)、14件のRCTにおけるBMIのWMDが-1.78(95%CI:-2.25~-1.31、p<0.00001、I=54%)であり、比較介入を上回っていた。
・BMIのメタ回帰分析では、アリピプラゾールと低BMIとの関連は、女性でより強かった。
・補助的アリピプラゾールの安全性は示されたが、より良いランダム化比較試験により、有効性を実証する必要がある。
関連医療ニュース
抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法
難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か
本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか
(鷹野 敦夫)