クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)治療歴のあるALK変異陽性非小細胞肺がん(非小細胞肺がん以下、NSCLC)患者において、ALK阻害薬セリチニブ(商品名:ジカディア)が化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)を延長した。ASCEND-5試験の結果として欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)で発表された。
ASCEND-5試験は非盲検無作為化試験。クリゾチニブ治療歴のある患者231例が、セリチニブ群または化学療法群(ペメトレキセドあるいはドセタキセル)に1:1に割り付けられた。病勢進行(PD)により化学療法が中止となった患者は、セリチニブへのクロスオーバーが許可された。
結果、PFS中央値はセリチニブ群で化学療法群に比べ有意に改善された(5.4ヵ月 vs.1.6ヵ月、p<0.001)。客観的奏効率(ORR)も、セリチニブ群で化学療法群に比べ高かった(39.1% vs.6.9%)。また、PDとなり化学療法が中止となった患者のうち、75例がセリチニブにクロスオーバーした。
セリチニブ投与患者の有害事象は第I、II相試験と同様であった。頻度が高かったGrade3/4の有害事象は悪心(7.8%)、嘔吐 (7.8%)、下痢(4.3%)であった。化学療法では好中球減少(15.0%)、疲労感(4.4%)、悪心(1.8%)であった。また、セリチニブ群では肺がん特異的症状および全般的健康状態などの患者報告アウトカムを有意に改善した(p<0.05)。
※患者背景:年齢中央値 54歳、治療期間(セリチニブ群 30.3週、化学療法群 6.3週)、追跡期間中央値 16.5ヵ月
(ケアネット 細田 雅之)
参考
ESMO:プレスリリース
ASCEND-5試験(ClinicalTrials.gov)