飲酒行動と喫煙行動、同じ遺伝子多型が影響? わが国の大規模横断研究

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/02/23

 

 アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2;rs671、Glu504Lys)およびアルコールデヒドロゲナーゼ1B(ADH1B;rs1229984、His47Arg)の遺伝子多型は、飲酒行動に強く影響することが知られている。愛知県がんセンターの正岡寛之氏らは、喫煙行動と飲酒行動が関連するというエビデンスから、ALDH2とADH1Bの遺伝子多型が喫煙開始とも関連する可能性を検証するために大規模な横断研究を行った。その結果、飲酒量や頻度のほか、これらの遺伝子多型の組み合わせにより、喫煙開始を予測しうることが示唆された。Drug and alcohol dependence誌オンライン版2017年2月1日号に掲載。

 本研究では、2001年~05年に愛知県がんセンター病院の初診外来においてがんではないと診断された患者を調査した(生涯非喫煙者4,141例、喫煙経験者2,912例)。無条件ロジスティック回帰モデルを用いて、生涯非喫煙者と比較した喫煙経験者の喫煙開始のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・過度の飲酒は、喫煙経験の可能性が高いことと関連していた。
・飲酒行動の調整後における喫煙のORは、ALDH2 Glu/Gluを持つ患者と比較して、ALDH2 Glu/Lysを持つ患者では1.71(95%CI:1.49~1.95)、ALDH2 Lys/Lysを持つ患者では2.28(同:1.81~2.87)であった。
・ALDH2 Glu/GluとADH1B His/Hisの組み合わせを持つ患者と比較した喫煙のORは、ALDH2 Glu/GluとADH1B Arg/Argの組み合わせを持つ患者(アルコールに最も不耐性の集団)が2.44(95%CI:1.84~3.23)と最も高く、ALDH2 Lys/LysとADH1B His/Hisの組み合わせを持つ患者(アルコールに最も耐性の集団)は0.83(同:0.57~1.21)と最も低かった。

 著者らは、「この結果はALDH2とADH1Bの遺伝子多型で制御されるアルコール耐性が喫煙開始に関連することを示唆し、喫煙率を減らすための標的介入の開発を促進する」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)