現在日本では、1年間に約7万6,000人が心臓突然死により命を落としているといわれている。その心臓突然死に対する治療方法の1つとして植込み型除細動器(ICD)治療が存在する。ICD患者の半数以上が10年以内にMRI検査と推察されているが、心血管系の埋め込みデバイス患者へのMRI施行は長年にわたり禁忌である。このMRI検査とICD装着患者の安全性については議論が繰り広げられ、本サイトでもいくつかの記事が取り上げられている。
そのような中、完全皮下埋め込み型除細動器(S-ICD)を発売していたボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社が2017年1月より、新たにMRI撮像に対応したEMBLEM MRI S-ICDシステムを導入し、2016年2月に販売開始した。ボストン・サイエンティフィック マーケティング部の古閑智寿氏によれば、MRI対応になったことによる臨床現場の反響は大きいという。
このシステムでは、MRI撮像による適性診断のほか、心房細動モニタリングが機能搭載されている(A219 型)。S-ICDシステムがMRI撮像対応になるとともに心房細動をみる視覚を得たことで、無症候性の心房細動検出が期待でき、発症原因不明の潜因性脳卒中(ESUS:Embolic stroke of undermined source)の機序の解明にも一役買うと予想される。さらに、血栓塞栓症が発生した症例においてもMRIを用いた十分な全身検査ができるようになり、原因特定を可能とする。
EMBLEM MRI S-ICD システム
販売名:S-ICDパルスジェネレータ(承認番号:22700BZX00132000)
販売名:S-ICDリード(承認番号: 22700BZX00133000)
販売名:S-ICDプログラマ(承認番号: 22700BZX00134000)
(ケアネット 細田 雅之)
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