僧帽弁閉鎖不全へのMitraClip、日本できわめて良好な初期成績~日本循環器学会学術集会

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/20

 

 重度の僧帽弁不全症(MR)への新たな治療法として期待されている新規デバイスMitraClip(アボットバスキュラージャパン社)の有効性と安全性に関する30日結果が、3月17~19日に金沢市で開催された第81回日本循環器学会学術集会にて発表された。本試験には全国6施設における、中等度~重度(3+)もしくは重度(4+)の閉鎖不全症(DMR)、または、機能性僧房弁閉鎖不全症(FMR)で、LVEF≧30%、STSスコア≧8%の外科的手術が難しい患者が参加した。クリップでの処置が不適な病変を有する患者や予後が1年未満である患者などは除外された。被験者の平均年齢は80歳超であり、平均STSスコアが約10%の高リスクな層であった。

 有効性に関する主要評価項目である手技成功率(Acute Procedure Success, APS)は、30日時点で86.7%(26/30例)、退院時では90%(27例)を達成しており、経験の蓄積がある欧州と同等といえる成績を達成した。これらの患者は退院時にはMR≦2+まで症状改善がみられ、退院時までに死亡した例や僧帽弁の外科的手術を受けた例もなかった。

 退院時までにAPSを達成しなかった3例についても、ベースラインより症状が悪化した例は認められなかった。

 また、安全性に関しては、全死亡、脳卒中、心筋梗塞、腎不全などからなる主要評価項目である主要有害事象(Major Adverse Events, MAE)は、30日時点で0例であった。

 有効性、安全性ともにきわめて良好な結果を達成した要因について、治験責任医師である林田健太郎氏(慶應義塾大学 循環器内科)は、適切な患者を選択した結果である、と説明し、患者選定時のエコースクリーニングの重要性を強調した。

 また、本試験に参加した術者のうち、海外で同手技の経験あるのは1名のみであったが、アボットバスキュラー社により、優良な教育プログラムが提供されたことも今回の結果に寄与していると考えらえるとのことだ。

 本試験は、5年間の追跡が予定されており、引き続き中・長期の結果が待ち望まれる。

(ケアネット 後町 陽子)