スタチンで大腸がん死亡率が低下、では再発率は?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/07

 

 大腸がんの予後に対するスタチンの影響について、がん特異的死亡率の低下が報告されているが、再発についての研究はほとんどない。今回、米国・エモリー大学のTimothy L. Lash氏らがデンマークの約2万人のコホートで検討したところ、スタチン使用は大腸がんの再発率の低下とは関連していなかったが、がん特異的死亡率の低下と関連していた。このことから、がんそのものに対するベネフィットはないことが示唆され、著者らは「心血管症状のない大腸がん患者にスタチンを処方する根拠はない」としている。American journal of epidemiology誌オンライン版2017年3月1日号に掲載。

 著者らは、デンマークにおけるレジストリのデータを用いて、2001~11年にstage I~IIIの大腸がんと診断された2万1,152例を追跡し、がん再発率・がん特異的死亡率・全死因死亡率とその前年のスタチン使用との関連を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・大腸がんの再発5,036例、全死因死亡7,084例、大腸がんによる死亡4,066例を同定した。

・潜在的な交絡因子の調整後、スタチン使用は大腸がんの再発と関連していなかったが(調整ハザード比[aHR]:1.01、95%CI:0.93~1.09)、大腸がんによる死亡リスクの低下(aHR:0.72、95%CI:0.65~0.79)と全死因死亡リスクの低下(aHR:0.72、95%CI:0.67~0.76)と関連していた。

・スタチン使用はがん特異的死亡リスクの低下(aHR:0.83、95%CI:0.74~0.92)、がん以外の原因による死亡リスクの低下(aHR:0.78、95%CI:0.61~1.00)と関連していた。

(ケアネット 金沢 浩子)